海外FXテクニカル分析
RSIを使いこなそう!逆張り・順張りの戦略やダイバージェンスの活用術
「FX初心者でもできるテクニカル分析」シリーズの第二弾は、「RSI」を紹介します。
RSIは、一定期間の値動きの変動幅から相場の過熱感を判断するオシレーター系のテクニカル指標です。オシレーター系指標はローソク足のあるメインチャートではなく、その下のサブチャート上に表示され、トレンド系テクニカル指標を補佐する役割を果たします。RSIはそんなオシレーターの中でも、最も人気がある「最高の補佐役」ともいえる存在です。
知りたい情報TOP3(ここを読めば解る)
この記事の目次
RSIの基本を理解しよう
買われ過ぎ・売られ過ぎを判断する指標
RSIは相場の相対的な強弱、つまり買われ過ぎなのか、売られ過ぎなのかといった過熱感を判断できるオシレーター系テクニカル指標です。オシレーター系指標とは「振り子」を意味し、RSIは0%~100%の数値で表される範囲を過熱感に応じて上がったり下がったりする性質があります。
詳しくは後述しますが、基本的にRSIの数値が70%以上なら買われ過ぎ、30%以下なら売られ過ぎと判断できます。その分かりやすさから、初心者でも使いやすいテクニカル指標だといえます。
RSIの説明の前に、オシレーター系指標の元祖ともいえるサイコロジカルラインについてお話しておきましょう。これは「ある一定期間に相場が上昇した日数が何%あるか」を折れ線で表し、相場の強弱を見極めるために利用されました。サイコロジカルには「心理的な」という意味があり、投資家の心理を数値化したことから、この名称がついています。
サイコロジカルラインは、たとえ1銭でも上昇したものは上昇とカウントされてしまうのが弱点でした。その弱点を補うよう改良されたのがRSIです。RSIは値幅の概念を組み込み、「一定期間において上昇した値幅がどれくらいあるか」を表します。数値が100%に近いほど上昇分の値幅が大きいことを意味し、強気の相場であると判断できます。反対に、数値が0%に近いほど弱気の相場であることを示唆します。
下の画像は、サイコロジカルラインとRSIを比較したものです。全体的な形状は似ているものの、ローソク足の値幅が大きかったり小さかったりする局面の形状に差異がありますね。RSIの方が、より値動きの性質を表しやすいことが分かります。
RSIの計算式はシンプルです。日足であれば、まず対象となる期間において「上昇した日」と「下降した日」に分類します。そして、上昇した日の値上がり幅の平均を求め、それが全体の何%にあたるかを算出します。
RSI=対象期間の値上がり幅平均÷(対象期間の値上がり幅平均+対象期間の値下がり幅平均)×100
例えば14日間のRSIを算出する場合、14日間のうちに上昇した日が8日間で、その値上がり幅の平均が10円、下降した日が6日間でその値下がり幅の平均が6円だったとします。この場合、RSIは「10円÷(10円+6円)×100=62.5%」になります。
サイコロジカルラインと比較すると、RSIでは値上がり幅と値下がり幅が考慮されるので、一定期間における買われ過ぎ・売られ過ぎをより判断しやすくなります。
RSIの考案者は米のテクニカルアナリスト
RSIは、米国のトレーダーでありテクニカルアナリストでもあるJ・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア氏が考案した指標で、1978年に著書『New Concepts in Technical Trading Systems』にて発表されました。同書は日本語にも訳され『ワイルダーのテクニカル分析入門』というタイトルでパンローリング社から出版されています。ちなみにRSIとは、「 Relative Strength Index」の頭文字を取った呼び方です。
基準となるラインは30%と70%
RSIの見方は非常にシンプルで、30%と70%のラインに注目します。RSIが70%ラインよりも上のゾーンに入った場合は買われ過ぎで天井が近い、30%ラインよりも下のゾーンに入った場合は売られ過ぎで底が近い、と判断するのが一般的です。
RSIの数値と見方
RSIの数値 | RSIの見方 |
70%以上 | 買われ過ぎ= 天井圏が近いと判断→売りを検討 |
30%以下 | 売られ過ぎ= 底値圏が近いと判断→買いを検討 |
RSIは実際の価格よりも先行して、天井や底をつける性質があります。そのためRSIが天井や底をつけた場合は、相場も反転するか、それに近い大きな反発が間もなく起こるサインと考えることができるのです。
