トレード手法関連
FX取引と株式取引の最大の違いは、「24時間取引ができること」です。
株式市場は、基本的に取引所が開場している間に注文・決済を行います。一方、FX市場には、物理的な取引所というものは存在しません。FXの取引は、「インターバンク市場」つまり大手金融機関同士のトレードと、ヘッジファンドや個人投資家の注文で成立しています。
例えば、日本が昼間のときは、ロンドンやニューヨークは深夜ですね。アジアのトレーダーが多く参加しますが、欧州のトレーダーはほとんどいません。逆に、ロンドンやニューヨークのトレーダーが参加するときは、日本の金融機関の取引は行われていません。参加しているのは、ほとんど個人投資家です。そのため、時間帯によっても、価格の動きが異なりますし、ボラティリティが出やすい通貨も全く違います。
世界の三大取引市場と呼ばれているのが、「東京市場」「ロンドン市場」「ニューヨーク市場」です。これら三大市場の時間帯の特徴を覚えると、チャートの動きが分かりやすくなり、トレードに活用できると思います。
今回は、3大取引市場の特徴や時間帯別にチャートがどのように動いていきやすいのかについて、具体的に解説していきます。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)
FXは24時間トレードできるのが魅力
FXの最大の魅力は、月曜日から金曜日までの平日24時間いつでもFXトレードができることです。
株式市場は昼間しか開場していませんので、基本的に取引所が開場している間しか売買はできません。つまり、平日日中勤務のサラリーマンは、基本的に株のデイトレードをすることはできませんが、24時間取引可能なFXであれば、夜間のみでもトレードすることが可能です。
FXには明確な市場区分はない
FXが24時間取引可能な理由に、株などと異なり、明確な取引市場があるわけではなく、金融機関などがインターネットでつながって世界中で取引が行われているということがあります。
このため、FXで「〇〇市場」と言った場合、やや曖昧な区分となり、人によって時間の認識が異なる場合もあります。基本的に、東京市場なら東京を含むアジア、ヨーロッパ市場なら欧州の株式市場が開いている時間が基準となりますが、厳密にどこか一国の株式市場の時間となっているわけではなく、その前後の時間も含まれます。
世界中の為替市場
FXには、世界三大市場の他にも、オセアニア市場と呼ばれるものがあります。これは、世界で最も早く始まるニュージーランドのウェリントン市場、オーストラリアのシドニー市場から成るものです。
FXの市場は、オセアニア市場で一日が始まった後、東京、香港、シンガポールなどの東京市場と続きます。その後、15:00頃からドイツのフランクフルト市場、イギリスのロンドン市場などが開くヨーロッパ市場となります。
夏時間で記載しています。冬時間適用時は、1時間プラスしてください。
夜の21:00頃には米国のニューヨーク市場となり、FX取引量が最も活発になる時間帯です。そして、日本時間の朝6:00にニューヨーク市場の取引が終了します。
オセアニア市場⇒東京市場(東京、香港、シンガポールなど)⇒ヨーロッパ市場⇒ニューヨーク市場の終了をもって1サイクルです。MetaTrader4(MT4)/MetaTrader5(MT5)のサーバー時間上では、ニューヨーク市場が終わると日付が更新され、新しい取引日となります。
FXトレードには「スワップポイント」がありますが、スワップポイントが付与される時間がニューヨーク市場の終了する午前6:00頃です。この時間帯は注意することも多い時間帯です。スワップポイントやロールオーバーについては、以下の記事に詳しく解説しています。
世界は広いもので、土曜日や日曜日に開場している為替市場があります。それが、中東の「バーレーン市場」です。これは、中東では、金曜日が休日で土曜日や日曜日は平日扱いだからです。
以前、日本でも土曜日や日曜日にトレードできるFX業者もあったようですが、現在は廃止されています。別名「未来レート」とも呼ばれており、月曜日に窓開けする要因になると考えているトレーダーもいますが、現在のところ、そこまで重視する必要はないようです。
最近、アラブ諸国でFX市場拡大が加速しているようです。アラブマネーがFX市場に本格的に入ってくるようになったら、価格の動きにも変化が出てくるかもしれませんね。
サマータイムって何?
