当社(FXplus)は、2023年11月1日〜2023年11月30日の期間を対象とした、「重要イベント」と「主要銘柄のボラティリティ」にみる市場動向をまとめたデータを公開しました。
2023年11月は、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め策が当面続くとの見方が強まり、先月よりも1日の平均ボラティリティが低い状態が続いています。
人気通貨ペアのボラティリティ動向と取引量
人気通貨ペアであるドル円(USD / JPY)、ユーロドル(EUR / USD)、ユーロ円(EUR / JPY)、ポンド円(GBP / JPY)を対象にした今回の調査結果では、11月の外国為替市場は米ドルが構成に含まれる通貨ペアが先月と比べてボラティリティと取引量が伸びやすい1カ月間だったことが確認できました。一方、米ドル以外のクロス円通貨ペアについてはボラティリティの低下傾向が確認されており、市場が米国の政策金利と米ドルに対して高い関心を持っていたことがうかがえます。
ドル円のボラティリティは利上げ観測の緩和で拡大
ドル円(USD / JPY)のボラティリティ推移(対象月:2023年10月・11月)
上記のグラフは、ドル円(USD / JPY)の10月と11月のボラティリティ推移を比較したものです。11月のドル円は、10月と比較して全体的なボラティリティの増加が確認されました。1日当たりの平均ボラティリティは、10月の89.7pipsから11月には114.3pipsへ24.6pips増加しています。一方で、1日当たりの最大ボラティリティは大きく減少しており、10月の287.1pipsに対して11月は188.9pipsとなりました。10月は為替介入が行われやすい150円近辺での突発的な下落やその後の強い押し目買いがあり大きく拡大していましたが、11月はそのような動きがありませんでした。11月のドル円相場は、インフレ率の低下と経済成長の鈍化を背景に、FRB(連邦準備制度理事会)が利上げを行う可能性が低いとの見方が強まり、円高への方向感が明確な展開となっています。
ドル主体の変動を見せたユーロドル
ユーロドル(EUR / USD)のボラティリティ推移(対象月:2023年10月・11月)
上記グラフは、ユーロドル(EUR / USD)の10月と11月のボラティリティ推移を比較したものです。ドル円とは対照的に、ユーロドルではボラティリティのわずかな減少が見られましたが、一過性の大きなボラティリティ拡大の動きも確認されました。1日当たりの平均ボラティリティは、10月が74.7pipsであったのに対し、11月は70.9pipsと3.8pipsの減少しています。一方、1日当たりの最大ボラティリティに関しては、10月の117.6pipsから11月は195.8pipsとなり、約80pips近く増加しました。この日は欧州経済指標の発表が多くあり、EUの国内総生産(GDP)の増加やインフレ率の減少によって財政赤字の改善が見込まれました。この結果を受けてユーロ買いが加速し、直近の日足ベースで最も大きな値上がりを記録しています。
ユーロドル(EUR / USD)のボラティリティと取引量の推移(対象月:2023年10月・11月)
上記グラフでは、10月と11月のユーロドル(EUR / USD)の取引量とボラティリティ推移を示しています。11月のユーロドルは、ボラティリティと取引量が概ね相関しているものの、拡大するタイミングが乖離する場面が何度か見られました。例えば11月の最大ボラティリティを記録したのは14日ですが、取引量が最大となったのは月末です。この取引量の拡大はドル円に類似しているため、市場参加者のユーロドルに対する関心が、ユーロよりもドル主体であったことを示唆しています。