海外FX初心者
FX Fair(エフエックス フェア)は9月15日に全てのユーザーに対して分割出金申請フォームの送付を行いました。同社は2023年8月15日から現在に至るまで大規模な出金遅延を発生させており、その経緯がGEMFOREX(ゲムフォレックス)と類似していることから、FX FairがGEMFOREXと同様の問題を引き起こすのではないかという懸念が高まっています。
また、今回の出金トラブルには不審な点も多く、計画倒産を目論んでいるのではないかとの疑念も浮上しています。
本記事では、今回配信された分割出金の方法や注意点、さらにはFX Fairの不審な点など、FX Fairの出金対応について網羅的に解説していきます。
FX Fairが分割出金を決定した経緯
FX Fair(エフエックス フェア)は2023年8月15日に、「出金に関する手続き期間を最大5営業日から最大25営業日に変更する」と発表しました。
その理由はAssassin FXによる風評被害や仮想通貨のハッキング、銀行口座の凍結などが原因と述べられています。
FX Fairの出金遅延理由
- Assassin FXの粗雑な顧客対応等による風評被害の拡大
- 収納代行法人の銀行口座の凍結
- 仮想通貨ウォレットへのハッキング及び仮想通貨ウォレットの凍結
- 不正トレード及び利用規約違反の横行による不正出金
- MetaQuotesライセンスの停止
- 分別保管先である日本国外の銀行口座における出金停止
そして、FX Fairは出金遅延に対する措置として2023年9月7日に分割出金を行うことを明らかにしています。今回配信された出金申請フォームのお知らせは、その続報にあたります。
FX Fairに関するこれまでの詳しい経緯については、以下の記事をご覧ください。
同社の言い分には不審な点が多い
FX Fair(エフエックス フェア)は同社の保有する仮想通貨ウォレットがハッキングおよび凍結されたことを明らかにしています。しかし、FX Fairはハッキングに遭ったトランザクションIDやウォレットアドレスの公開に応じていないことから、真偽は定かでありません。
また、不正トレードの横行に関しては、もし事実であるならGEMFOREX(ゲムフォレックス)などの前例を無視して入金ボーナスを繰り返し提供していたFX Fairの危機管理能力不足も指摘されるべきであり、一般ユーザーを巻き込まず該当するユーザーのみ凍結するなどして対処を行えたはずです。
現状、仮想通貨のハッキング事件や不正取引の実情、銀行口座の凍結、そしてAssassin FXとの関連に関して明確な証拠が提供されていないため、FX Fairに対する不信感が拭えません。今後の動向に注目しつつ、慎重な判断が求められます。
FX Fairが配信した分割出金申請フォーム
FX Fair(エフエックス フェア)が今回行う分割出金の申請には、以下の書類提出を行う必要があります。
分割出金申請に必要な提出物
- 手書き記入の同意書
- 身分証明書
- 本人と身分証明書のセルフィ―
- 住所証明書
- 所得証明書
多様な書類提出が必要な今回の分割出金申請ですが、分割出金同意書には「分割出金の金額は分割出金の対象者数によって分配する金額が決定される」と明記されており、一体どれほどの金額が出金されるのかは不明です。
また、初回の分割出金の時期は2023年10月10日前後を予定しているとのことですが、同意書には以下のような内容が含まれています。
次回以降の出金について
次回以降の資金のご返還につきましては、収納代行法人の銀行口座の凍結解除、仮想通貨ウォレットの凍結解除、分別保管先銀行の出金遅延の解消等が行われた上で弊社の資金が準備でき次第、定額または全額についての返金を随時行ってまいります。
「FX Fair 分割出金同意書」より抜粋
初回の出金予定日を10月10日前後としながらも、次回以降の出金予定が曖昧なことから信憑性に疑念が生じます。分割出金とは言ったものの、出金が今回だけになる可能性も否定できません。
煩雑すぎる同意書の提出手順
FX Fair(エフエックス フェア)の分割出金を申請するには、同社の定めるルールのもと同意書の提出を行わなくてはなりません。FX Fairによると、この同意書には「氏名」「住所」「著名」を手書きでサインしなければならないようです。
同意書の提出手順
- 同意書のダウンロード
- 同意書のプリントアウト
- 同意書への手書きでの記入
- 記入済みの同意書をスキャンしPDF化
- PDF化した同意書の提出
