当社(FXplus)は、2023年9月1日〜2023年9月30日の期間を対象とした、「重要イベント」と「主要銘柄のボラティリティ」にみる市場動向をまとめたデータを公開しました。
2023年9月は、再びドル円が150円台目前まで迫り円安水準を更新しましたが、ボラティリティ拡大は一時的で収まっています。急激な円安進行に為替介入の警戒感が強まった動きと考えられます。
人気通貨ペアのボラティリティ動向と取引量
人気通貨ペアであるドル円(USD / JPY)、ユーロドル(EUR / USD)、ユーロ円(EUR / JPY)、ポンド円(GBP / JPY)を対象にした今回の調査結果では、9月のボラティリティは全体的に縮小傾向だったことが確認されました。米国のファンダメンタルズ要因により米ドルが上昇したものの、ボラティリティの拡大は限定的です。また、イングランド銀行の金利の据え置き発表を受けて、ポンドは下落し、一時的にボラティリティが拡大しました。
米国経済の好調を受けてドル円のボラティリティが拡大
ドル円(USD / JPY)のボラティリティ推移(対象月:2023年8月・9月)
上記グラフは、8月・9月のドル円(USD / JPY)のボラティリティの推移を示しています。9月のドル円ボラティリティは、8月に比べて全体的に縮小したことが確認できます。1日当たりの平均ボラティリティは、8月の110.4pipsから9月は85.7pipsになり、24.7pipsの縮小となりました。一方で、1日当たりの最大ボラティリティは、8月の182.5pipsから9月は185pipsと若干増加しています。1日当たりの最大ボラティリティを記録したのは、ISM製造業PMIおよび非農業部門雇用者数が発表された9月1日です。9月のISM製造業PMIは、2023年2月以来の高水準となる56.1を記録し、市場予想の53.0を上回りました。さらに、非農業部門雇用者数は市場予想の22.5万人を大きく上回る42.8万人でした。これらの要因が米ドル高・円安を後押しし、ボラティリティの増加に寄与したと考えられます。
ドル円(USD / JPY)のボラティリティと取引量の推移(対象月:2023年8月・9月)
8月・9月のドル円(USD / JPY)のボラティリティと取引量の推移を示す上記グラフから、大まかにはボラティリティと取引量が一致していることが確認できます。ただし、9月の最大のボラティリティを記録した日付と、最大取引量を記録した日付は異なっています。取引量が最大となったのは9月11日で、週明けの米ドル売りの急増によって前週末のレートから大きく開くギャップスタートとなりました。
イングランド銀行の金利決定に強い影響を受けたポンド円
ポンド円(GBP / JPY)のボラティリティ推移(対象月:2023年8月・9月)
上記は、8月・9月のポンド円(GBP / JPY)のボラティリティ推移を比較したグラフです。ポンド円は8月と比べて9月のボラティリティが若干減少したことが確認できました。1日当たりの平均ボラティリティは、8月の137.1pipsから9月は117.4pipsと19.7pips減少しました。1日当たりの最大ボラティリティは、8月の235.8pipsに対し、9月は21日の232.8pipsが最大です。この日はイングランド銀行の金利決定が発表され、市場予想の金利引き上げに反して、2021年11月以来となる金利据え置きとなりました。この発表は、インフレ抑制への期待が一時的に後退したことを示すものであるため、ポンド売りが進み、ボラティリティが拡大しました。