FXを行う場合に知っておきたい税金対策の基礎知識
FXの確定申告
FX取引を行うにあたっては、どうやって利益を出すかという取引方法のコツに関する知識だけでなく、税金対策についても基礎知識を知っておくことが大切です。税金対策における大切なポイントとして、確定申告と節税の2つがあげられます。多くの人にとって税金はとっつきにくいものでしょう。FXをやってみたい気持ちはあっても、税金のことが不安で始められないという人もいるかもしれません。そこで、FXの税金対策について、確定申告と節税対策の基礎知識をお伝えします。
FXにおける税金対策の基本は確定申告
確定申告することで節税できる
個人が所得を得ると所得税などの税金が課税されます。FXで利益をあげた場合も例外ではなく、確定申告が必要になるケースがあります。しかし、損失だった場合は確定申告する必要はありません。
ただし、損失を活用して節税することができます。つまり、FX取引を行う人は、確定申告することが税金対策になることもあるのです。そのため、FXを始める前に確定申告について理解しておく必要があります。
確定申告とは?
個人が所得を得た場合に負担する所得税は、自ら所得を計算して税額を確定し税務署に対して申告することが求められます。これを確定申告といいます。
なお、個人が得た所得には復興特別所得税や住民税も課税されます。復興特別所得税は所得税の確定申告書の中でいっしょに計算することになっています。住民税は、所得税の確定申告書の情報が地方自治体と共有され、地方自治体が納付税額を計算する賦課課税方式がとられているため、別途住民税の確定申告を行う必要はありません。
確定申告のやり方
所得税は年間通算所得を計算して税額を確定する必要があります。そのため、確定申告は年1回行うことになります。確定申告書を税務署に持参する方法が基本ですが、確定申告書を税務署に郵送する方法や電子申告する方法も認められています。
確定申告の時期は所得が発生した年の翌年2月16日から3月15日までに行うこととされていて、税額の納付期限は確定申告書の提出期限である3月15日までとされています。
確定申告を行う際には、確定申告書以外に提出すべき添付種類が求められる場合もあります。FX取引による所得以外にも会社員として給料をもらっている場合やパート収入がある場合、不動産賃貸収入がある場合は、それらを合わせて確定申告書を作成する必要があります。
確定申告における注意すべきポイント
確定申告書を作成する場合において注意すべきポイントは、申告義務があるかどうかを確認することです。申告義務があるにもかかわらず確定申告を怠ると、ペナルティーが課される場合がありますので注意が必要です。
また、給与所得がある場合は、FX取引による所得が一定金額以下であれば確定申告をする必要がありません。
さらに、FX取引によって年間通算で損失となった場合、確定申告義務はありませんが、あえて確定申告することによって節税になることがありますので、FX取引を行っている人は、年間通算で利益になる場合だけでなく損失の場合でも確定申告をするつもりでいた方がよいでしょう。
FXの税負担はどれぐらい?
FXによる所得にはどの程度の所得税が課されるのでしょう?FXには国内FXと海外FXがありますが、課税方式がそれぞれ違い、税額も変わってきます。
国内FXの場合は、その所得だけを分離して税額を計算する分離課税方式がとられていて、税率は15%です。住民税と復興特別所得税を合わせると20.315%となっています。
海外FXの場合は、給与所得や不動産所得などと合算して税率が決まる総合課税方式がとられています。
総合課税の税率は合算した所得金額に応じて決まることになっていて、所得が少なければ低い税率、所得が多い部分については高い税率となる超過累進税率が適用されます。税率は最低が5%、最高45%です。復興特別所得税は所得税に対して2.1%、住民税は合計した課税総所得金額に対して一律10%とされています。
確定申告する必要がないFX投資家もいる
FX取引をしていても確定申告する必要がない投資家もいます。まず、FX取引による年間通算所得がマイナス、つまり損失の場合です。
また、FXによる所得以外の所得がない場合は、年間通算で利益となっても、基礎控除などの所得控除によって所得がゼロとなる場合、確定申告する必要はありません。さらに、給与所得などFX以外の総合課税の所得がある場合は、FXの年間所得が20万円以下であるときは確定申告する必要はありません。
FXの所得は、国内FXの場合、為替差益から手数料を控除した金額、海外FXの場合は為替差益から手数料だけでなくFX取引に関する必要経費を控除して求めます。
確定申告をしなかった場合はどうなる?
FX取引の結果、確定申告書を提出する必要がある人が確定申告書を提出しなかった場合は、ペナルティーが課されます。税務調査によって申告すべき所得があるにもかかわらず申告しなかったことがわかると、納付すべき税額だけでなく、延滞税や無申告加算税が課されます。
また、悪質な課税逃れを行ったと認定された場合は重加算税が課される場合もあります。そのため、「確定申告義務があることを知らなかった」ということにならないように十分注意する必要があるでしょう。
FXの税金対策は節税対策がポイント
FXの節税ポイント1 「損益通算と3年間繰越控除」
FX取引で損失が発生した場合、確定申告する義務はありませんが、あえて申告することで節税できます。
国内FXの場合、その損失を他の給与所得などと相殺することは認められていませんが、FXの損失を確定申告することによって、翌年以降のFX取引の利益と相殺することができるようになります。これが損失の繰越控除です。損失の繰越は、発生年の翌年以降3年間認められています。
また、海外FXの場合は、損益通算が認められます。FXによる所得を他の不動産所得や事業所得の損失と相殺することによって所得を圧縮できます。「損失だから確定申告をする必要ない」と考えるのではなく、節税のために確定申告することをお勧めします。
FXの節税ポイント2 「必要経費算入」
FXの場合、年間累計所得は所得税の計算上、雑所得となります。その場合の所得は為替差益を総収入とし、手数料などの必要経費を差し引いて求めます。その場合のポイントは、必要経費にはさまざまなものを含められる可能性があるということです。
例えば、FX取引にしか使用しないパソコン代や通信費、FX取引の勉強をするために購入した書籍代やセミナー代などは必要経費に算入できる可能性が高いです。必要経費は漏れなく計上するようにしましょう。
FXの税金対策をすることで堂々と投資できる
FX取引を行う場合は確定申告義務を果たすことが大切です。義務を果たすことによって堂々とFX取引ができるようになります。また、確定申告義務がない場合でも節税につながりますので、確定申告をした方がよいでしょう。損失が出ても節税という形で一部を取り戻すことができます。
さらに、確定申告をすることによって、税金の仕組みを理解することができるようになります。FX取引においては、コストを計算して最終的な手取りの利益がいくらになるかを理解しながら取引することが重要です。税金対策を理解することによって利益管理にも役に立てれるようになるでしょう。