分割トラブルを引き起こした当事者であるにも関わらず、さらに煩雑な出金手順を求める傾向はGEMFOREX(ゲムフォレックス)にも見られました。同意書のプリントアウト、記入、スキャンしてPDF化と面倒な手順を踏ませるにも関わらず、出金が正常に行われる保証はないという状況がユーザーの不安を加速させています。
事実、この煩雑な手順により一部のユーザーは出金申請をあきらめているとの報告もあります。これはFX Fairが意図的に行っている可能性があり、ユーザーを困惑させ、出金申請を減らすという非常に悪質かつ狡猾な目的があると推測されます。
目的不明の追加提出書類を要求
FX Fair(エフエックス フェア)は分割出金の申請に以下の書類の追加提出を要求しています。
FX Fairの要求する追加書類
身分証明書 | 本人と身分証明書の セルフィ― |
住所証明書 | 所得証明書 |
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身分証明書 |
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本人と身分証明書のセルフィ― |
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住所証明書 |
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所得証明書 |
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身分証明書やセルフィーの再提出は、不正利用者に対する措置という観点から一定の理解は得られるでしょう。しかし、所得証明書の提出要求は海外FX業者として極めて異例であり、理解し難いものとなっています。
また、FX Fairが第三者へ譲渡するなどして悪用する可能性も否定できず、大きな不安感を抱えての書類提出となるでしょう。しかし、FX Fairはこれらの思惑を逆手にとって、出金申請者をふるい落としたいのではないかと推測されます。
繰り返しますが、このような手段を用いるFX Fairは「極めて悪質かつ狡猾」であると言えるでしょう。
分割出金の申請は早めに
分割出金の申請期限は9月15日から9月25日までと定められており、期限を過ぎた場合は送金の対応を行わないとしています。今回のFX Fairの発表を見る限り、誠実に出金を行う姿勢にはとても見えません。書類不備がある場合は返信がなかなか行われない可能性も考えられるため、迅速かつ確実な書類提出を行いましょう。
FX Fairの決定した狡猾な出金ルール
FX Fair(エフエックス フェア)が定める出金ルールには不可解な部分が見られたため、FXplusでは実際に問い合わせを行いました。その結果、ユーザーにとって圧倒的に不利な条件で出金額が決定されるということが判明しています。
「入金額 - 出金額」しか出金できない
FX Fair(エフエックス フェア)は分割出金の対応金額を独自の基準に基づいて決定しています。
分割出金可能な金額
- 入金額-出金額
(出金額はすでにお客様の銀行口座に着金された金額となります。)
- お客様が保有しているMT4,5口座の総残高
お客様が保有しているMT4,5口座の総残高 + 出金申請したが、送金が完了していない金額
「FX Fairをご利用のお客様へ重要なお知らせ」より引用
「1.入金額 - 出金額」というこの不可解な出金ルールについてFX Fairに確認を行ったところ、単純に総入金額から総出金額を差し引いた金額が分割出金可能な金額になるという返答でした。
つまり、実際に分割出金が行われるのはFX Fairでの収支がマイナスの方のみとなり、トレードで利益を上げていた方々は出金対象にすらならないということになります。
一体どのような考えをもってこのように決定したのか、常識的な考えでは理解が及びません。この一点のルールでFX Fairへの信頼性が大きく損なわれるのは明らかであり、顧客の信頼を回復しようという意思が全く感じられないのは言うまでもないでしょう。
USDTを利用した仮想通貨出金のみに対応
FX Fair(エフエックス フェア)は、分割出金の際にUSDTを利用した出金を行う方針を示しています。これは同社が銀行口座を凍結されているという背景から、出金手段を模索した結果であると推測されます。
現状、多くの海外FXユーザーは銀行送金やクレジットカードを利用した入出金が主流であり、仮想通貨を利用した入出金経験がないユーザーも少なくありません。そのため、新たにUSDT受け取り用のウォレットを作成するだけでも多くの労力が必要となります。
