トレード手法関連
「クロス円」という言葉を聞いたことがあると思います。クロス円とは「EUR/JPY(ユーロ円)」「GBP/JPY(ポンド円)」など右側の通貨が「JPY」になる通貨ペアです。
少し前ですが「AUD/JPY(豪ドル円)」や「NZD/JPY(ニュージーランド円)」などのオセアニア通貨ペアはスワップポイントが高く、日本人トレーダーに人気がありましたね。(2020年現在はスワップがマイナスになってしまっていますが・・・(涙)。)
一方、どちらか片方に「USD」が付く通貨ペア、例えばUSD/JPY(ドル円)、EUR/USD(ユーロドル)、USD/CHF(ドルフラン)のことを「ドルストレート通貨」と呼びます。
ところで、世界の基軸通貨は「USD(米ドル)」です。インターバンク市場の取引のほとんどは「ドルストレート通貨ペア」で、クロス円はほとんど取引されていないことをご存じでしょうか。実は、クロス円は、直接取引されるのではなく、間にドルを介して取引が行われる「合成通貨ペア」なのです。
私たちが見ているGBP/JPYのチャートは、GBP/USDとUSD/JPYの価格レートを掛け合わせたものです。このため、クロス円には、米ドルを介した2つの通貨ペアの影響を受けるという特徴があり、このため値動きの幅も大きくなります。これらの特徴は、トレードする際にぜひ知っておくべきです。
この記事では、クロス円とドルストレート通貨の仕組みや関係を中心に紹介し、クロス円・ドルストレート通貨のトレード勝率アップの秘訣をお伝えしていきます。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)
クロス円の特徴
日本人トレーダーに人気のある「GBP/JPY(ポンド円)」を例に、クロス円の特徴を説明します。GBP/USD(ポンドドル)やUSD/JPY(ドル円)と比較してもボラティリティが非常に大きく、1回のトレードで大きな利益を出すことも可能です。
ただ、突然トレンド方向が変わったり変動幅が大きくなったりなど仕組みを知らないとリスクが大きくなってしまう通貨ペアでもあります。
では、クロス円通貨ペアの仕組みと特徴を考えて、どんなトレードができるか、考えていきましょう。
クロス円は合成された通貨ペア
クロス円は「合成通貨ペア」で、ドル円とポンドドルの値動きに強く影響を受ける通貨ペアです。
銀行等の金融機関の間で取引が行われるインターバンク市場では、主に「ドルストレート通貨ペア」の取引がされています。世界の基軸通貨である米ドルは企業などの決済や貿易に広く使用されているためです。ですから、ドル円、ポンドドル、ユーロドルなどのドルストレート通貨ペアは、インターバンク市場で盛んに取引されています。つまり、私たちのようなトレーダーも参加していますし、企業などが行う実需取引も盛んであるということですね。
FXでは、企業が商取引のために行う場合など、実際の需要に基づいた為替取引を指す。一方、為替差益を得るために行う、実際の需要に基づかない取引は「投機的取引」と呼ぶ。
一方、クロス円について考えてみます。
例えば、金融市場でポンドと円を交換する需要というのは非常に限られています。インターバンク市場での取引量もわずかです。
そのため、「GBP/JPY(ポンド円)を買う」場合は、実際には「円でドルを買う取引(USD/JPYの買い)」と「ドルでポンドを買う取引(GBP/USDの買い)」が組み合わさっています。そのため、私たちが見ているGBP/JPYチャートは、「GBP/USD」と「USD/JPY」の価格レートを掛け合わせたレートになります。架空の通貨ペアとも表現できるかもしれませんね。これはGBP/JPY(ポンド円)に限らず、どのクロス通貨もおなじ仕組みです。
もちろん、例外的にクロス円通貨ペアの動きに影響されてドルストレート通貨ペアが変動することもあります。
では、ポンド円を例にどのようにレートが作成されているのかを考えます。
通貨ペアは上記のように分数で表すことができます。