アメリカや欧州各国は、「サマータイム(DST(Daylight Saving Time)」を導入しています。ニューヨーク市場があるアメリカ、ロンドン市場があるイギリスのどちらもサマータイム導入国です。そのため、サマータイム期間は経済指標や各イベントが1時間早まります。
1年のうちの8ヶ月間なので、標準時間よりもサマータイム期間の方が実は長いです。
FXの場合、サマータイムの切り替えは、アメリカの時間に合わせていることが多く、3月第2日曜日~11月第1日曜日に行う業者が多いです。
時間帯別の動き方の特徴、まとめてみた
オセアニア市場
日本時間の午前6:00~午前8:30(夏時間)頃までの時間がオセアニア市場です。厳密に言うと、この時間帯を過ぎてもオセアニアの国の株式市場は動いているのですが、東京市場の前の時間帯として、この時間帯がオセアニア市場と呼ばれることが多いです。
オセアニア市場詳細
値動き | 全体的に緩やか |
時間帯 | 午前6:00~午前8:30頃 |
主な通貨ペア | AUD/USD、NZD/USD |
ココが注目! | 月曜日早朝の窓開けに注意! |
オセアニア時間は比較的緩やかな動きになることが多い印象です。オーストラリアやニュージーランドはこの時間帯に経済指標も発表されますので、その場合は関連通貨ペアのレートが大きく動く場合があります。
1日の始まりにあたるため、週末にイベントや要人発言があると、価格が乱高下する可能性があり、注意が必要です。
また、オーストラリアと中国の関係がニュースになると、豪ドル関連通貨ペアが取引されやすくなります。オーストラリアは中国へ大量の鉄鉱石を輸出しており、中国の経済状況が豪ドルの価格変動要因になります。最近は中国との関係が悪化しているため、前よりも複雑になっているのも事実です。
また、豪ドルの特徴として、「トレンドが長く続きやすい」という点があります。
東京市場
オセアニア市場に続いて、午前8:00~午後4:00頃(夏時間)が東京市場となります。東京市場には、日本だけでなく、アジア全域で取引が行われています。このため、英語圏では「アジア市場」とも呼ばれています。
東京市場詳細
値動き | 全体的に緩やか |
時間帯 | 午前8:00~午後4:00頃 |
主な通貨ペア | USD/JPY |
ココが注目! | 午前9:55の東京仲値に注目! |
東京時間は全体的に緩やかな動きなのですが、午前9:55の「東京仲値(なかね)」前は「米ドル円(USD/JPY)」が活発にトレードされます。東京仲値については3章で詳しく紹介します。
東京市場はレンジ相場でボラティリティが小さいので、スキャルピングか逆張りトレードをするトレーダーが多い印象です。東京市場の時間帯の動きを分析することで、夜間の欧州トレーダーがどう出てくるのかを予想するという手法もあります。ロンドン市場やニューヨーク市場でトレードする場合も、東京市場の動きをあらかじめチェックすると、トレードしやすくなります。
世界三大通貨は「米ドル」「ユーロ」「円」です。米ドルやユーロは分かるけれど、なぜ「円」が世界三大通貨と呼ばれているのか、疑問に思う方もいるかもしれませんね。「円」を主要通貨として扱っているのは日本だけなのですが、「リスク回避通貨」として有名です。
1つの理由として考えられているのが、日本は海外に資産を持つ世界1位の国つまり世界1位の債権国だからです。ちなみに2位はヨーロッパのドイツ、3位は中国です。海外に資産を保有しているということは、それだけ信用力が高まります。
中国は市場開放をしておらず、世界の主要通貨になるには時間が掛かることが予想されるため、今後も「円」が世界三大通貨として注目され続けるのではないかと思います。
ロンドン市場
16時(夏時間)からロンドンなど欧州各地の株式市場が一斉に始まり、総称して「ロンドン市場」と呼ばれます。東京市場と比較すると、取引も活発になります。一気にトレンドが発生するほどの値動きが発生することが多く、取引チャンスも多い反面、注意も必要です。
ロンドン市場詳細
値動き | 非常に激しく変動 |
時間帯 | 午後4:00~翌1:00頃 |
主な通貨ペア | EUR/USD、GBP/USD |
ココが注目! |
午後4時(ロンドン市場開場)
午後11時(オプションカット)
午前0時(ロンドンフィックス)
|