買われ過ぎ・売られ過ぎのゾーンに入った場合は、相場の行き過ぎから反転が近いと予想し、その反転を狙います。FXでは、このようにトレンド(相場の流れ)に逆らって取引することを「逆張り」といいます。
とはいえ、単純に買われ過ぎ・売られ過ぎゾーンに入ったときに逆張りでトレードしたからといって必ずしも成功するとは限りません。RSIは強いトレンドが継続しているような相場では「ダマシ」になることもあり、その場合は損失を被るリスクもあるので注意が必要です。ダマシを回避するテクニックは、後ほど詳しく解説します。
フェイラースイングと乖離(ダイバージェンス)に注目してダマシを回避
テクニカル指標のシグナル通りに相場が動かないことをダマシといいます。例えば、RSIで売られ過ぎを示唆するシグナルが出たものの、相場がなかなか反転上昇に向かわず、挙句の果てに思惑とは逆の下降方向に動いてしまうケースです。どんなテクニカル指標でもダマシは必ず発生しゼロにすることはできませんので、できるだけ回避する、もしくはダマシに遭った際の損失を最小限に食い止めることが重要です。
MT4/MT5でRSIを使ってみよう
ここでは、主に海外FX業者で採用されているチャートツール、MetaTrader4(MT4)/MetaTrader5(MT5)でRSIを使う方法を紹介します。設定方法をすでに知っている方は、手法の章に進んでください。
MT4とMT5の操作はほぼ同じですが、この記事では図解にMT5を使用します。MT4については、下記リンクをご参照ください。
RSIの設定方法
MT5でRSIを使うには、「ナビゲータ」画面より「指標」→「オシレーター」のメニューを順に開いていき、「Relative Strength Index」をチャート上にドラッグ&ドロップします。
MT5では、二つのパラメーターが変更可能です。
RSIのパラメーター
パラメータ | デフォルト | 内容 |
---|---|---|
①期間 | 14 | 計算に使用する期間(時間足の本数)を指定します。 |
②適用価格 | CLOSE (終値) |
RSIの計算に使用されるレートの種類を指定します。 |
①期間 | |
デフォルト | 14 |
内容 | 計算に使用する期間(時間足の本数)を指定します。 |
②適用価格 | |
デフォルト | CLOSE(終値) |
内容 | RSIの計算に使用されるレートの種類を指定します。 |
おすすめのパラメーター設定
RSIの期間として、一般的によく用いられるのは「14」です。これは開発者のワイルダー氏が推奨している数値で、ある一定の変動幅の中で価格が上がったり下がったりを繰り返すレンジ相場や、緩やかなトレンド相場で機能しやすい水準とされています。
それ以外では「9」も人気のパラメーターです。RSIは期間を短くするほど動きの感度が高く上下動の幅も大きくなり、長くするほど滑らかな動きで上下動の幅は小さくなる特徴があります。そのため「9」を採用する場合は、相場の過熱感を判断する水準として「14」よりも範囲を広げ、80%ラインを買われ過ぎ、20%ラインを売られ過ぎの目安にすることが多いです。
なお、短期の取引では、直近の値動きの影響を反映しやすい「5」や「7」といった、より短いパラメーターが使われることもあります。
MT4/MT5では、RSIを表示するとデフォルト設定の「14」が適用されます。RSIに限らず、どのテクニカル指標もよく使われる設定がデフォルトになっている場合がほとんどなので、初心者のうちは何も変えずにそのまま利用してみるのも一つの手です。パラメーターの変更は簡単にできるので、デフォルトの数値に慣れてきたら設定を変えて使ってみるといいでしょう。ちなみに、適用価格に関してもデフォルトのCLOSE(終値)をそのまま用いるのが一般的です。
プロの
助言
RSIは期間を短くすると感度が高まり振れ幅が大きくなるため、70%ラインや30%ラインに到達する頻度が多くなります。反対に、期間を長くすると感度が鈍って振れ幅が小さくなるため、70%/30%ラインに到達しにくくなります。期間が短過ぎると買われ過ぎ・売られ過ぎのシグナルが増えるものの必然的にダマシも多くなり、期間が長過ぎるとダマシは減るもののシグナルも減ってしまい、テクニカル指標としての役割を果たさなくなるというわけです。そのためRSIは、相場の環境確認と環境に合わせたパラメーターの見極めが非常に重要となります。
