その他
今回は「MT5に追加された新機能」について解説していきます。
MT5は2011年にリリースされました。2020年現在でもMT4の方が広く普及しており、MT5を利用しているトレーダーは少ない状況です。しかし、MT5にはMT4にはなかった様々な新機能が追加され、裁量トレーダーや自動売買トレーダーといったトレードスタイルを問わず、活用できる新機能があります。
また、MT5を開発したMetaQuotes社はMT5のアップデートを頻繁に行っており、2017年からのアップデート回数は15回以上です。新しい機能も増えてきており、将来的にはMT5が主流となっていくと思われます。
とりわけ、裁量トレーダーであれば、MT5の方がサクサクと動き、トレードしやすいのではないかと考えています。だんだんとMT5を提供する海外FX業者も増加してきており、利用者も増えているため、今後MT5の活用は、FXトレードで必須の状態になると予想されます。
とはいえ、MT4とMT5の違いがイマイチよく分からないというトレーダーは多いでしょう。動作がサクサク動いたり、プログラム言語が違ったり...というのは耳にしたことがあると思いますが、実際の機能はどうなのか気になる人もいると思います。
MT4とMT5がどのように違うのか気になるという方は、以下の記事をご覧ください。
今回は、XMTrading(エックス エム)のMT5を利用して、私が実際にトレードで活用できると感じた新機能を厳選して紹介したいと思います。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)
MT5の新機能をトレードに活用する具体的な方法
3分足チャートはスキャルピングで活用できる
MT5では、表示できる時間足が増え、次の21種類の時間足のチャートを表示することができます。
MT5の時間足
分足 | 時間足 | その他 |
---|---|---|
1分 | 1時間 | 日足 |
2分 | 2時間 | 週足 |
3分 | 3時間 | 月足 |
4分 | 4時間 | - |
5分 | 6時間 | - |
6分 | 8時間 | - |
10分 | 12時間 | - |
12分 | - | - |
15分 | - | - |
20分 | - | - |
30分 | - | - |
時間足が増えることによって、スキャルピングの幅が広がります。特におすすめなのが3分足チャートです。メニューバーの「チャート」メニューから、またはチャート上で右クリックをして表示させたメニューから「時間足設定」を選択すると3分足チャートを表示できます。
実は、海外のスキャルピングトレーダーは、3分足チャートを使っているトレーダーが多くいます。1分足だと、ダマシが多く、5分足ではスキャルピングとしては反応が遅いという理由で3分足の人気が根強くあります。
MT5では、3分足チャートが標準装備されていて、設定するだけなので初心者でもすぐに利用できます。(MT4でもできないことはないのですが、カスタムインジケータを使う必要があり、上級者向けです。)
20EMAを使うスキャルピングトレーダーが多く、3分足、12分足はそれぞれ60分足、4時間足と相性が良いといわれています。
ツールバーの時間足パネルには、デフォルトでは9つの主要な時間足のみが表示されますが、お好みに合わせてカスタマイズすることができます。
表示したい時間足が表示されていない場合や、不要な時間足を削除したい場合のカスタマイズ方法については、当サイトが作成したMT5ご利用ガイドを参考にしてください。
ストップリミット注文は活用できるか、検証してみる
MT5では、MT4にない特徴的な注文方法が追加されました。「買いストップリミット(Buy Stop Limit)」「売りストップリミット(Sell Stop Limit)」の2種類の注文方法です。
公式サイトには「スリップページを避けるための注文方法」と解説されていますが、押し目買い/戻り売りを狙ったトレード手法としても利用することができます。まずは、どんな注文方法なのかを確認してみましょう。
買いストップリミット注文は、「①の価格を上回った時点で、②の価格に買い指値注文が入る」という注文方式です。上昇トレンドを見込んでの押し目買いを狙うときに利用できます。①と②の2つの価格を指定するため、先に①を超えなければ②のレートになっても注文は実行されませんし、逆に、①のレートを超えても、そのまま上昇を続けて②の価格まで一度も戻らない場合も、注文は実行されません。