主にトレードされるのは「ユーロ」「ポンド」です。実需取引もありますが、投機を目的としている大手機関投資家の動きもあります。
ロンドン市場は、21時頃に始まるニューヨーク市場と取引時間が重なっています。このため、ニューヨーク市場のスタート前には、ロンドン市場のトレンドが継続するか反対方向にトレンドが転換するのかを見極める必要があります。
この時間帯の主なイベントには、オプションカットやロンドンフィックスがあります。
ユーロは1999年から取引が開始された比較的歴史の浅い通貨です。米ドルに次いで世界第二位の取引量を誇り、ECB(欧州中央銀行)によって管理されています。ユーロ経済圏のGDPはドイツとフランスがおよそ半数を占めており、ユーロを取引する際にはドイツ、フランスの経済指標にも注意が必要です。
ユーロと同じくロンドン市場で活発に取引される英ポンドですが、別名殺人通貨とも言われ、その特徴は大きな変動率にあります。ユーロ圏とは深い関係にあり、ユーロとポンドは相関関係が強い傾向が見られます。
ニューヨーク市場
ニューヨーク市場は、日本時間の午後9:00~翌6:00(夏時間)頃までが主な取引時間なのですが、とりわけ午後9:00~午前0:00の時間はロンドン市場とも重なるためボラティリティが大きくなります。トレンドも発生しやすくなる時間帯で、レンジ相場の通貨ペアがブレイクアウトして、トレンド相場になりやすい時間帯です。
ニューヨーク市場詳細
値動き | トレンドが発生しやすい |
時間帯 | 午後9:00~翌6:00頃 |
主な通貨ペア | ドルストレート通貨ペア全般 |
ココが注目! |
午後11時(オプションカット)
午前0時(ロンドンフィックス)
|
ニューヨーク市場は、サラリーマンをしながらトレードする副業トレーダーの方も、仕事終わりに参加できる時間帯ですね。
ニューヨーク市場で注目するべき時間帯は、午後9時台や10時台など早い時間帯に発表される主要米国経済指標と午後11時のオプションカット、午前0時のロンドンフィックスです。
XMTrading(エックス エム)の公式ホームページで各国の経済指標カレンダーを確認できますので、ニューヨーク市場が始まる前にチェックをしておきましょう。
言わずと知れた世界の基軸通貨である米ドルは、貿易や金融などで世界中で利用され、世界最大の取引量を誇ります。その信頼性から有事のドル買いと言われ、リスクオフ局面では円やスイスフランと共にドルへ退避する動向も度々見られました。しかし2011年の同時多発テロ以降の近年では、有事の際にドル売りで反応する事例も見られるようになってきています。また、金相場とは強い逆相関の関係であることはあまりにも有名です。
三大市場でトレードするときに覚えたいチャートの動き
東京市場の仲値トレード
東京市場で注目するイベントは「東京仲値」です。午前9:55分に「仲値レート」が決定されます。仲値とは、銀行が顧客に提示するドル円の為替レートのことで、ドルを安く買って高く顧客に売れば銀行の儲けとなるため、この時間に向けて銀行がドルを買い、仲値価格を上昇させようとする傾向があると言われています。このため、午前9時55分にかけてドル/円が上がりやすいという特徴があります。
とりわけ、5と10の付く日(ゴトー日)や月末はドルを買いたい企業が多くなるため、ドル円が上昇しやすくなります。この時間を狙った「仲値トレード」手法も有名です。
ロンドン市場前後の動き
ヨーロッパ市場が始まると、それまで動意がなかった通貨ペアの取引量が急激に多くなることがあります。この時間帯の注意点は「ダマシの動き」です。
それまで進んでいた方向と逆の方向へ急激に価格レートが変動すると、多くのトレーダーは焦ってしまいますね。また、レンジ相場をブレイクアウトしたら、その流れに乗るため新規ポジションを建てるトレーダーもいます。
そうした動きになるのを待ってから、さらに逆方向へと仕掛けてくる場合が「非常に多く」あります。しかし、これがいつ起こるのか分かりません。トレンドがそのままどんどん進んでいく場合もありますので、逆張りトレードをするのであれば、ある程度のリスクを覚悟しなければいけません。(トレンドが突き進むと、あっという間に20~30pips動きます。)
トレードに工夫が求められる時間帯ですので、デモ口座などで動きの確認をしながら、練習をしてみるのが良いと思います。
NYオプションカットって何?