【基礎編】RSIは「逆張り」で使うのが基本戦略
実際のトレードにおいて、どのようにRSIを使えば良いのか、基本的な方法を2パターン紹介します。逆張りで利用するのが一般的ですが、相場の流れと同じ方向に売買する順張りで使用する場合もあります。
買われ過ぎゾーン・売られ過ぎゾーンの出口を狙う
RSIの王道戦略といえるのが、買われ過ぎゾーンや売られ過ぎゾーンからの反転を狙う逆張りです。ゾーンからの逆張りといいますが、それらのゾーンに入ったときに、単純にエントリーすれば良いというわけではありません。狙うべきは、ゾーンを出るときです。
エントリータイミング
売られ過ぎゾーンからの反転を狙う場合は、RSIが30%ラインを下回り、その後に30%ラインを上抜けるタイミングで買いエントリーします。買われ過ぎゾーンからの反転を狙う場合は、RSIが70%ラインを上回り、その後に70%ラインを下抜けるタイミングで売りエントリーします。
決済タイミング
70%ラインと30%ラインは、利益確定の目安として使うことも可能です。上記のエントリータイミングで買いポジションを保有した場合は、RSIが70%ラインを上回り、その後に70%ラインを下抜けるタイミングで利益確定とします。売りポジションを保有した場合は、RSIが30%ラインを下回り、その後に30%ラインを上抜けるタイミングで利益を確定しましょう。
RSIが使いにくい局面もある?
相場が大きな上昇や下降を続けているときは、RSIが買われ過ぎゾーンまたは売られ過ぎゾーンに張り付いてしまい、シグナルが出ないケースもあります。レンジ相場では力を発揮するRSIですが、大きなトレンドが継続しているような相場では機能しにくいというデメリットがあることを覚えておきましょう。
50%ライン突破で順張りする戦略も有効
次に紹介するのは、RSIを順張りの目安として使う方法です。こちらはRSIの50%ライン(買いと売りが均衡するライン)を相場の転換点として利用します。RSIが売られ過ぎゾーンから50%ラインを上抜けるときには上昇トレンドが継続しやすく、買われ過ぎゾーンから50%ラインを下抜けるときに下降トレンドが継続しやすい、と判断するのがポイントです。
エントリータイミング
RSIが売られ過ぎゾーンから50%ラインを上回ったら順張りで買いエントリー、買われ過ぎゾーンから下降し50%ラインを下回ったら順張りで売りエントリーします。この順張り方法では、RSIの期間をデフォルト設定の「14」にするのが基本です。
また、エントリーの基準となるラインを50%ではなく、少しゆとりを設けて55%(買いエントリー)と45%(売りエントリー)に変更するアレンジ版もあります。50%ライン越えたからといってすぐにエントリーするのではなく、RSIの方向性(トレンド転換)をしっかりと確認してからエントリーすることで、ダマシを減らすことができます。
決済タイミング
買いポジションを保有した場合は、RSIが70%ラインを上回り、その後に70%ラインを下抜けるタイミングで利益確定とします。売りポジションを保有した場合は、RSIが30%ラインを下回り、その後に30%ラインを上抜けるタイミングで利益を確定しましょう。
RSIが表示されるサブウインドウには、デフォルトで30%と70%の補助線が引かれています。ここに50%の補助線を表示したい場合は、RSIのプロパティを呼び出し、「レベル」タブにて新たに「50」のレベルを追加します。なお、プロパティを呼び出すためにはRSIのライン上で右クリックすると選択できるようになります。
【実践編】RSIをさらに活用する方法
ここからは、RSIの応用の使い方を二つ紹介します。これらのテクニックをうまく活用すれば、ダマシを防いで精度の高いトレードが実現可能です。
フェイラースイングとダイバージェンスに注目してダマシを回避
RSIは30%や70%といった数値に着目して相場の強弱を判断するのが基本ですが、それ以外にもRSIの形からトレンド転換を見極める手段があります。それは、フェイラースイング(失敗したスイング)と、ダイバージェンスというパターンです。
フェイラースイングとは、RSIが高値更新(安値更新)に失敗してトレンド転換していく際に現れるチャートパターンのことです。フェイラースイングには、トップフェイラースイングとボトムフェイラースイングの2種類があり、どちらも相場転換の確証が高いシグナルです。
ワイルダー氏は「RSIが30%以下、あるいは70%以上のときに起こるフェイラースイングは、相場が反転する強いシグナル」と著書で述べています。