売りストップリミット注文はその逆で、「指定の価格を下回った時点で、売り指値注文が入る」注文方法で、下降トレードでの戻りを売るときに利用できます。
ストップリミット注文はストップ注文(逆指値注文)とは異なり、指定価格に到達後に指値注文が出される形となるため、スリッページが起きにくくなりますが、値動きによっては約定されないこともあります。
実際のドル円のチャートでイメージを膨らませてみましょう。
買いストップリミット注文の例(現在値・・・105.944)
- ドル円が106.500(価格)まで上昇したとき
- 106.000の押し目で買いエントリー(ストップリミット指値)注文を入れる
- 107.000で利益確定(Take Profit)
または、 - 105.500で損切り(Stop Loss)をする
利益確定・損切りについては、通常の指値・逆指値注文と同様、入れても入れなくても構いません。
MT5の注文画面は以下のようになります。
MT5の注文タイプの表記は、下記の通りMT4と若干異なっていますが、ストップリミット注文を出したい場合は、「指値注文」の中から、「Buy Stop Limit」または「Sell Stop Limit」を選択します。
MT5注文タイプ
注文表記 | 日本語表記 | 注文内容 | |
---|---|---|---|
カウントダウン注文 | カウントダウン注文 | 成行注文 | |
指値注文 | Buy Limit | 買い指値注文 | 現在価格より低い値で買う注文 |
Sell Limit | 売り指値注文 | 現在価格より高い値で売る注文 | |
Buy Stop | 買い逆指値注文 | 現在価格より高い値で買う注文 | |
Sell Stop | 売り逆指値注文 | 現在価格より低い値で売る注文 | |
Buy Stop Limit 【新機能】 |
買い ストップリミット注文 |
現在より高い指定した価格になった場合に、その価格より低い値で買う注文 | |
Sell Stop Limit 【新機能】 |
売り ストップリミット注文 |
現在より低い指定した価格になった場合に、その価格より高い値で売る注文 |
ストップリミット注文のより詳しい設定方法については、MT5ご利用ガイドで解説しています。
ミニチャートの表示でマルチタイムフレーム分析ができる
MT5の新機能として「ミニチャートの表示」があります。この新機能を使えば、簡単なマルチタイムフレーム分析が可能です。
異なる時間軸のチャートを分析し、現在の相場状況を把握してトレンドやエントリーポイントを探す方法。
例えば、1分足のスキャルピングの際に、1時間足、4時間足、日足のミニチャートを表示させます。どの時間足でも陽線になっていれば買いエントリーのみを狙うスキャルピング、陰線になっていれば売りエントリーだけを狙うスキャルピングができます。
上位足の方向を確認すれば、スキャルピングやデイトレードに役立ちます。
ミニチャートの表示方法については、MT5ご利用ガイドを参考にしてください。
私は1時間足のデイトレードで順張りスタイルのトレードをしていますが、もちろん、上位足である日足のトレンド方向を確認します。
マルチタイムフレーム分析で意識したいのは「日足」です。
順張りトレードだけでなく、逆張りトレードスタイルでも大きな時間足の抵抗線/支持線を意識すると、勝率も上がりやすいと思います。
1つの理由が、どのインジケータも「日足」を意図して作成されているからですね。例えば、一目均衡表やボリンジャーバンド、MACDも、もともとは日足で機能することを意図して作成されています。
もともと、PCが発達する前は日足しかなかったので、その流れを引き継いでいるのかもしれません。
チャート分析に便利なMT5の新機能
チャート描画ツールが追加された
MT5には、エリオット、フィボナッチとギャンツール、グラフィカルオブジェクト、図形、チャンネル、ラインなどオブジェクトが標準装備されています。MT4にはなかった「グラフィカル」オブジェクトが新機能として追加されました。
先ほど紹介したミニチャート機能も、この「グラフィカルオブジェクト」から「チャート」を選択すると表示できます。
フィボナッチにも「フィボナッチチャンネル」(MT5表記)というツールが追加されました。ただ、やはりフィボナッチ・リトレースメントとフィボナッチ・エキスパンションの方が活用しやすいと感じます。
チャートの拡大・縮小が楽にできる機能
