スプレッド関連
誰でも、FX取引を始める理由は利益を追求するためです。しかし、FX取引には取引手数料やスプレッドなど少なからずコストが発生します。この他にも様々なコストが発生するため、事前に知っておくに越したことはありません。コストを削減できれば、利益もその分だけ増加します。
FX取引の「コスト」を知り尽くして、上級トレーダーを目指していきましょう。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)
はっきり言おう。コストは損失である!
FX取引をするには必要最低限のコストが発生し、それはトレーダーにとって「損失」となります。 海外FX業者には、スプレッドが広い代わりに取引手数料が無料の口座タイプや、スプレッドが狭い代わりに取引手数料が発生する口座タイプなど、様々な種類の口座タイプがあります。
国内FX業者よりも選択肢が多い分、取引コストをできるだけ少なくすることが、利益を出せるトレーダーになるための最初の一歩なのです。これは、トレードスタイルや利用する海外FX業者によって大きく左右されます。
コストを気にする必要がある理由
私が海外FX業者を選ぶときに重視しているポイントの1つが「取引コスト」です。スプレッドはもちろん、その他にも取引手数料やスリッページなども取引コストに含まれると考えています。
私は、裁量トレードでデイトレード中心なのですが、ロット数が大きくなるほど取引コストも必然的に大きくなってきます。スキャルピングトレーダーであれば、なおさら取引コストの重要性は高いでしょう。
一般的には、スキャルピングのような利確の目標とする値幅が少ないトレードスタイルほど、取引コストを気にするべきです。
例えば、数日に1回スイングトレードでポジションを取り、数百pipsの獲得を目指すといったトレードスタイルの場合、取引コストが数pips高くなってもあまり大きな影響はありませんが、数pips~の小さい値幅を狙って一日に何度もポジションを取るスキャルピングトレードの場合、取引コストが成績に影響してきます。
海外FX業者で初めてトレードをしたとき、国内FX業者とロット数の単位が違うことに気づかず、「10ロット(100万通貨)」でエントリーしていました。
海外FX業者は国内FX業者と比較するとスプレッドが広く、ロットが高ければエントリーするだけで数万円のマイナスから始まります。駆け出しトレーダーの私にとっては、心臓のバクバクが止まらなかった思い出です。
スプレッドが広ければ、それだけ利益が出るまで「時間コスト」が掛かりますし、トレーダーにとっての「取引コスト」も大きくなるということですね。
意外と知らない取引コストの種類
「取引コスト」と聞くと、最初に思い浮かべるのは「スプレッド」だと思います。スプレッドも重要なのですが、海外FX業者には「取引手数料」が発生する口座タイプが存在します。
さらに、スワップポイントやスリッページ、休眠口座の手数料も取引コストに加えられます。
海外FXの取引コスト
スプレッド | 売りの価格と買いの価格の差。 |
---|---|
取引手数料 | トレード1回ごとに請求される手数料。 |
スワップポイント | 日をまたいでポジションを持った場合に付与される、または支払う金額。 通貨ペアの金利差によって決まる。 |
スリッページ | 指定したレートと異なるレートで約定すること。 |
休眠口座の手数料 | 一定期間トレードをしないと口座維持手数料が徴収される場合がある。 |
取引手数料ありの口座タイプは、スプレッドが低く設定されていますが、厳密にゼロではないことがほとんどで、0.1Pips~のスプレッドが発生する時間帯が多いです。そのため、取引手数料ありの口座タイプでは、「スプレッド」+「取引手数料」が基本的な取引コストになります。
その他にも、日をまたいでポジションを持った場合、スワップポイントがマイナスであれば取引コストとなります。また、休眠口座の手数料は、かからない業者もありますが、例えばXMTrading(エックス エム)は、90日間以上取引・入出金履歴がない口座は休眠口座とみなされ、翌月以降、口座残高がある場合に限り、月額10ドル(相当)の手数料が発生します。
スリッページは、見えにくい取引コストになるため、実際に使い始めてから自分で確認することが必要です。「見えにくいスリッページもチェック」で詳しく解説しています。
スプレッドは大きなコストである
時間帯を選ぶことでスプレッドを削減できる