GBP/JPY=GBP/USD×USD/JPY
という計算式ですね。
クロス円取引をするときには、ドル円とドルストレート通貨の三角関係をイメージする必要があります。
クロス円は三角関係を意識する
前章で、クロス円通貨ペアは「USD/JPYとドルストレート通貨の三角関係をイメージする」と解説しました。GBP/JPYはUSD/JPYとGBP/USDの価格レートによって算出されます。
ですから、3つの通貨関係をあらかじめ把握しておくと、GBP/JPYのトレードに最適な相場が分かります。
実際にチャートで確認してみたいと思います。
上記は、同じ期間のGBP/USD、GBP/JPY、USD/JPYのチャートです。このチャートでは、GBP/USDは上昇基調になっており、USD/JPYは下降基調になっています。しかし、GBP/JPYの値動きは一定方向ではないのが分かりますね。
合成通貨ペアの計算式に当てはめると、より強い動きの方向へGBP/JPYも連動して動くことになります。そのため、GBP/USDとUSD/JPYが反対方向に動いているときには、GBP/JPYは非常に不安定な動きになってしまうのです。
一方、GBP/JPYトレードに適した相場を紹介します。
GBP/USDでもUSD/JPYでも緩やかな上昇トレンドになっています。
GBP/USDも上昇、USD/JPYも上昇となっているとき、GBP/JPYは大きな上昇トレンドとなります。また、GBP/JPYは、3つの通貨ペアの中で最も変動幅が大きくなります。
FXには通貨強弱という考え方があります。どの通貨が買われやすい地合いなのか、売られやすい地合いなのかを数値で表すことができます。
上記のチャートでは、GBPがUSDよりも買われやすく、JPYがUSDよりも売られやすい地合いとなっています。計算式であらわすと、以下のようになります。
GBP>USD>JPY
このような通貨強弱の関係になっているときに、GBP/JPYは大きな上昇トレンドとなります。
通貨強弱を意識することがクロス円トレードでは大切です。通貨強弱について、もっと知りたいという方は、以下の記事で詳しく紹介しています。
トレンドフォローで大きく利益が獲れる!
結論から言うと、クロス円トレードでは「短期トレンドフォローのデイトレード」がおすすめです。
前章でも紹介しましたが、基本的には米ドルの動きによって、価格が変動しています。しかし、日によって、他の通貨が動きを先導する場合があります。
例えば、イギリスのブレグジット(EU離脱)や欧州のコロナ問題によってGBPやEURが活発にトレードされます。米ドルではなく、他の通貨が相場の主流になった場合、クロス円のトレードをするのが最適です。
大きなトレンドが発生しやすく、収益も期待できます。しかし、よほど大きなファンダメンタル要素でない限り、基軸通貨である米ドル中心の相場に戻るという性質があります。
そのため、クロス円トレードに慣れるまでは、「デイトレードのトレンドフォロー」がおすすめです。ドルストレート通貨ペアよりも変動幅が大きいので、デイトレードでも十分な収益が期待できます。
クロス通貨ペアは変動幅が大きいことをチャートで確認してみましょう。先ほど紹介したポンド円(GBP/JPY)はポンド自体がボラティリティの大きい通貨として有名なので、ここでは、ユーロ円(EUR/JPY)チャートを使ってみます。
ドルストレート通貨ペアのユーロドル(EUR/USD)は安定した動きをすることで有名です。ボラティリティも安定しているので、FX初心者の方でも取り組みやすいと思います。一方、クロス円通貨ペアであるEUR/JPYは、GBP/JPYと同じようにボラティリティが大きい通貨ペアです。EUR/JPYもGBP/JPYと同じように考える必要があるからですね。
1時間足で見ると、3日間にわたって下降トレンドが続いていて、デイトレードであっても十分なボラティリティがあることが分かります。EUR/USDで100Pipsを獲得するには2~3日間かかることが多いのですが、EUR/JPYのトレンド相場であればデイトレードでも80~100Pipsを十分狙えるのです。
