海外FX初心者
2023年5月31日から運営を停止していたGEMFOREX(ゲムフォレックス)ですが、2023年8月1日にM&Aによる事業承継の完了を発表しました。事業継承先の名称は「Galaxy DAO」となり、新たなスタートに期待が寄せられます。
ところが、事業継承先であるGalaxy DAOの実態は不透明で、果たしてこの組織がユーザーの期待に応えることができるのか、多くの疑問が残されています。
本記事では、Galaxy DAOに対する疑問や、今後GEMFOREXがどのようになるのかについて、独自見解で解説しています。事業継承による今後の展開や、GEMFOREXにおける未払金の出金状況など、現時点で判明している情報についても触れています。
この記事の目次
GEMFOREXの現状に至る経緯
GEMFOREX(ゲムフォレックス)は、2010年に自動売買を主軸とした会社として創設し、2014年から本格的に海外FX業者としての道を歩み始めました。
それから約9年間、日本におけるGEMFOREXの存在は大きく、海外FX業者といえば必ず上位に名前が挙がるほどでした。しかし、GEMFOREXは度重なる資金面でのトラブルから、2023年5月31日をもってサービスを停止しています。
資金難で実質的な経営破綻に
GEMFOREX(ゲムフォレックス)は豪華なボーナスキャンペーンを続々と打ち出し、日本人ユーザーから人気を博していた海外FX業者です。しかし、2022年中頃からGEMFOREXは複数のトラブルに見舞われ、GEMFOREXは深刻な資金難に陥る事となりました。
GEMFOREXが見舞われたトラブル
- 2022年中頃から集団による第3者名義貸し&口座転売にて利用規約違反によるボーナスアービトラージが横行し大きな損失が発生
- 2022年後半、決済代行会社による35,879,651 USD(約50億円)の持ち逃げが発生
- 2022年後半、決済代行会社による1,098,709,370円 (7,996,429.18 USD)の未払いが発生
トラブルを抱えたGEMFOREXはeKYCの導入や自社の仮想通貨「GEMFOREX Coin」の販売によって再起を図りましたが、これらの試みは成功せず、大幅な出金遅延が生じた末に実質的な経営破綻に至っています。
その後、GEMFOREXは10億ドル規模のM&Aによる事業継承案を打ち出し、新たな体制での再建を目指していました。
M&Aとは?
M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略称で、直訳すると「企業の合併と買収」を意味します。M&Aには大きく分けて「合併(Merger)」と「買収(Acquisition)」の2つの形があります。合併は2つ以上の企業が統合して新しい企業を形成することを指し、買収はある企業が他の企業を所有し、その経営権を取得することを指します。
今回のGEMFOREXの場合、新たな事業体「Galaxy DAO」によるM&Aが行われ、GEMFOREXの事業が引き継がれる形となりました。これにより、GEMFOREXの事業とユーザーは新たな所有者であるGalaxy DAOによって運営・管理されることとなります。
M&Aによる事業継承を行い返金を約束
GEMFOREX(ゲムフォレックス)は、2023年5月に以下のスケジュールで事業継承の取引を行っていくと発表していました。当初10億ドルを予定していた事業継承ですが、実際には6億ドルで合意に至ったようです。
事業継承スケジュール
協議開始 | 2023年5月25日 |
交渉提示金額 | 10億USD |
手続開始予定 | 2023年6月1日〜7月30日 |
譲渡予定 | 2023年 8月1日 |
協議開始 |
2023年5月25日 |
交渉提示金額 |
10億USD |
手続開始予定 |
2023年6月1日〜7月30日 |
譲渡予定 |
2023年 8月1日 |
当初の予定ではGEMFOREXは事業継承の目処を8月1日とし、この事業継承で得られる資金に関して「GEMFOREXが受け取ることはなく、新しい経営陣が立て直しを図る費用として顧客への返金に充当する」と明言しています。しかし、事業継承先がDAO(分散型自律組織)という特性上、返金に暗雲が立ち込める事となっています。
GEMFOREXがGalaxy DAOへの事業承継完了を発表
2023年5月31日以降すべてのサービスを停止していたGEMFOREX(ゲムフォレックス)は、2023年8月1日に、およそ6億ドルで「Galaxy DAO」とのM&Aによる経営権の譲渡と事業承継契約が締結した事を公式サイト上で発表しました。
公式WEBサイトがGalaxy DAO風に
2023年8月1日からは、買収先である「Galaxy DAO」によって運営が開始されるようです。今回の発表に伴い、GEMFOREX(ゲムフォレックス)のウェブサイトは大幅に変更されています。
さらに、利用可能なのはマイページのみに制限され、「今後のガイドライン」や「お客様のお預かり資金について」など、資金が拘束されているユーザーにとって唯一の情報源であったページが全て削除されてしまいました。
今回の事業承継には多くの不明瞭な点が存在し、その信頼性は十分とは言えません。GEMFOREX自身が裏で手を回している可能性も排除できず、慎重な視点で動向を追う必要があります。
サポート窓口はGalaxy DAOのDiscordへ
リニューアルと同時に、GEMFOREX(ゲムフォレックス)公式WEBサイトからサポート窓口へ問い合わせることが出来なくなりました。公式WEBサイトの「Support」をクリックすると、以下のような画面が表示されます。
英文を日本語に訳すると次のようになり、今後はGalaxy DAOのDiscoedで対応を行っていくと記載されています。
カスタマーサポートのメッセージ
カスタマーサポートはメールではなく、Discordで対応します。Discordアカウントをお持ちでない場合は、こちらからアカウントを開設し、以下のサポートチャンネルにお入りください。
Galaxy DAOへ問い合わせを行いたい方は、以下の手順を参考にしてください。なお、問い合わせを行うには別途Discordのアカウントを用意する必要があります。
サポートへの問い合わせ方法
- #support にアクセスする
- 「Create ticket」をクリック
- 「ticket-0000」が作成され、チャットでメッセージを送信できる。
現在の対応は英語のみで、日本語で質問を行っても返信が無いようです。質問を行う際は、Google翻訳やDeepLなどの翻訳ツールを使用しましょう。
返金対応の詳細は次回のホワイトペーパー公開で明らかに?
