当社(FXplus)は、2024年5月1日〜2024年5月31日の期間を対象とした、「重要イベント」と「主要銘柄のボラティリティ」にみる市場動向をまとめたデータを公開しました。
2024年5月は、4月末の為替介入を起点に一時円高が進みボラティリティの増加も見られました。しかし、円高進行は一時的なもので留まり、為替市場では依然として円安ドル高が進行しています。
人気通貨ペアのボラティリティ動向と取引量
人気通貨ペアであるドル円(USD / JPY)、ユーロドル(EUR / USD)、ユーロ円(EUR / JPY)、ポンド円(GBP / JPY)を対象とした今回の調査結果では、5月はドル円が主軸となって大きく動き、他のクロス円通貨ペアがそれに連動する展開が見られました。市場全体の大きな流れとして円安が進行しましたが、為替介入の実施とその動きに対する市場参加者の不透明感から、円高方向に一時的に大きく振れる動きが複数回見られ、ロングポジションを取りづらい相場でした。一方ファンダメンタルズ要因に関しては、各国の政策金利の決定方針が明確でない状況もあり、市場の流れに継続的な影響を与えるものはありませんでした。
ドル円は為替介入の影響が続きボラティリティが拡大
ドル円(USD / JPY)のボラティリティ推移(対象月:2024年4月・2024年5月)
上記は、4月・5月のドル円(USD / JPY)のボラティリティの推移を示したグラフです。1日当たりの平均ボラティリティでは、4月の110.9pipsに対して5月は121.6pipsと、先月と比べて10.7pipsの増加となりました。1日当たりの最大ボラティリティは平均ボラティリティより顕著に増加しており、4月の347.5pipsに対して、5月は1日の498.5pipsが最大となり、151pipsも増加しています。ボラティリティが最大となった1日は、4月29日に付けた高値付近で再度大規模な下落があったタイミングです。ドル円は12時間の続落で約5円ほど下落し、他の銘柄には見られない大きなボラティリティの拡大が発生しました。なお、4月末に為替介入が実施されたとの見解が市場参加者の共通認識でしたが、5月31日に財務省より公開された外貨準備残高の増減から、実際に為替介入が行われたことが判明しました。令和6年4月26日~令和6年5月29日における外国為替平衡操作額として、9兆7,885億円が投じられていたことが発表されています。
重要指標発表でも大きな変動は見られなかったポンド円
ポンド円(GBP / JPY)のボラティリティ推移(対象月:2024年4月・2024年5月)
ポンド円(GBP / JPY)の4月・5月の1カ月間のボラティリティ推移を比較した上記グラフから、5月のポンド円は4月と比べて全体的にボラティリティが低下していることが確認できます。1日当たりの平均ボラティリティは、4月の176.5pipsから5月は148.5pipsへと28pips低下し、1日当たりの最大ボラティリティも、4月の690.9pipsから5月は566.1pipsへと124.8pips低下しました。5月1日はドル円が最大ボラティリティを記録した日付と同じではありますが、ポンド円に関しては一方向へとブレイクする値動きではなく、4時間足レベルで上ヒゲ、下ヒゲの目立つローソク足を形成していました。また、注目度の高いECB総裁の発言があったものの、他の通貨ペアと同様に継続的にボラティリティや取引量が増大することはなく一過性のものでした。