FXの確定申告と税金の基礎知識を理解しておこう!
FXの確定申告
FX投資をやってみようという人は、1年が終了したら原則として確定申告をする必要があることを知っておきましょう。会社員で年末調整を受けている場合や証券投資を特定口座で行っている場合は、確定申告をした経験がないという人も多いでしょう。
そこで、FX投資に必要となる確定申告と税金の知識をご紹介します。確定申告の基礎知識があれば、利益があがっても安心して対応できますので、FX投資をする前に理解しておくことをおすすめします。
FXをやるならの確定申告の知識は必須
確定申告が必要となる人はどんな人?
FX投資を行っている人は原則として所得税の確定申告が必要になると考えておいた方がよいでしょう。個人が所得を得た場合、所得税や住民税などが課税されますが、所得税の確定申告をしておけば住民税の確定申告は必要ありません。そのため、FX投資家は所得税の確定申告に関して正しい知識を持っていることが求められます。
FX投資によって1月から12月通算して利益が生じた人は、翌年の2月16日から3月15日に確定申告書を作成して住所地を管轄する税務署に提出することが求められます。
会社員の給料については会社が年末調整を行い必要な税金を源泉徴収しますし、株式などの証券投資を源泉徴収ありの特定口座で行っている場合も必要な税金が源泉徴収されますので、確定申告不要を選択できます。これに対してFX投資による利益は源泉徴収制度がありません。そのため、FXで生じた利益は自ら計算して確定申告をする必要があるのです。
確定申告が不要な人はどんな人?
FX投資をしていても確定申告の必要がないケースが3つあります。まず1つ目は、年間通算したFXの成績が損失だった場合です。この場合は課税対象となる所得がありませんので確定申告の義務はありません。ただし、国内FX投資によって生じた損失は、あえて確定申告をして節税することも可能です。
2つ目は、会社員としての給与所得が2,000万円以下でFXの所得が20万円以下の場合です。この場合は少額不追及ということで申告は不要です。
3つ目は、給与所得者以外で、FX投資によって得た所得金額が基礎控除などの所得控除額よりも少ない場合です。この場合も課税所得はゼロになりますので、確定申告すべき所得がなく申告義務はありません。
FXの所得計算をする場合には必要経費の控除が認められている
FX投資による所得がいくらになるか計算できるようになっておくためにも計算方法は理解しておく必要があります。FX投資によって生じた所得は、所得税の計算上、雑所得に分類されます。FX投資の雑所得は、為替差益にスワップポイントを加えた金額が計算基礎となります。そして、その金額からさらに必要経費を控除することが認められています。
必要経費とは、所得を得るために直接要した支出などのことです。FX投資における代表的な必要経費は、取引などの手数料とFX投資の勉強に関する支払い、そしてFX投資を行うために使っている設備や機材、通信費のための支払いです。
FX投資を行う場合、FX会社によっては取引手数料が徴収されますし、海外FX投資を行う場合は送金などの手数料も発生します。これらはFX取引のために使われるコストとしてはっきりしていますので必要経費になると考えてよいでしょう。また、FX投資のセミナー参加料やFX投資に関する書籍代も必要経費として計上できます。
ただし、機材の費用や通信費を必要経費として計上する場合は注意が必要です。例えばパソコン代や通信費の場合、FX投資の分とそれ以外の分を区別することは難しいケースが多いです。原則としては、明確にFXの分と区別できる場合だけ必要経費として計上できるとされています。
必要経費の計上は自分自身で集計して確定申告時に計上することになります。そのため、必要経費の集計に漏れがあると所得を減らすことができず、結果的に税負担が増えることになってしまいます。FXに関する必要経費は支払いの都度記録を保存して、年に1度の確定申告の際に集計漏れが発生しないように準備しておくことがポイントです。
FXの確定申告に必要となる書類
FXの確定申告を行うにあたっては、どんな書類が必要になるのかも気になるところでしょう。必要となる書類は、確定申告書そのものと添付すべき書類の2種類に大別できます。
まず確定申告書です。確定申告書を提出する場合は、所得を集計した上で税額を計算する第1表という書類が必要になります。国内FXによる所得の確定申告の場合は、さらに第3表(分離課税用)という書類も必要になります。
次に添付すべき書類です。添付書類としては、先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書、FXの取引履歴などがわかる損益報告書などが必要となるのが一般的です。取引履歴などは、FX会社から送付を受けたり取引しているホームページからダウンロードしたりして入手します。
e-taxを活用した確定申告
確定申告書の主な提出方法は3つあります。1つ目は確定申告書を税務署に持参し提出する方法、2つ目は作成した確定申告書を郵送する方法、そして3つ目はe-taxを活用する方法です。
1つ目の税務署に提出する方法は、わからないことがあればその場で確認できるメリットがありますが、申告期限に近くなると税務署が混み時間がかかるというデメリットがあります。
2つ目の郵送による方法は税務署に行かずに申告できますので楽です。切手を貼った返信用封筒を入れておけば控えの返送もしてくれます。
手間がかからないという点では3つ目のe-taxがおすすめです。郵送する必要すらなく、すべてパソコンによる作成と送信によって確定申告を終えることができますので便利です。注意点としては、本人確認用のマイナンバーカードなどを読み取るためのカードリーダーが必要になることです。
FXの所得に対する税率と税額計算方法
FXの所得にはどの程度の税金がかかるのでしょう?税額の計算方法は国内FXと海外FXで違います。
国内FXの場合は分離課税の雑所得になり、税率は所得税15%、住民税5%そして復興特別所得税が0.315%の比例税率が適用されます。比例税率であるため、国内FXの場合はどれだけ利益が多額になっても税率があがることなく、FXの所得に対して決められた税率をかければ税額が計算できます。
一方、海外FXの場合は同じ雑所得でも総合課税となります。総合課税の税額計算は、総合課税とされる給与所得や不動産所得、事業所得そして一時所得などの他の所得と海外FXの所得を合算して課税総所得金額を算出し、所得金額に応じて定められている超過累進税率を適用して税額を計算します。
住民税は一律10%で、所得税は所得税応じ最低5%から最高45%、さらに所得税の2.1%の復興特別所得税も負担します。
FX取引を始める前に税金に関する基礎知識を知っておこう
ここまでFX投資をして利益が生じた場合には、一定の場合を除いて確定申告をする必要があることをお伝えしてきました。FXの税金に関する知識については、FX投資を始めてからゆっくりと税金や確定申告のことを勉強するという方法もありますが、できれば投資を始める前に知っておくことをおすすめします。
確定申告の時期になってから申告方法を勉強すればよいと思っていると、いざ申告時期になって時間がなくなってしまったり、やり方がわからず申告期限に間に合わなくなったりする可能性もあります。税金の知識をあらかじめ知っておけば節税を意識して取引することもできるようになるでしょう。