海外FXにおけるキャッシュバックの税金に関する基礎知識
FX初心者のお役立ち情報
海外FX投資をする場合、口座開設や取引によりキャッシュバックを得られる場合があります。このキャッシュバックは税法上、個人が得る所得に該当するため課税対象です。キャッシュバックを受け取った場合には、税金の知識も必要になります。海外FXでキャッシュバックを得たいのであれば、受け取った場合の税額計算や注意点はぜひとも押さえておきたいポイントです。ここでは「キャッシュバックとは何か?」「売却益などを含めたFXの課税方式」についてご紹介します。
海外FXで得られるキャッシュバック
海外FXのキャッシュバックとは?
海外FXのキャッシュバックとは、口座開設時や取引時などにキャッシュが振り込まれるものを指します。海外FX業者が口座開設数を増やすためにキャッシュバックサイト運営業者に対して手数料を支払い、その一部が投資家にキャッシュバックされるという仕組みです。
海外FXキャッシュバックサイトに登録し、そのサイトを経由して海外FX口座を開設することで、キャッシュバックが得られるようになります。登録時には個人情報を入力することになるため、キャッシュバック内容だけでなくサイトの信頼性も重視すべきです。
海外FXで生じた所得の課税方式と税率
国内FXの所得は申告分離課税方式
海外FXのキャッシュバックには税金がかかります。課税の仕組みを理解するためには、まずFXの課税の全体像について知っておく必要があるでしょう。
FXの課税方式は国内FXと海外FXで違います。国内FXの売却益や通貨ペアの金利差として受け取ったスワップポイントは、申告分離課税方式が適用されます。
申告分離課税方式は、ほかの所得とは合算せずに税額を算出し、原則として確定申告が必要となる課税方式のことです。所得区分は先物取引にかかる雑所得です。税率は比例税率で所得税、住民税などを合わせて約20%とされています。
海外FXの所得は総合課税方式
一方で海外FXの売却益やスワップポイントなどの所得は、総合課税方式が適用されます。所得税における総合課税とは、給与所得や事業所得など海外FXの所得以外の所得を合算して課税総所得を計算し、その金額に対して超過累進税率を適用して所得税額を求める方法です。
所得税以外にも所得税額の2.1%の復興特別所得税、10%の住民税も課税されます。海外FXによって得た利益の所得区分は、公的年金等以外の雑所得です。
超過累進税率とは?
海外FXの所得税を求める場合に適用する超過累進税率とは、所得が大きいほど税率が上がる税率体系のこと。最低税率は5%、最高税率は45%です。所得税の計算においては、所得が少ない人は税負担が少なくなります。
また、所得が多い人は税率を上げて税負担を大きくするという考え方をとっています。海外FXで生じた所得金額が大きくなると、国内FXよりも税負担が大きくなることがあります。その反面、海外FXの所得が少額であれば国内FXよりも税負担は軽くなるでしょう。
国内FXにおけるキャッシュバックの税金
口座開設に関するキャッシュバックは一時所得
国内FXにより生じた所得は、先物取引にかかる雑所得として申告分離課税が適用されます。取引に応じて得られるキャッシュバックも、この所得区分に含めて計算する対象です。
ただし、口座開設に関するキャッシュバックは例外です。口座開設はFX投資の前提となる行為で、取引そのものではありません。そのため先物取引にかかる雑所得ではなく、一時所得に区分されます。一時所得には、クイズの賞金など事業や取引以外で生じる一時的な利益が含まれます。
キャッシュバックを受け取った場合は、口座開設によるものと取引によるものに分けて把握しておく必要があるでしょう。
一時所得の課税計算
口座開設に関するキャッシュバックを受け取ったことによる一時所得は、受け取ったキャッシュバック金額から特別控除50万円を引いた残額です。そのため、口座開設キャッシュバックが50万円以下であれば一時所得はゼロということになり、確定申告に含める必要はありません。
特別控除50万円を超える場合は注意
国内FXの口座開設キャッシュバック金額が50万円を超える場合は、注意が必要です。キャッシュバックが50万円を超えていると特別控除を引いてもゼロにはならないため、一時所得が発生することになります。この場合は確定申告が必要です。一時所得は総合課税の対象となるため、給与所得など総合課税対象の所得と合算して課税総所得金額に含めます。
なお、一時所得を課税総所得に含める場合は、一時所得の半分を算入することになっている点も知っておくとよいでしょう。
海外FXにおけるキャッシュバックの税金
公的年金等以外の雑所得に該当
海外FXの場合は、取引に関するキャッシュバックだけでなく口座開設によるキャッシュバックも含め、すべて公的年金等以外の雑所得に含めて所得計算を行います。売却益とスワップポイント、すべてのキャッシュバックを収入とし、そこから必要経費を引いて所得金額を求めます。
必要経費とは、海外FXセミナーへの参加費用や海外FXノウハウなどが書かれた書籍代など、海外FX取引に直接かかわる支出のことです。公的年金等以外の雑所得金額が確定したら、所得税についてはそのほかの所得と合算し、総合課税方式で税額を計算します。
損益通算は不可
海外FX取引においてキャッシュバックは常にプラスの所得になりますが、売却損が生じたり、スワップポイントがマイナスになったりすると公的年金等以外の雑所得は赤字になる可能性もあります。海外FXの所得がマイナスになった場合、副業所得など同じ公的年金以外の雑所得に区分される所得と相殺できます。同じ所得区分内でプラスとマイナスを相殺することを、内部通算といいます。
一方で相殺しても海外FXの赤字が残る場合や、海外FXの赤字以外に公的年金等の雑所得が発生していない場合は、給与所得や事業所得など別の所得と相殺することはできません。所得区分をまたいで損益を相殺することを、損益通算といいます。海外FXで生じた損失は損益通算として認められていないため、注意が必要です。
損失の繰越控除も不可
株式投資や国内FXで損失が生じ、内部通算しても赤字が残る場合はどうすればよいのでしょうか。
そのような場合には、翌年以降3年間にわたってその損失を繰越し、翌年以降に生じる利益と相殺することが認められています。これを損失の繰越控除といいます。ただし、内部通算できなかった海外FXの損失については損失の繰越控除は認められていません。海外FXで損失が生じた場合は、節税方法が限られていることを理解しておきましょう。
まとめ
海外FXで生じる所得には、売却益やスワップポイントだけでなくキャッシュバックも含まれます。所得区分は公的年金等以外の雑所得に該当し、課税方式は超過累進税率が適用される総合課税です。海外FXの口座開設や取引によってキャッシュバックを受け取った場合は、確定申告が必要かどうか必ず確認するようにしましょう。
キャッシュバックにはどんな種類があるのかといった情報は、海外FX業者情報サイトであるfxplusでも調べることができるため、積極的に活用し調べてみることをおすすめします。また、海外FXで損失が生じた場合は損益通算や損失の繰越控除が使えないため、できるだけ赤字にならないよう慎重に取引することも大切です。