ここでは、スプレッドに注目してみます。FXでは、新規注文から決済までが一連のトレードになるので、スプレッドが狭いほど投資家が負担する取引コストが少ないことになるのです。そのため、最低でもスプレッド以上の利幅を取らないとトレーダーに利益は発生しません。
このような関係で、利幅が小さいスキャルピングでは、スプレッドの狭さがとりわけ重要です。また、FX業者によっても、通貨ペアによってもスプレッドは異なります。
裁量トレードでは、取引の時間帯を選ぶことも取引コストを減らす方法の1つとなります。トレードにおすすめなのが夕方のロンドン市場から深夜のニューヨーク市場にかけての時間帯です。取引量が増えるので、スリッページも発生しにくくなります。
つまり、時間帯を選ぶことによって、余分な取引コストが発生する可能性を抑えられるのです。
逆に、早朝は普段よりも高い取引コストが発生してしまう可能性があります。
国内FX業者と同様、早朝の時間帯は海外FX業者もスプレッドが大きく開きます。XMTrading(エックス エム)やTitan FX(タイタンFX)でも、通常よりも10Pips以上スプレッドが開いていることが多いです。
これは、海外FX業者に原因があるのではなく、取引量の減少に起因しています。「ニューヨーククローズ」と呼ばれる、ニューヨーク市場の閉まる時間にあたる日本時間の早朝は、資金の流動性も極端に低くなります。このような時間帯はスプレッドが大きく開いてしまいますので、注意しましょう。ニューヨーククローズは、夏時間適用時は日本時間午前6時、冬時間適用時は日本時間午前7時です。
スワップ狙いのトレードというのもありますが、基本的には手出しをしない方が良い時間帯です。
早朝の時間帯にトレードすることは、スリッページの発生率も高くなり、スプレッドも広くなってしまうので、結果的に利益を減少させてしまう要因になるのです。また、流動性の高い早朝の時間帯は、価格が一方方向に動きやすいためフラッシュクラッシュが発生しやすい時間でもあります。
取引手数料が発生する口座タイプを検証
結論から言うと、取引手数料が発生する口座タイプの方が取引コストを抑えることができます。
トレーダーの中には、「取引手数料が発生する口座タイプ」には取引手数料が発生するので取引コストが大きくなってしまうのではないかと考える人がいると思います。なかなかイメージが湧きにくく、「取引手数料が発生する=損だ!」と考えてしまうかもしれませんね。
実際のところ、どうなのか、執筆時点(2020年4月20日午前8:00)のデータをもとに検証してみたいと思います。
当サイトでは、海外FX業者6社14口座タイプのリアルタイムスプレッドを計測・公開しています。これを見れば、どの海外FX業者、どの口座タイプでスプレッドが狭いのか一目で分かります。
まずは、人気海外FX業者のXMTrading(エックス エム)で、取引手数料なしのスタンダード口座と取引手数料ありのゼロ口座を比較してみます。
口座タイプ別の取引コスト(XMTrading)
口座タイプ | スタンダード 口座 |
ゼロ口座 |
---|---|---|
取引手数料 | 無料 | 往復10ドル(※)/ 10万通貨 (1.0Pips相当) |
ドル円スプレッド | 1.7Pips程度 | 0.2Pips程度 |
取引コスト | 1.7Pips程度 | 1.2Pips程度 |
往復手数料は基軸通貨10通貨分。ドル円などドルが基軸通貨の場合は10ドル、ユーロドルなどユーロが基軸通貨の場合は10ユーロとなる。
取引手数料なしの口座とありの口座を比較するには、取引手数料分をPipsにして加算し、取引コストを計算します。
取引コスト=スプレッド+取引手数料(Pips換算)
ゼロ口座の取引手数料1ロット往復10ドルは、ドル円であれば1.0Pips相当となりますので、実際のスプレッドである0.2Pipsに加算すると、ゼロ口座の取引コストは1.2Pipsです
取引手数料とスプレッドを合わせて考えると、取引手数料ありのゼロ口座の方が取引コストが安いということが分かりましたね。
XMTrading以外の海外FX業者でも、取引手数料なしの口座とありの口座を比較すると、ありの口座の方が取引コストは安く設定されています。
次は、Titan FX(タイタン FX)で、取引手数料なしのスタンダード口座とありのブレード口座を比較してみましょう。
口座タイプ別の取引コスト(Titan FX)
口座タイプ | スタンダード 口座 |
ブレード口座 |
---|---|---|
取引手数料 | 無料 | 往復7ドル/ 10万通貨 (0.7Pips相当) |