クロス円は本当に難しいのか、検証してみる
FX初心者はドルストレート通貨ペアがおすすめ
「クロス円通貨ペアのトレードは難しい」と言われることがあります。
大きな利益を狙えるというメリットはあるのですが、私もFX初心者の方には「ドルストレート通貨ペア」がおすすめです。中でも、やはり相場の方向感が分かりやすいのは「USD/JPY」や「EUR/USD」だと思います。FX初心者の方でも、値動きが落ち着いていると短期間に大きな含み損を抱えることがないため、比較的冷静にトレードができるでしょう。
また、ドルストレート通貨ペアは、スイングトレードなど長期間のトレードをする方にも向いています。一方、ポンド円などボラティリティの大きいクロス円は、「短期で大きく利益が出せる」という特長があります。別の言い方をすると、ボラティリティが大きいので数日間のトレードでも大きな損失となることがあります。
もちろん、極端にロット数を下げれば問題ないのですが、せっかくのハイレバレッジを活用できなくなってしまいます。
ポンド円トレードは大きな利益を見込めるので、FX初心者の頃は積極的にトレードしていました。ある日は、夕方のロンドン市場にエントリーをして、ニューヨーク時間までずっと下降トレンドが続き、100pipsの含み益が出ていました。
私はデイトレーダーなので、トレードルールでは寝る前に決済するべきだったのですが、欲を出してしまい、ルールを無視してポジションを保有し続けてしまったのです。翌日、目が覚めてMT4を開けてみると、ポジションが決済されていたので、利益確定ポイントに届いたのかと思って喜んだのもつかの間、すべて赤文字でストップロスになっていたのです。
夜中の3時頃にトレンドが変わったらしく、エントリーポイントよりも相場が上昇し100Pipsの大損となってしまいました。ショックで1ヶ月はチャートも見られなくなってしまったのです。もちろん、反省すべきポイントはたくさんありましたが、クロス円通貨ペアはトレンドが変わりやすいということを、身をもって体感したのです。
ドルストレート通貨ペアはトレンドを予想しやすい
ドルストレート通貨ペアが初心者のトレードにおすすめなのは、トレンドを予想しやすいからです。
何度も書きましたが、「USD」は世界の基軸通貨です。世界で最も取引量があり、機関投資家も企業も個人トレーダーも米ドルの動きに注目しています。そのため、トレンドが一度発生すると、トレンドが数日間続きやすくなります。
また、「GBP」「USD」「JPY」の3つの通貨の値動きで価格レートが算出されるクロス円通貨ペアと異なり、ドルストレート通貨ペアは基本的には「GBP」と「USD」の通貨強弱(需給関係)でレートが決まります。関わる通貨は少ない方がシンプルに値動きを予想できますよね。
GBP/USDの1時間足チャートを例に解説してみます。チャートに表示しているのは、短期・長期の複数の移動平均線を用いてトレンドを確認するインジケータ、GMMA(ガンマ)です。
上昇トレンドが3日間続き、その後、下降トレンドが約1週間続きました。高値の1.34600付近から安値の1.27600付近まで、700pipsという大幅な下落です。これは、イギリスがEUから合意なき離脱をするのではとの見方が広がったことが原因です。
GBP/USDの価格レートにUSD/JPYや他の通貨ペアの価格レートが直接影響を及ぼすことはありません。GBP/USDのチャートとファンダメンタル、テクニカルを考えればいいだけなのです。
クロス円通貨ペアの場合、上記の要素に加えてUSD/JPYの動きを必ず考える必要があります。そのため、動きが複雑になりやすく、相場の予想がしにくいのです。
クロス円通貨のトレードで勝率を上げる方法
前章でクロス円トレードは、「短期トレンドフォロー(順張り)戦略」がおすすめとお伝えしました。
もう少し具体的に、トレードで勝率を上げる3つの方法をお伝えします。