ウェブブラウザなどと同様に、「Ctrl+マウスホイール」で、チャートの拡大縮小ができます。地味に便利な新機能です。思わず拡大・縮小でマウスを使ってやりそうになり、何も反応しないということがMT4ではありました。
これがMT5で新機能として追加されています。チャートのスクロールは、MT4と同様マウスホイールでできます。
チャート色の初期設定パターンが増えた
MT5では、チャートの基本配色で「Color on White」が追加されました。MT4は3種類のデフォルト設定でしたが、MT5は4種類設定できます。
正直に言うと、MT4のデフォルトの3色は見やすい設定ではなかったので、おそらくほとんどのトレーダーは配色を変更していたのではないかと思います。一方、MT5に追加された「Color on White」は何も設定しなくても、デフォルトの状態で利用できるぐらい綺麗です。
チャートを印刷する場合、背景色が濃い色だと、インクがとても必要になってしまいますね。ちなみに、この配色は人気のチャートツールTradingViewのカラーテーマ「ライト」とほぼ同じです。
「ファイル」メニュー、またはチャートを右クリックすると表示されるメニューから「画像として保存」を選択すると、データ形式でチャートをPCにダウンロードできますので、印刷に利用できます。
知っておくと便利なMT5操作で役立つ新機能
経済カレンダー
MT5の新機能の一つに、市場のファンダメンタルズ分析に役立つ「経済カレンダー」があります。経済カレンダーは、価格チャートに簡単に表示することができます。
経済指標の発表等が予定される時間帯がチャートに表示され、パソコンのマウスを合わせると、経済指標の名前が表示されます。上記の画面では、EUの貿易収支が9時45分に発表されるという情報がチャート画面に表示され、ツールボックスの「指標カレンダー」で、重要度などの詳細情報を確認できます。
これは、意外と嬉しい新機能だと思います。MT4では経済指標を確認するには外部サイトで確認する必要がありました。
この「経済カレンダー」は常に更新され、経済指標だけでなく、各国の祝日、主要要人の発言などの予定時刻を確認できます。
FXトレーダーが必ず意識するべき経済指標が「米国雇用統計」です。「アメリカの景気は世界の体温計」とも表現されますが、基軸通貨であるドルの動きによって、その月の各通貨ペアの動きもある程度方向性が決まります。
コロナショック前までは重要度が薄れていたのですが、2020年3月のコロナショックの後、再度、重要視されるようになっています。
正式な雇用統計は月初めの第1週目金曜日ですが、その週の水曜日に「ADP雇用統計」という民間機関が算出する雇用統計もあります。第1週目の水曜日と金曜日は要注意のトレード日です。
稀ですが、ADP雇用統計と正式な雇用統計の結果が真逆になる場合があります。そんな時はボラティリティが非常に高くなってしまうので、動きが落ち着くのを待ちましょう。
チャートのドッキング解除機能
MT5の操作機能でとても嬉しい機能が、MT5のチャート画面のみを、MT5の本体から分離できる「ドッキング解除機能」です。
最近は、PC画面1つだけでなくマルチ画面(2画面)が主流になってきましたね。デスクトップPCを利用するトレーダーの多くも2つの画面を利用している人が多いと思います。
MT4はマルチ画面を想定している取引ツールではないので、2画面だと使いにくい部分が出てきてしまいます。チャートを独立させて表示できないので、チャートを移動させようとしても思いどおり動かせないことが多いのです。
これが4画面や8画面だと、悲劇ですね(涙)。仕方なくMT4を複数起動させると、固まってしまうことも...。
一方、MT5は「ドッキング解除機能」を活用すると、チャートを独立させてMT5外に表示させることができます。感動です!MT5を1つだけ起動させておくだけで2画面、4画面、8画面のどこにでもチャートを移動できるので、PCの負荷も減ります。
MT5が利用できる海外FX業者
以前はMT5を提供している海外FX業者は少なかったですが、最近はどんどん増えています。当サイトでおすすめしている海外FX業者でも、Traders Trust(トレーダーズ トラスト)以外はMT5を採用しています。
ここでは、MT5を提供しているおすすめ海外FX業者の特徴を簡単に紹介します。
XMTrading(エックス エム)
XMは日本人トレーダーの中でも人気の高い海外FX業者の1つです。取引環境はもちろん、カスタマーサポートが24時間対応であること、豊富なボーナスやスイスフランショック時にゼロカットを実施した実績があることから幅広い層に人気の高い海外FX業者です。