実際に英語でサポートへ出金予定について問い合わせたユーザーによると、15日のホワイトペーパー公開を待てとの返答があったようです。
リニューアル前のGEMFOREX(ゲムフォレックス)公式ウェブサイトに掲示されていた「今後のガイドライン」によれば、出金対応予定日は8月15日から8月31日までの期間に予定されています。
GEMFOREXによる今後のガイドライン
- 2023年8月1日~15日:ホワイトペーパー公開予定
- 2023年8月15日~8月31日:出金遅延者への出金対応予定
- 2023年9月1日~30日:サービス再開目標
現在GEMFOREXに資金を拘束されているユーザーは、8月15日以降に行われる新たなホワイトペーパーの公開で有用な情報を得られるかもしれません。
ホワイトペーパー(White Paper)は、新しい技術やプラットフォームの紹介に用いられる報告書です。仮想通貨サイトのホワイトペーパーは、技術的な概要、プロジェクトのビジョン、ロードマップなどを説明するのが一般的です。
GEMFOREXが事業継承したGalaxy DAOの詳細
現段階ではGEMFOREX(ゲムフォレックス)の今後について、Galaxy DAOによる具体的な施策は公開されていません。
さらに、Galaxy DAOのウェブサイトもまだ完全には公開されておらず、現在は単にカウントダウンが表示されているだけです。
現在確認できる情報源は、X(旧twitter)とGalaxy DAOが運営するDiscordチャンネル、およびGitBookで公開されているホワイトペーパーのみとなり、それぞれ情報量が少なく不信感が拭い切れません。
Galaxy DAOのホワイトペーパーは内容の薄さが目立つ
Galaxy DAOのホワイトペーパーがGitBookで公開されています。ホワイトペーパー内では、Galaxy DAOが中央集権型の仮想通貨取引所である「Trade Planets」の運営を計画している事について記載されています。
しかしながら、そのホワイトペーパー全体の文字数は非常に少なく、全9ページのうち4ページがわずか300~400文字程度の情報しか含まれていません。また、プロジェクトの構想についての説明も「業界最大かつ最高の取引プラットフォームを提供する」などという抽象的な表現にとどまっており、具体的なビジョンが明示されていません。
さらに、ホワイトペーパー内のリンクページを確認してみると、Galaxy DAOのウェブサイトへのリンクすら含まれておらず、新規事業の立ち上げを伝えるホワイトペーパーとしては内容が薄いと感じられます。
また、GEMFOREX(ゲムフォレックス)についての今後の運営方針については一切触れられていません。2023年8月3日時点での最終更新日は17日前で、8月1日のGEMFOREX事業継承前の情報がそのまま掲載されています。
新たなホワイトペーパーが2023年8月15日に公開されるとの情報がありますので、その続報に期待しましょう。
カウントダウンのみのGalaxy DAO公式サイト
GEMFOREX(ゲムフォレックス)の公式ウェブサイトは、2023年8月1日に大幅な変更が行われています。その結果、過去のスケジュールやその他の情報へのアクセスが制限されてしまいました。
トップページにある「Galaxy DAO」をクリックすると、Galaxy DAOのカウントダウンページが表示されます。2023年7月24日に作成されたこのページは、カウントダウン、Waiting List、SNSとホワイトペーパーへのリンクがあるのみで、具体的な情報は公開されていません。
カウントダウンが一体何を示すのかは明示されていませんが、表示されている数字から判断すると、2023年9月1日に何らかの動きがあることが予想されます。
今のところ、顧客資金の返還などについての公式発表はありませんが、GEMFOREXが以前に公開していた情報によれば、2023年9月1日から9月30日の間にサービスを再開する予定であるとのことです。9月1日に、サービス再開や資金の返還について、何らかの発表があることに期待が寄せられます。
Galaxy DAOのX(旧Twitter)アカウントは開設されたばかり
Galaxy DAOのX(旧Twitter)アカウントは、作成日が2023年6月で開設したばかりのアカウントのようです。ツイートはホワイトペーパーとDiscordへの案内が含まれたわずか4投稿のみで、他に特筆すべき内容はありません。
また、現在のフォロワー数は約4,500人となっていますが、Discordへの案内が記載された固定ツイートが3,780回もリツイートされ、そのツイートのインプレッション数が2.3万回に達しています。これらの数値から見ると、アクティブなフォロワー数、リツイート数、そしてインプレッション数との間にはバランスがとれておらず、不自然さが感じられます。
Galaxy DAOのX(旧Twitter)アカウントも、見栄えを繕って即席で作成された印象が拭い切れません。
