海外FX取引にマイナンバーは関係あるか?
海外FXに関する基本知識
2016年からマイナンバー制度がスタートしました。制度開始によって、国内FXのために新規口座を開設する場合は、基本的にはマイナンバーの提出が求められるようになっています。また、マイナンバー制度導入前から国内FX口座を持っていて取引を行っていた人も、すでにマイナンバーの提出を求められているケースが多いでしょう。そこで、国内FX投資とマイナンバー制度の関係や海外FX口座開設にあたってもマイナンバーの提出が必要かどうかなどについてお伝えします。
「マイナンバーってどんな制度?」という方のために
そもそもマイナンバー制度とは?
マイナンバー制度は2016年から始まった制度で、日本に住民票がある人すべてに固有の番号を付けてさまざまな個人情報を管理し、行政の効率化や利用する人の利便性を向上させるための制度です。マイナンバーは12桁の数字から成り、付番された人全員に対して、制度開始前にその人の12桁の番号が記載された個人番号通知カードが配られました。
また、クレジットカードのようにICチップがついた個人番号カードを無料で作成することもできます。個人番号カードは表面が写真付き本人確認証の役割を果たし、裏面に記載されたマイナンバーと合わせると、カード1枚で個人番号の確認と本人確認ができます。
さらに、2017年からはマイナポータルと呼ばれる個人別のポータルサイトの運用が開始されています。ポータルサイトにアクセスすると自分のマイナンバーがどのように利用されているかがわかるだけでなく、自治体からの連絡が届く、証明書のダウンロードなどができるようになるなどメリットが得られるといわれています。マイナポータルでのサービスは順次拡大する予定です。
マイナンバー制度の目的は?
マイナンバー制度が導入された目的は3つあります。
1つ目は社会保障関連の業務の効率化です。公的年金や雇用保険、健康保険などの被保険者情報は、それぞれの保険制度をまたがって交換が必要になる場合も多いです。その際、それぞれの制度で加入者に対して違った番号が付されていますので、番号で同一人物のデータかどうかを判断することはできません。
同一人のデータかどうかは名前や住所、さらには本人から提出された本人確認証などさまざまな情報を総合的に判断する必要があり、時間がかかり非効率的な業務でした。制度導入によって行政の効率化が図られ、利用者も本人確認書類の提出が不要になるなどのメリットが得られることにつながります。
マイナンバーの導入の目的の2つ目は課税の適正化と効率化です。社会保険の場合と同様に、同一人物の給与所得や金融資産投資の所得などの課税データ照合が簡単になり課税漏れなどを防ぎ、公平・適正に課税される環境を作ることが目的です。また、確定申告書などに添付する書類が減るなどのメリットが出てくるといわれています。
3つ目は災害時の個人情報確認の迅速化です。罹災証明書の発行が早くなり、被災者支援の迅速化の実現を目的としています。
FX業者のマイナンバー制度
国内FXはマイナンバーが必要
FX投資もマイナンバー制度と関係があります。日本国内での金融資産投資においては、口座を開設している金融商品取引業者に対して、投資家が自分のマイナンバーを提出することによって課税の適正化につなげることになっています。
確定申告を行う際には自分のマイナンバーだけでなく所得控除の対象となる親族のマイナンバーも提出することになります。これは国内FXでも例外ではありません。
国内の証券会社やFX業者は、投資家からマイナンバーを集める義務が課されていますが、口座件数の多さなどを考慮して制度開始から3年間の猶予が与えられています。そのため、マイナンバー制度開始前に口座をすでに開設していた人は、遅くとも2018年、業者の登録作業を考慮すると2017年中にマイナンバー提出を求められるはずです。
FX業者は、以前から誰にいくらのお金を支払ったかを記載した支払調書と呼ばれる書類を税務署に提出することになっていますが、猶予期間終了後は支払調書にマイナンバーを記載して提出することになっていますので、投資家からマイナンバーを回収する必要があるのです。
また、新規口座を開設する場合は猶予の対象外ですので、マイナンバーの提出が求められることになるでしょう。
海外FXはマイナンバー不要
海外FX業者とマイナンバー制度の関係はどうでしょう?海外FX業者は日本の法律の適用外ですので、マイナンバー制度は関係ありません。
海外FX業者でも日本の国税局等からの照会があれば取引情報を開示する可能性はありますが、国内FX業者のように支払調書を税務署に提出する義務はありません。そのため、マイナンバーを利用する機会がありませんのでマイナンバーを集める必要がないのです。
むしろ、マイナンバーを取得すべき事業者以外がマイナンバーを取得することには問題が生じる可能性がありますので、口座開設時には「マイナンバーは提出しないように」と明示されているケースも多いです。
ただし、マイナンバーを提出しないからといって、税務署が何も把握できないわけではありません。一定金額以上の国外に送金をした場合は、銀行などが支払調書を税務署に提出しますし、海外FX口座のある資産金額が一定以上になると、海外財産を含めた財産債務調書などを税務署に提出する義務があります。
「マイナンバー不要=タックスフリーではない」ことを正しく理解しておきましょう。
海外FXの口座開設に必要となる書類
必要書類は業者によって多少の違いがある
海外FX業者で口座開設をする場合、マイナンバーを求められることはありませんので、個人番号通知カードを送る必要はありません。しかし、マネーロンダリング対策としての本人確認が厳格に行われるのはほぼ世界共通ですので、金融ライセンスを保有している海外FX業者で口座開設する場合は、本人確認書類の提出が必ず求められると考えておきましょう。
運転免許証やパスポートのコピーをアップロードするのが一般的です。本人確認書類としては個人番号カードでも問題ありませんが、裏面のマイナンバーが書かれている面は送らないように注意することが大切です。
また、住所証明書類として住民票などの提出が求められる場合もあります。国内業者の場合は簡易書留の受取で住所確認を行う場合がありますが、海外からではその方法は使いにくいため証明書の提出が求められるのです。
ただし、海外FX業者によって提出すべき書類には多少の違いがありますので、口座開設しようとしている海外FX業者のホームページで確認するか直接問い合わせてから口座開設申請を行うことをおすすめします。
ルールを守って取引を行えばおそれる必要はない
国内FXの場合マイナンバーの提出が必要ですが、マイナンバーを提出すると税務署に所得情報が知られてしまうと不安を感じている人もいるようです。もともと所得情報は支払調書によって税務署が把握していますので知られることには変わりません。ただ、マイナンバー付きの情報になることによって税務署の個人識別精度が向上するということです。
しかし、マイナンバーをFX業者などに提供すると、業者から流出するリスクはあります。その点について心配がある人は海外FXがおすすめします。マイナンバーを提出する必要がありませんので、流出リスクはありません。海外FXには国内FXにはないメリットが複数ありますが、マイナンバー不要というのもメリットの1つといえるかもしれません。