XMPといったポイントプログラムがある事もXMの特徴で、ユーザーは貯まったポイントを現金やクレジットにする事が可能です。XMはグループの規模の大きさに加え、信託保全も完備している事から、日本に展開する海外FX業者の中でも抜群の安心感を誇る業者です。
Titan FX(タイタン FX)
Titan FXは、取引環境重視のトレーダーに人気のある海外FX業者です。約定力はもちろん、スプレッドや取引手数料の安さに定評があり、スキャルピングトレードをするトレーダーにぜひ利用してほしい海外FX業者です。
Titan FXはBlade口座が特に人気があり、スキャルピングに適した低スプレッド口座として高い知名度を誇ります。また、Titan FXでは仮想通貨CFDの取扱いも開始し、通貨ペアや貴金属と同様に低スプレッドでの取引が可能です。
Tradeview(トレードビュー)
Tradeviewは、取引コストを追及するトレーダーに人気の海外FX業者です。取引コストを抑えることは、そのままトレーダーの利益に直結します。口座タイプでおすすめなのは、「ILC/ECN口座」です。
Tradeviewは数少ないcTraderを提供している海外FX業者である事も大きなポイントです。しかし、他社と比較すると日本語サポートに不十分な点があるので、海外FXに慣れた中級者以上におすすめです。
Exness(エクスネス)
海外FX業者の中でも最も高いレバレッジを提供しているのがExnessです。レバレッジだけではなくスプレッドも狭く、さらにスワップフリーで長期保有出来るペアもあることから、運用コストに優れた海外FX業者です。
世界最大の会計事務所であり、四大監査法人のひとつであるDTTを監査に迎え、そのクリーンな経営体制は数ある海外FX業者の中でもトップクラスと言えます。Exnessはハイレバレッジを好むトレーダーに特におすすめです。
Land Prime(ランドプライム)
Land Prime(ランドプライム)/ 旧LAND-FX)は平均0.035秒という業界最速クラスの約定スピードが特徴です。自社でリクイディティプロバイダ業務を行っていることや、グループで厳格なFCAライセンスを保有していることもあり、信頼度は高い業者と言えます。
また、Land Primeはスワップポイントが良心的で、大手であるXMと各種ペアのマイナススワップを比較すると、ほとんどのペアでおよそ4~5分の1という数値になっています。ポジションを数日間保有する事の多いトレーダーには嬉しい海外FX業者です。
HF Markets(エイチエフ マーケッツ)
HF Markets(エイチエフ マーケッツ / 旧HotForex)は日本以外にも多数の顧客を抱え、世界的に人気のある海外FX業者です。また、フランスの名門サッカーチームであるパリ・サンジェルマンF.C.の2020-21シーズン公式パートナーにも就任しており、信頼性の高いブローカーであることが分かります。
HF Marketsでは規定ロットを満たす事で出金可能になる入金ボーナスや、1ロットあたり2ドルが還付されるキャッシュバックプログラムも提供していて、ユーザーを飽きさせないサービスが多い事もHF Marketsの特徴です。
(まとめ)MT5はアップデートされ続けている
MT4との最大の違いは、「MT5はアップデートされ続けている」という点です。この記事を執筆している8月もMT5がアップデートされ、新機能が追加されました。おそらく、これから先も新しい機能がどんどん追加されていくのではないかと思います。
確かに、自動売買トレーダーやオリジナルインジケータを利用するトレーダーは、MT4の方が良いのかもしれません。MT5に対応しているEAの数やインジケータの数も増加しているとはいえ、少ないのが現状です。
とはいえ、機能面を考えれば、間違いなくMT5の方が使い心地が良いのは確かだと考えています。最近、私はTradingViewという取引ツールで細かなチャート分析をして、注文や最終確認などはMT5を利用しています。
MT5の方が動きも良いですし、基本的なインジケータはそろっていますので、そこまで不便を感じることはありません。これからもMT5にどんどん新しい機能が追加されることを期待しています。
MT5を採用する海外FX業者は増えており、当サイトで提携している海外FX業者でも5社で利用できます。当サイトでは、海外FX業者のスプレッドやボーナスを比較した記事も用意していますので、ぜひ参考にしてください。