ドル円スプレッド | 1.3Pips程度 | 0.3Pips程度 |
取引コスト | 1.3Pips程度 | 1.0Pips程度 |
ブレード口座の取引手数料1ロット往復7ドルを、Pipsに換算すると、ドル円であれば0.7Pips相当となりますので、実際のスプレッドである0.3Pipsに加算すると、ブレード口座の取引コストは1.0Pips程度となります。
スタンダード口座のスプレッド1.3Pips程度と比較すると、ブレード口座の取引コストの方が0.3Pips低くなります。XMTradingと同様、Titan FXも手数料あり口座の方が取引コストが安いです。
ほとんどの業者で、取引手数料ありの口座の方がトータルの取引コストを抑えられるようになっています。一方で、XMTradingなど、取引手数料ありの口座タイプはボーナスの対象外になっている場合があるので、資金力をアップさせたい人はボーナスがある口座タイプ、取引コストを抑えたい人は取引手数料が発生する口座タイプを選択するというように、使い分けをするのがおすすめです。
取引手数料は、海外FX業者によって「片道〇ドル」「往復〇ドル」という表記で設定されています。「片道」の場合、ポジションをオープンする際とクローズする際に1回ずつ手数料が発生するため、1つのポジションのトレードにつき2回の手数料が請求されます。そのため、取引手数料を「片道」で表記している海外FX業者は、実際には2倍の取引手数料がかかると考えましょう。
スプレッドが利益に与える影響
ここではスプレッドと利益について具体的に考えていきます。
ドル円のスプレッドを1ロット(10万通貨)当たりの金額で考えてみましょう。
スプレッドと金額の比較
FX業者 | スプレッド | 金額 |
---|---|---|
A社 | 1.0Pips | 約1,000円 |
B社 | 1.5Pips | 約1,500円 |
スプレッドが1.0PipsのA社と1.5PipsのB社では、1回の同じ取引でも金額に500円の差が出ます。
仮に、毎日1回ずつ取引したとすると、月に20日トレード(土日除く)したとして、1ヶ月で1万円の違いが発生します。1年間続けると、12万円もの差が出てしまうのです。
もし、スキャルピングなどで1日に10回トレードすると、なんと120万円ものコストが発生することになります。トレードで勝っても負けても発生する取引コストです。
0.5Pips程度の違いは、1回の金額にすると確かに少額ですが、トレード回数が多くなればなるほど収益に影響を与えます。
取引コストの安い業者や口座タイプはボーナスを提供していないことが多いため、ボーナスを選ぶか、取引コストの安さを選ぶか、自分のトレードスタイルに合わせて検討してみましょう。
隠れた取引コストにご用心
スプレッドと取引手数料について説明してきましたが、ここからは「隠れた取引コスト」について解説していきます。
恐怖のストップ狩り
外付け手数料なしでスプレッドも狭いFX業者があります。とりわけ、国内FX業者はスプレッド競争になっていると私は感じています。
私にも経験があるのですが、スプレッドが狭いFX業者の中には意図的にレートを改変させて、ストップロス注文を誘発させる「意図的なストップ狩り」をする業者も存在していました。
ローソク足のヒゲが瞬間的に伸びて、ストップロス注文が約定される現象ですが、トレーダーにとっては恐怖でしかありません。一瞬で全てのポジションがなくなってしまいます。
他社のレートには現れない急激な価格変動が現れた場合、FX業者によるストップ狩りの可能性があります。
海外FX業者でも早朝の時間帯にスプレッドが広くなることはありますが、取引量が増えるにつれてスプレッドも正常値に戻っていきます。海外FX業者でも、ストップ狩りが疑われるようなレートを出す業者もありますが、私が数年トレードを行っているXMTradingやTitan FXでは、数百Pips動くようなストップ狩りを疑わせるレートは見たことがありません。
よく似たような現象として、ストップ狩りとフラッシュクラッシュがありますが、相場の変動の仕組みが異なっています。FX業者がストップ狩りをする理由というのは、顧客の注文をインターバンクに流さず、顧客の損失がFX業者の利益になるDD取引をしていることが原因です。ですので、ある業者ではレートが急変動しているのに、別の業者では全く何も起こっていないという状況になっています。