クロス円通貨ペアは売りエントリーだけを狙う
一般的に「下降トレンドの方が短期間で伸びやすい」という傾向があるため、クロス円通貨ペアは売りエントリーだけを狙うのがおすすめです。
AUD/JPY(豪ドル円)の1時間足チャートです。
最初の3日間は上昇トレンドになっていますが、じわじわと上昇しています。上昇トレンドの途中ではダマシのような動きもありますね。陽線もあれば陰線もありという感じです。
一方、上昇トレンドの後の下降トレンドは約1日です。下降トレンドが始まってからは、ほぼ陰線です。約1日で最初の3日間の上昇を打ち消してしまいました。
もちろん、上昇相場でも一気に伸びることはありますが、下降トレンドの方が伸びやすいという性質を覚えておくと、トレードで役立てられるのではないかと思います。
通貨強弱を必ず確認する
クロス円通貨ペアをトレードするときには「通貨強弱」を意識すると、より動きが分かりやすくなります。
私は「FX Power」という通貨強弱を確認するインジケータを活用しています。MT4/MT5を開発したメタクオーツ社が運営するコミュニティサイトで無料提供されています。
GBP/JPYの1時間足チャートに「FX Power」を表示させてみました。
このインジケータを使えば、その通貨ペアに直接関係する2通貨の通貨強弱に加え、米ドルを含む主要8通貨の強弱が表示されます。GBP/JPYにはドルの動きも関係してきますので、「GBP」「USD」「JPY」の3つの通貨強弱が一目で把握できるのは便利ですね。
GBP/JPYの見方は以下のとおりです。
通貨強弱のトレード戦略
強弱の関係 | ポンド円のトレード戦略 |
---|---|
GBP>USD>JPY | 強い上昇トレンドが発生しやすい |
JPY>USD>GBP | 強い下落トレンドが発生しやすい |
上記以外の関係 | 相場の方向感がなく、トレードしてはいけない |
FXは株とは異なり、通貨ペア同士の需給関係で成立しています。「GBP/JPYの買いポジションを保有する」というのは、「GBPを買ってJPYを売る」という取引です。
FX Powerインジケータを使うと、「GBPが買われやすくJPYが売られやすい相場」「GBPが売られやすくJPYが買われやすい相場」をすぐに判断できます。
通貨強弱の詳しい見方は、以下の記事で解説しています(FX Powerとは別のインジケータを使用しています)。
FXは通貨ペアとして取引されるものですが、通貨強弱は、複数の通貨ペアを分析して、ある通貨単独の強さを算出したものです。そのため、1つの通貨ペアで見るよりも、その通貨そのもののファンダメンタルズを反映しているといえます。テクニカル分析×ファンダメンタルズ分析が同じ方向を向いている相場は勝率も高くなります。
(まとめ)クロス円通貨ペアはコツが必要
ここまでクロス円通貨ペアとドルストレート通貨ペアについて解説してきました。
クロス円通貨ペアの価格は「ドル円」と「ドルストレート通貨ペア」の価格レートから算出されています。
そのため、GBP/JPYであれば、USD/JPYとGBP/USDの動きを考えないと、突然の動きに右往左往してしまいます。できればデモ口座で実際にトレードしながら、特徴を分析してみてください。この記事で紹介した通貨強弱インジケータを使うのが便利です。
コツが必要ですが、大きな収益が期待できるのもクロス円通貨ペアの魅力ですね。ぜひチャレンジしてみてください。
当サイトで紹介しているXMTrading(エックス エム)は、最大レバレッジ888倍と豊富なボーナスを活用して大胆なトレードができます。また、低スプレッドなどの取引環境にこだわりたいトレーダーにはTitan FX(タイタン FX)がおすすめです。各サービスや比較記事、様々なテーマのコラムを執筆していますので、ぜひ他の記事も参考にしてください。
編集部の
コメント
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