ヨーロッパ市場とニューヨーク市場が重なる時間帯である午後11時(夏時間)に行われるNYオプションカットでも、大きな値動きが発生する可能性があります。
NYオプションカットとは、通貨オプションの権利を行使する最終締め切り時間のことです。簡単に説明すると、例えば買いオプションを保有している機関投資家などは、現在レートが上がれば上がるほど儲けが出るため、レートを上げようとします。一方で、買いオプションを提供した側は、儲けを出されてしまうと困るので、レートを下げようとします。
そのような攻防が行われるため、レートの動きが激しくなったり、特定のレートを中心に推移したりする場合があります。
スキャルピングトレードなど短い時間足でトレードする場合は、意識してもいいかもしれません。ただ、デイトレードやスイングトレードなどでトレードする場合は、そこまで意識する必要はないと思います。
チャートパターンや過去の抵抗線/支持線を参考にしながらトレードする方が勝率は上がりやすいと思います。
興味がある方は、以下のサイトでNYオプションカット価格を調べることができます。
ロンドンフィックスがFX市場の最高潮
ロンドン市場では、東京市場と異なり、取引終了間際に仲値レートが決定されます。この時間を「ロンドンフィックス」と呼びます。とりわけ、ユーロドルやポンドドルのボラティリティが高くなる傾向があります。
日本の「仲値(なかね)」と同じ。銀行がその日に提示する価格レートや企業に提示する取引レートが決まる時間です。
ロンドンフィックスの中でも、月末や四半期末(3月、6月、9月、12月)は、特に注目度が高くなります。ボラティリティが大きくなり、突然トレンドが変わる可能性も十分にあります。
そのため、ポジションを保有している場合は、月末のロンドン時間が始まる前までに整理したほうが良いかもしれません。基本的にテクニカル分析は機能しないので、プライスアクションを意識してトレードします。大きなリターンを得られる可能性がある反面、リスクも大きくなります。
なお、ロンドンフィックスを過ぎると、それまでの動きが噓のように鎮まるときもあれば、全く価格が勢いを失うことなく「行ける価格まで突っ込め」というような動きになることもあります。FX市場の中でもボラティリティが最も高くなる時間帯です。原則として、ロンドンフィックス前後の逆張りはしない方が良いと思います。押し目買いや戻り売りも要注意です。
早朝トレードはできるのか
午前3:00を過ぎると、取引量が減少し、通常はほとんど値動きがなくなってしまうか、トレンドが緩やかに続いていきます。ニューヨーク市場の午前は活発ですが、午後は比較的緩やかな動きです。
しかし、株式市場が大きく動くと、FXも大きく動く可能性があります。例えば、ダウ平均株価が急落したり金(GOLD)の価格が急上昇したりするなどの要因があると、為替レートも大きく動きます。
早朝トレードでできる具体的な手法や注意点は以下の記事で解説しています。
(まとめ)時間帯によってトレードスタイルを変えてみる
ここまで時間帯別のチャートの動きについて解説してきました。FX市場には経済指標以外にも注意するべき時間がありましたね。
例えば、東京市場であれば午前9:55の「仲値(なかね)」、そしてロンドン市場終了前の午前0:00(夏時間)はロンドンフィックスという時間帯がありました。
月末や四半期末のロンドンフィックスは、企業や機関投資家などの大口の注文が入りやすくなり、取引量がさらに増加します。実需取引も活発になるので、テクニカル分析が全く機能しないということも十分あります。そのため、月末のロンドンフィックス時間帯のトレードは、上級トレーダー向けです。私は、テクニカル分析が機能しないのとトレンドを無視する可能性が高いので、基本はトレードしません。
時間帯や通貨ペアによって、トレード戦略が異なります。自分がトレードしやすい時間帯はどのようなトレードスタイルが良いのか、どの通貨ペアが最適なのかを考えてトレードすると、良いと思います。
当社では主要海外FX業者のスプレッドやサービス、ボーナスなど様々な条件を比較していますので、ぜひ参考にしてみてください。