当社(FXplus)は、2023年12月1日〜2023年12月31日の期間を対象とした、「重要イベント」と「主要銘柄のボラティリティ」にみる市場動向をまとめたデータを公開しました。
2023年12月は、日銀が大規模な金融緩和策の一部見直しを決め、長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度に引き上げると発表しました。これにより、ドル円相場は一時132円台まで円高が進みました。
人気通貨ペアのボラティリティ動向と取引量
人気通貨ペアであるドル円(USD / JPY)、ユーロドル(EUR / USD)、ユーロ円(EUR / JPY)、ポンド円(GBP / JPY)を対象にした今回の調査結果では、クロス円通貨ペアが先月比で顕著にボラティリティを増加させていたことが確認できました。クロス円通貨ペアは取引量を伴ってボラティリティが増加していたことから、12月の相場は特定の要因が意識され、大きく動く展開となったと推測されます。一方、ドルストレートの通貨ペアは、ボラティリティと取引量が共に先月に比べて低く、変化の少ない一ヶ月間となりました。
円高方向への転換でドル円のボラティリティが急拡大
ドル円(USD / JPY)のボラティリティ推移(対象月:2023年11月・12月)
11月・12月のドル円(USD / JPY)のボラティリティ推移を比較したグラフから、12月のドル円は11月と比べてボラティリティに恵まれた1カ月間だったことが確認できました。12月の1日当たりの平均ボラティリティは169.4pipsで、11月の114.3pipsに比べて55.1pips増加しました。また、12月の1日当たりの最大ボラティリティは6日に記録した572.5pipsで、11月の188.9pipsに比べて383.6pips増加しています。6日は、日本の10年債利回りの上昇と日経平均株価の下落により、価格が円高・ドル安方向へ進むとともにボラティリティが大きく拡大しました。日銀によるゼロ金利政策の解除に対する警戒が高まっていたことや、同日午前に行われた参議院財政金融委員会にて植田総裁が金利変更を示唆したことも大きな材料となった可能性が高いでしょう。
金利据え置きでユーロドルボラティリティが低下
ユーロドル(EUR / USD)のボラティリティ推移(対象月:2023年11月・12月)
上記は、ユーロドル(EUR / USD)の11月・12月のボラティリティ推移を比較したグラフです。12月のユーロドルは、11月と比べてボラティリティの変化に乏しい1ヶ月間でした。1日当たりの平均ボラティリティでは、11月の70.9pipsに対して、12月は74.1pipsと3.2pipsの小幅な増加となりました。さらに1日当たりの最大ボラティリティに関しては、11月の195.8pipsに対して、12月は139.4pipsと、56.4pipsも減少しています。一般的にドル円とユーロドルは逆相関が起こりやすいとされますが、ドル円が先月比で大きくボラティリティを増加させた一方で、ユーロドルの値動きの規模感はほとんど変化していませんでした。
ユーロドル(EUR / USD)のボラティリティと取引量の推移(対象月:2023年11月・12月)
上記は、11月・12月を対象にしたユーロドル(EUR / USD)のボラティリティと取引量の推移を示したグラフです。12月のユーロドルはおおむね取引量はボラティリティと相関する形で推移していましたが、ボラティリティは中旬に最大値を記録した一方で、取引量は月末に最大値を記録しました。12月最大のボラティリティとなった14日は、欧州中央銀行(ECB)の金利変動の期待によってユーロドル相場が一時押し上げられました。しかし、結果として金利変動は行われず、上昇した分の売り戻しが多かったため、取引量の増加にはつながりませんでした。