FX投資における証拠金維持率について理解しよう！

FXにおける証拠金とは、FX取引を行うためにFXブローカーに担保として預けるお金のことです。FX取引は通貨売買を行う取引ですが、FXブローカーに入金した資金を直接売買取引に使うのではなく、証拠金という担保を預けることで証拠金の何倍もの取引ができます。

FXにおける証拠金は、口座開設時や初回取引時などに最低限求められる金額が定められている場合があり、その最低額はFXブローカーによって違います。

口座開設時などに必要となる証拠金は最低証拠金と呼ばれています。国内FXブローカーの場合は1万円や5000円などを設定しているFXブローカーもありますが、ほとんどが口座開設時の必要最低額はゼロです。海外FXブローカーの場合は千ドル前後に設定されているケースが多いです。

口座開設や初回入金額のハードルをクリアできたら、次は取引に最低限必要となる証拠金を入金する必要があります。その金額を入金しない限りFX取引はできません。この証拠金を取引必要証拠金といいます。一般的には単に必要証拠金と呼ぶことが多いです。

必要証拠金は、実際の取引金額とレバレッジ、そしてFXブローカーが設ける最低額などによって決まることになっています。しかし、ほぼすべての国内FXブローカーの場合は、取引金額とレバレッジから算出した金額を必要証拠金としていますので、実質的にはFXブローカーが違っても必要証拠金は変わらないケースがほとんどです。

FXの特徴であるレバレッジとはてこの原理のことで、少額の証拠金で大きな取引ができることを表し、取引金額が証拠金の何倍になるかを倍率と呼んでいます。国内FXの場合は最大25倍までレバレッジがかけられます。そのため必要証拠金は、約定レートに取引通貨単位と数量を掛けて最大倍率で割った金額になります。

わかりやすく言えば、取引金額の4%ということです。一方、海外FXの場合は国内のレバレッジ規制の対象外ですので、中には千倍を超えるレバレッジがかけられるFXブローカーもあります。取引金額を最大レバレッジ倍率で割った金額が必要証拠金となります。海外FXブローカーの場合はレバレッジの最高倍率が会社ごとに違うため、必要証拠金はFXブローカーごとに異なります。

証拠金維持率とは、必要証拠金に対する有効証拠金の割合を言います。有効証拠金は、ポジションを持つために拠出した当初の証拠金である取引証拠金から、ポジションを持っている間に発生した為替レートの変動による評価損益を加減算した証拠金の金額のことです。

例えば、レバレッジ25倍、当初入金した取引証拠金5万円、必要証拠金4万円、アメリカドルを円で購入するポジションを1万通貨保有している場合、証拠金維持率は取引証拠金5万円を必要証拠金4万円で割った125%となります。

ここで為替レートが変動し2万円の評価損が出た場合、このまま決済すると2万円の損失になりますので、当初入金した5万円は評価損2万円の分だけ実質的に価値が減少していることになります。そのため、証拠金維持率は、5万円から評価損2万円を控除した3万円を必要証拠金4万円で割った75%になります。

証拠金維持率が100%を割り込んでいますので、必要証拠金として必要なお金が維持されていないことがわかります。

証拠金維持率はどんなときにどのように使うのでしょう？主にリスクコントロールのために活用できます。まず、ロスカットの仕組みに使われています。

ロスカットとは、証拠金維持率が一定割合以下になると、強制的にポジションを精算して損失を確定する仕組みです。証拠金維持率が何割になるとロスカットが発動するかはFXブローカーによって違いますが、おおむね50%から100%の範囲で設定している会社が多いです。

強制的に損失を確定して取引が終わるのは納得できないと感じる人もいるかもしれませんが、相場の反転を信じながらずるずると損失を拡大させてしまうリスクを回避できたり、急激に損失の拡大を防いだりできる仕組みですので、正しく理解して活用することが大切です。

また、証拠金維持率は証拠金にどの程度の余力があるかを判断する材料となります。ロスカットが発動されれば取引は終了してしまいますが、その前の段階で証拠金維持率を見ながら追加で証拠金を入れる対応をとるのか、ポジションを精算して出直すかの判断をする場合に証拠金維持率を参考にするとよいでしょう。

例えば、レバレッジ25倍の場合は、300%をご自身の目安としその水準を下回ったら取引を継続するかポジション精算をするかの判断をするなど、ご自身なりのルールを作ってリスクコントロールをすることをお勧めします。

レバレッジの倍率を上げれば取引金額に対する必要証拠金は少なくて済みます。しかし、僅かな為替レートの変動でも必要証拠金に対する評価損益の割合は大きくなります。

例えば、必要証拠金4万円でレバレッジ25倍、100万円の取引をしていて為替レートが1%変動すると、評価損益は1万円となり証拠金維持率は25%減少することになります。つまり、レバレッジの倍率が大きい場合は、証拠金維持率が数百%であっても余裕があるとは言い切れないということです。

一方、レバレッジの倍率が小さければ、取引金額に対する必要証拠金の額は大きくなりますが、多少の為替レートの変動でも証拠金維持率が大きく変動することはなくなります。レバレッジ1倍で取引をする場合は、為替レートの変動率と証拠金維持率の変動率はまったく同じになります。

FXにはさまざまな名前の証拠金がありますので、ここで整理しておきましょう。

まず取引証拠金です。これは、現在の取引分や将来のための取引分、余力分も含めてFXブローカーに入金した証拠金のことです。預入証拠金と呼ぶ場合もあります。

これに対してすでにご紹介した必要証拠金とは、実際にポジションを保有するにあたって最低限必要となる証拠金のことで、取引金額とレバレッジから算出されます。

当然、注文を入れる段階で取引証拠金が必要証拠金以上なければ注文は成立しません。また、有効証拠金は、ポジションを保有している間に生じた為替変動による評価損益を加味した、証拠金の実質的な残高だと理解するとよいでしょう。

また、維持証拠金という用語もあります。維持証拠金とは、FXブローカーが定めている取引ごとの金額で、そのラインを割り込んだ場合、ロスカットが働くなど取引を強制的に終了するラインです。このラインを割り込んだら、取引継続を望む場合は決められた期限までに追加の証拠金を入れる必要があります。

FXはレバレッジの倍率を上げることによって大きなリターンを狙うことができますが、リターンを大きくするとリスクも大きくなり、大きな損失を被る可能性も増加します。そのため、リスクとリターンのバランスをとることが大切です。バランスをとるためには、証拠金維持率を見てリスクコントロールする必要があります。

ロスカットが発動する維持証拠金に対してどの程度余力があるのかを常に把握していることがまず重要になりますが、レバレッジの倍率が高い場合はその余力が一気になくなってしまうケースもあります。レバレッジの倍率と証拠金維持率の両方を睨みながら適切なリスクコントロールをした上で、リターンを狙うように心がけることをお勧めします。