Galaxy DAOのDiscordは不自然な点も
Galaxy DAOのDiscordチャンネルでは、いくつかの不自然な現象が確認できます。まず一つ目は、プロジェクトの具体的な内容が周知されていないにもかかわらず、大量の海外ユーザーが集まっていることです。2023年8月3日の調査時点では、日本語表記や日本人名を持つアカウントを除外した上で約100名のアカウントが確認されました。ここまでの海外ユーザーが何故集まっているのか、その理由が不透明です。
二つ目の疑問点は、Galaxy DAOのチャンネルが開設された当初に海外ユーザーから多くの投稿があったことです。2023年7月初旬に開設されたと思われるDiscordチャンネルですが、どこからともなく流入した海外ユーザーの投稿で埋め尽くされていました。ところが、2023年7月29日を境に海外ユーザーの投稿が一切見受けられなくなりました。この事象から、何らかの不自然な動きがあったのではないかと推察されます。
海外ユーザーの投稿内容も、大部分が「Hi」や「Hello」といった簡素なもので、Galaxy DAOがSNSのフォロワーを購入するようなサービスを利用した疑いも持たれます。
また、Discordチャンネルの管理者アカウントのアイコンは、ハリーポッターの登場キャラクターであるヴォルデモート卿でした。さらに、アカウント名が死の呪文となっており、一企業として公式に運営を行う人物とは思えないほど不適切なアカウントです。
GEMFOREXが事業継承したGalaxy DAOの信頼性
DAOとは分散型自律組織
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略称で、日本語にすると「分散型自律組織」という意味を持ちます。
DAOは中心的な管理者が存在せず、その代わりにガバナンストークンを所有する全ての参加者が意思決定を行うことができるという特性を持つため、組織運営における透明性が高まるとされています。
しかし、Galaxy DAOのホワイトペーパーでは、各メンバーが専門知識を活かして「集中型取引所 (CEX)」を設立するという方針が記載されています。また、「DAOという用語を都合よく解釈し、意思決定をコミュニティに完全に委ねることほど無責任なことはない」という記述も確認できます。
これらの記述からは、DAOの目的との矛盾を感じざるを得ません。8月15日に公開される新しいホワイトペーパーにおいて、Galaxy DAOの具体的な運営方針や、DAOという原則とどのように調和を図るのかを明確に記して欲しいところです。
管理者がおらず責任の所在が曖昧に
DAOは管理者が存在しない組織の性質上、トラブル発生時の対応策が明確でない点が問題です。最悪のケースとして、GEMFOREX(ゲムフォレックス)がGalaxy DAOを利用し、責任逃れを図っている可能性も視野に入れるべきでしょう。
加えて、公式ウェブサイトが簡素で、まだプロジェクトが発足していないGalaxy DAOの現状を見ると、6億ドルという莫大な資金をどのように調達したのかにも大きな疑念が生じます。
管理者がいないという特性を持つDAOが、なぜGEMFOREXを買収したのかという点についても、GEMFOREXの自作自演の可能性を含めて考察する必要があるでしょう。
GEMFOREXによる自作自演の可能性も
GEMFOREX(ゲムフォレックス)の事業継承金額は6億ドルと発表されています。しかし、現段階のGalaxy DAOからは、技術力やマーケティング力、あらゆる面において6億ドルもの資金を調達出来るとは思えません。
企業の再生を目指す組織が、このタイミングでなぜ日本語サポートを閉鎖し、ユーザーをDiscordへと誘導したのでしょうか。Galaxy DAOの行動はとても誠意ある対応とは思えず、GEMFOREXと結託して逃げ道を模索しているかのように見えてしまいます。
現在の状況からは、責任の矛先をGEMFOREXではなくGalaxy DAOへと転じさせようとしている、あるいはユーザーの望まない方法で返金が行われる可能性も考慮しておく必要がありそうです。
Galaxy DAOはGEMFOREXの信頼性を回復できるか?
今回GEMFOREX(ゲムフォレックス)が行ったGalaxy DAOへの事業継承に関する発表は、いまいち釈然としない結果となってしまいました。現状、出金遅延分に関して今後の具体的な施策が発表されていないため、先行きの不透明な状態が継続しています。
しかし、GEMFOREXが過去に公開したガイドラインによると、8月15日〜31日の期間に返金を開始するとのことです。新たなホワイトペーパー公開日も8月15日となっていますので、8月の大きな進展を心待ちにするしかありません。出金待ちのユーザーは、15日の新たなホワイトペーパー公開と、Galaxy DAOが行っている9月1日に向けてのカウントダウンに期待しましょう。
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