一方、フラッシュクラッシュというのは、インターバンク市場のレートも急変動しているので、全ての業者で価格変動が発生します。もちろん、海外FX業者でも発生します。
見えにくいスリッページもチェック
注文した時点の価格と実際に約定された価格注文が異なる「スリッページ」も、隠れた取引コストとなります。
例えば、ドル円の売りを注文したときのレートが110.10で、実際には110.05で約定された場合、0.5Pipsのスリッページが発生したことになります。
スリッページは、トレーダーがPC・スマホ等で注文を送信してからその注文がFX業者のサーバーに到達するまでの間に価格が動いた場合や、FX業者側で注文時の価格で約定できなかった場合に発生します。
FX業者のサーバーに注文を送信する間に価格が動いた部分のスリッページは仕方がないですが、FX業者に注文情報が到達した後、なるべく注文時の価格に近い価格で約定できるか(約定力)は業者によって異なります。
約定力を正確に把握することは難しいですが、注文時の価格を覚えておき、決済レートと比較したり、指値・逆指値注文の場合は注文した価格と約定時の価格と比較したりすることで、おおまかな約定力を知ることができます。
注文がFX業者のサーバーに到達する間の値動きもありますので、スリッページがある程度発生するのは仕方がないですが、数Pips大きくずれることが頻繁に発生するFX業者には注意が必要です。
スリッページは、価格がトレーダーの損失になる方向・利益になる方向の両方に発生する場合があり、損失になるスリッページを「マイナススリッページ」、利益になるスリッページを「プラススリッページ」と呼びます。
国内FXの「追証」の可能性もコスト
海外FX業者は、国内FX業者よりもスプレッドや取引手数料といった取引コストが高いです。しかし、その分ボーナスやゼロカットといった国内FX業者にはないメリットがあります。
特に、私があえて海外FX業者を利用する理由の1つが、ゼロカットシステムです。私は、ゼロカットシステムがトレーダーにとって一番大切だと思っています。
FX取引で怖いのが、突然予測もつかないような値幅で相場が変動する場合があることです。スイスフランショックやフラッシュクラッシュなど、回数は少ないですが実際に発生しています。国内FX業者を利用していれば、サーバートラブルなどで強制ロスカットができなかった場合でも、追証を負ってしまうリスクがあります。
追証はトレーダーにとって一番の取引コスト/リスクになるのです。海外FX業者のほとんどはゼロカットシステムを導入していますので、幾分、広めのスプレッドであるとしても海外FX業者を使う価値があります。
「追証」という取引コストをなくすことができるのです。
損切りはトレードの必要コスト
裁量トレーダーを悩ますのが、そう、「損切り(ストップロス)」だと思います。どれだけ取引コストを減らしたとしても、損切りができないと「元の木阿弥(もくあみ)」です。つまり、努力が無駄になってしまいます。
自動売買トレードと違って、トレーダー自身でエントリーから決済までしなければいけません。損益がマイナスになってしまったら、どこかで区切りをつけて、仕切り直す必要があります。
「言うは易く行うは難し」で、「きっと元に戻る」と思ってしまうことがあります。こんな時に私が実践しているのは、「損切りは必要コスト」という考え方です。
「損」という言葉をできるだけ使わないようにします。「損」と考えると、決済したくないという気持ちに筆者は負けてしまいます。汗水たらして得た大切なお金ですから・・・。どんなビジネスであっても、経費が発生します。トレードでも同じです。そう考えると、少し気持ちが楽になると思います。
損切りしなければならない場面で損切りをためらうよりも、普段から減らせる取引コストをなるべく減らすことを意識しましょう。
海外FXには、両建てに関するルールがたくさんありますが、同一口座であれば両建てしても問題ありません。ですが、取引コストを考えると、おすすめはしにくいです。スプレッドや取引手数料などのコストを2倍払うことになり、スワップポイントもマイナスになるというダブルパンチになります。
コストを制する者は利益を制する
ここまで裁量トレードに関係する取引コストについて解説をしてきました。スプレッドや取引手数料が利益に直結するのですが、それ以外の取引コストも無視はできません。
取引コストを理解してどれだけ少なくできるかが利益を増やす重要なポイントです。別の記事では、通貨ペアの選び方やレバレッジ、ゼロカットシステムについても解説しています。他の記事もぜひご覧になってみてください。