トップフェイラースイング
上昇トレンドで70%ライン以上の高値をつけたRSIが反転していったん下降した後、再び上昇して高値更新に挑戦するものの、更新できずに下降を始める一連の動きのことです。上昇から下降への転換を示唆します。直前の谷の水準を割り込むポイントで売りエントリーするのがセオリーです。
ボトムフェイラースイング
下降トレンドで30%ライン以下の安値をつけたRSIが反転していったん上昇した後、再び下降して安値更新に挑戦するものの、更新できずに上昇を始める一連の動きのことです。下降から上昇への転換を示唆します。直前の山の水準を越えるポイントでの買いエントリーが効果的です。
もう一つのダイバージェンスとは、ローソク足の値動きの方向性とRSIの方向性が逆行する現象のことです。ワイルダー氏はダイバージェンスを「RSIの最大の特徴」「トレンドの転換が近いことを示す強いシグナル」と述べています。
例えば、下降トレンドの最中にローソク足の安値が切り下がっているにもかかわらず、RSIの安値が切り上がる動きがあれば、それがダイバージェンスです。その後、上昇トレンドに転換することが予想されるため、買いエントリーが有効です。
反対に、上昇トレンドの最中にローソク足の高値が切り上がっているにもかかわらず、RSIの高値が切り下がる動きがあれば、下降トレンドに転換することが予想されるため、売りエントリーが有効になります。
ダイバージェンスは相場が転換する際に必ず起こるわけではありませんが、重要なポイントではたいてい出現します。フェイラースイングに加え、ダイバージェンスも発生すれば、高い確率でトレンド転換が起こると推測することができます。
ダイバージェンスの横軸の長さ(期間)は問わない?
RSIとローソク足のダイバージェンスは、「山と山」「谷と谷」に補助線を引くことで明確にできます。その補助線を引く際、横軸の長さ(期間)は長くても短くても有効です。期間が長い場合、RSIではフェイラースイングが発生することも多い傾向があります。
RSIのボリンジャーバンドを表示する
RSIにも弱点があります。相場の勢いによっては、買われ過ぎや売られ過ぎといえる水準が変化するため、過熱感を正確に判断できない場合もあるということです。例えば、相場にあまり勢いがないとき、30%より上の水準であったとしても、売られ過ぎといえる場面があります。30%を下回ることを待っていては、トレードチャンスを逃してしまいます。
その弱点を補うのが、RSI自体にボリンジャーバンドを表示することです。ボリンジャーバンドというと、ローソク足を基に作るのが基本ですが、RSIを基に作ることもできるのです。下画像のサブウインドウが、RSIボリンジャーバンドです(表示方法は後述します)。
ボリンジャーバンドは、統計学における「標準偏差」の考え方に基づいたトレンド系のテクニカル指標で、ボラティリティ(価格変動率)の度合いを視覚的に判断できるようにするものです。このRSIボリンジャーバンドを利用することで、相場の勢いを加味した過熱感を知ることができます。
従来のRSIでは30%や70%を過熱感の基準としましたが、RSIボリンジャーバンドではRSIが+2σにタッチしたら買われ過ぎ、-2σにタッチしたら売られ過ぎと判断することができます。たとえ30%や70%に達していない場合でも、そのような判断が下せるのです。
RSIにボリンジャーバンドを追加する方法
MT5でRSIのボリンジャーバンドを表示するには、まずRSIを表示することから始めます。「ナビゲータ」画面より「指標」→「トレンド系」のメニューを順に開いていき、RSIのサブウインドウに対して「Bollinger Bands」をドラッグ&ドロップします。するとプロパティ画面が表示されるので、パラメータタブの「適用価格」で「始めの(前の)インディケータのデータ」を選択してOKを押すと表示されます。
(まとめ)シンプルだからこそ応用が利く
RSIは逆張りだけでなく順張りの目安として利用することも可能で、その特性を理解して上手に使いこなせれば有用で心強いテクニカル指標です。
ただ、シンプルで非常に使いやすい反面、ダマシが多く、売買の判断に迷う場面も少なくありません。トレードを成功させるためにも、この記事で紹介した応用手法を試してみるのがおすすめです。
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