一方で、USDTを通じた送金によってFX Fairがこれまで秘匿していた仮想通貨アドレスが公になる可能性があります。実際に出金が行われれば一歩前進ということになるでしょう。ただし、FX Fairによるウォレット全体の残高調整等の小細工が行われる可能性は大です。
出金額の分配割合が不明
FX Fair(エフエックス フェア)が行う今回の分割出金は、分割出金の対象者数によって分配金額が決定されるようです。しかし、どのような数字を根拠に公平公正な分配が行われるのか、ユーザーは一切知ることができません。
過去にGEMFOREXが行った分割出金では、ユーザー1人あたりの出金額がわずか1万円であったという事例があります。今回のFX Fairによる分割出金も、すべて同社の裁量によって行われるため、GEMFOREXの時のように非常に少ない金額で分配される可能性があります。
ユーザーが納得できる形での透明性を確保するには、分割出金の総額や分配者数を明示するためにもウォレットアドレスの開示が必要となるでしょう。
不利益な発言を言った者には出金を行わない
FX Fair(エフエックス フェア)の発行する同意書には、ユーザーがFX Fairに不利益となる発言や投稿を行わないことを約束する以下のような内容が含まれています。
FX Fairの同意書に含まれる文言
- 弊社の対応及び関連する全ての事柄をX(旧Twitter)等の不特定多数が閲覧できるサイト、掲示板、ブログ、LINEオープンチャット等のチャットアプリケーション(またこれに限らない)において、虚偽及び弊社が不利益となりうる投稿を行わないものとする。
- 弊社の対応及び関連する全ての事柄を収納代行法人等の第三者に対して通知、報告を行うことで、弊社が不利益となりうる状況を生じさせないものとする。
- 過去に投稿した弊社の対応及び関連する全ての事柄をX(旧Twitter)等の不特定多数が閲覧できるサイト、掲示板、ブログ、LINEオープンチャット等のチャットアプリケーション(またこれに限らない)において、虚偽及び弊社が不利益となりうる投稿を全て削除または該当箇所の修正を行うものとする。
上記内容を違反した場合、アカウントの停止、分割出金の権利の剥奪、弊社顧客対応を行っている上で預かりましたアカウント情報及び、SNS等の顧客情報を元に厳正な措置を講じます。
弊社は、1から3に該当するか否かの判断について、独自の裁量権を行使する権利を有します。
弊社は分割出金の申請にて預かった同意者の情報については、弊社の利用規約に則り適切に取り扱うものとします。
「FX Fair 分割出金同意書」より抜粋
要約すると、「不特定多数が閲覧できる場所で虚偽の発言や不利益となる発言をせず、過去に行った投稿については削除または修正を求める」ということになります。
ただし、その判断はFX Fairが独自の裁量権を持ち、違反した場合は「分割出金の権利の剥奪、弊社顧客対応を行っている上で預かったアカウント情報及び、SNS等の顧客情報を元に厳正な措置を講じる」としています。つまり、不利益となる発言の判断はFX Fair次第とも取ることができます。
仮想通貨のウォレットアドレスや、凍結口座の詳細を一切公開しない隠蔽体質な部分が見られるため、仮に厳正なる措置が講じられたとしてもどのような投稿や発言が原因であったか開示される望みは薄いでしょう。
上記の事から、出金を待つユーザーにとってこの同意書はリスキーな内容を含んでいると言うことができます。
FX Fair復活の望みは薄い
FX Fair(エフエックス フェア)のお知らせによると、同社は他業者のトレードプラットフォームを契約して事業再開を検討しているとの事ですが、現状の信用問題を考えると再開は困難と見られます。
まず、現在凍結されている銀行口座や仮想通貨ウォレットの状況が不透明であり、これが解消されない限りユーザーからの信用回復は期待できません。
また、関連業者の利用にも注意が必要です。現在もキャッシュバックサイトとして運営し、FX Fairとの関連が疑われている業者がありますが、疑惑が晴れるまでは更なるリスクを冒してまで関与するべきではありません。
現在までのFX Fairの対応を見ると、ユーザーに対して誠実な出金対応が行われる可能性は低いと言わざるを得ないでしょう。FX Fairの事業再開には、信用回復のために、より誠実な行動が求められます。今後の動向に注目しつつ、ユーザーとしては自身の資産保全のためにもFX Fairと関連業者の動きを注意深く観察する必要があります。