これからFXを始める人へ!FX取引における証拠金とは何か?
FXに関する基礎知識
これからFX取引を始めようとしている人がまずやるべきことは、FX取引の仕組みを知ることです。仕組みが理解できない状態では、FX取引で利益を得ることが難しいばかりでなく、思わぬ損失につながってしまう可能性もあります。FX取引には特有の仕組みがいくつかありますが、その中でも特に重要なものが証拠金に関する仕組みです。そのため、FX初心者がFXの仕組みを理解する場合は、証拠金について理解をするところから始めることをお勧めします。
証拠金はFX取引に必要な担保金として資金を拠出するもの
FX取引は、主に通貨を売買することによって為替差益を得ることを目的として行う取引です。取引を行う場合は、まず証拠金と呼ばれるお金をFXブローカーに対して拠出する必要があります。この拠出金とは、取引を行うための担保の役割を果たすものだと理解しておけばよいでしょう。
FX取引の特徴は、この証拠金の何倍もの金額で取引を行える点にあります。この証拠金は、取引が決済されると投資家の元に戻ってくるお金です。つまり、証拠金という名の担保を提供することで、実質的にはFX取引に必要な資金を借りて取引ができるということです。
また、この証拠金は、投資家の手持ち資金のうち投資に回せる金額から FXブローカーに対して送金されます。実際の取引は、国内FXであれば証拠金の最大25倍、海外FXであれば証拠金の千倍といった大きな倍率での取引も可能になります。
結果的に、少額の資金しか持っていない投資家であっても、大きな金額の取引ができるようになります。このFXの特徴を支えているのが証拠金の仕組みなのです。
FXの証拠金の種類と投資可能資産との関係
余剰証拠金とは?
余剰証拠金とは、有効証拠金から必要証拠金を差し引いた金額をいいます。つまり、必要とされる証拠金の金額に対して多く拠出している分の金額が余剰証拠金なのです。
FX取引を開始したあとで為替相場が変動し為替差益が発生した場合は、その利益の分が余剰証拠金に加算され、為替差損が発生した場合は、その損失の分が余剰証拠金から控除されることになります。
余剰証拠金が多くなると取引に活用できない資金をブローカーに預け続けていることになりますので資金効率は下がりますが、余剰証拠金があればその範囲で新規の注文が可能になります。
有効証拠金とは?
有効証拠金とは、FXブローカーの預かり取引証拠金にその時点の取引の評価損益を加減した金額のことです。
例えば、証拠金として10万円を送金して取引している場合、その金額がそのまま有効証拠金になるわけではありません。取引によって2万円の評価損失が生じていれば、その分減額されて有効証拠金は8万円です。また、取引によって2万円の評価益が出ている場合は、有効証拠金は12万円ということになります。
注文必要証拠金とは?
注文証拠金とは、指値注文をしてまだ成立していない取引について必要となる証拠金のことです。
取引が成立すると、その必要となる証拠金はFXブローカーに担保として拘束されることになりますが、注文が成立する前であっても、取引成立した場合にどの程度の金額が拘束されることになるのかが注文必要証拠金の金額を見ることでわかります。FXブローカーによって、注文時に注文必要証拠金が拘束される場合とされない場合があります。
資産合計とは?
FX取引の全体の状況がわかる取引画面には、資産合計という名称で表示されている金額もあります。FXブローカーによっては、この資産合計金額について「預かっている顧客の円資産合計が表示されている」といった内容の説明文を載せていることもあります。
この資産合計とは、確定している資産の合計額をいいます。評価損益は含みませんので、結果的に評価損益が加味されている有効証拠金の金額から評価損益を差し引いた金額と同じです。
最低証拠金はFXブローカーごとに違う
FX口座の開設が終わるといよいよFX取引を始めることになりますが、口座を開設しただけでは取引注文を出すことはできません。取引注文を出す前に証拠金を送金しておく必要があります。
FXブローカーによって、口座開設と同時に送金が求められる場合もあれば、実際の取引開始前に送金すればよい場合もあります。しかし、いずれにしろ、ある程度の証拠金が送金済になっていないと注文を出すことができません。送金しておくことで取引できる状態になる証拠金の最低金額が最低証拠金なのです。
最低証拠金の額も、FXブローカーによって違います。なかには初回入金としての最低保証金はゼロというブローカーもある一方で、最低1万円というブローカーもあれば10万円としているブローカーもあります。
実際に取引する場合には、必要となる証拠金が送金済になっていないと注文を受け付けてもらえませんので、ご自身がどの程度のレバレッジをかけ、いかほどの取引をするのかを想定した上で、FXブローカーが求める最低額以上の金額を送金するようにしましょう。
FXブローカーが求める最低保証金を送金して取引を始めようとしたら、必要証拠金に足りず注文が出せなかった、ということがないように注意する必要があるでしょう。
FX取引の必要証拠金とは?
FX取引をするにあたっては、必要証拠金という用語も知っておく必要があります。必要証拠金とは、ポジションをとるにあたって取引額に応じて最低必要となる、FXブローカーへの預け金のことです。
各FXブローカーは、実際の取引をする場合に必要となる証拠金を通貨ごとに決めています。口座開設をしようとしているFXブローカーのホームページなどをみることで、通貨ごとの必要証拠金を確認することができるのが一般的です。1万通貨あたりいくらと決めているケースが多く、取引金額の2%から5%程度で設定していることが多いようです。
取引しようとしている通貨ペアは、取引金額の何パーセント程度の必要証拠金が必要となるかについては、事前に頭に入れた上でFX取引をしていくことをお勧めします。
証拠金維持率とは?
証拠金維持率とは、取引している金額に対して証拠金の残高が何パーセントに相当するのかを表す数字です。
決済前のポジションを保有している場合は、その取引の利益や損失は確定していません。しかし、その決済前の取引について、ある時点の為替レートを使って評価損益を計算することはできます。証拠金維持率を計算する場合の証拠金残高は、この決済前の取引に関する評価損益を考慮して計算することになっています。
一般的には、証拠金維持率は50パーセント以上を維持するように決められており、50%を下回るとマージンコールがかかります。マージンコールとは、追加で証拠金を入れるか損失を確定して決済するかを決めなさいとコールされることです。放っておくと、勝手に損失が確定されて決済されることになります。
そのため、FX投資家は、証拠金維持率についてマージンコールがかかるラインまでどの程度余裕があるのかを常に注意しておくことが大切です。
大切な資産を守るためにも初心者は証拠金の理解が必要
FXの証拠金には多くの種類があり、それぞれに意味があります。最低証拠金の意味を理解していなければ取引を始めることができませんし、必要証拠金の意味がわかっていなければ注文を受け付けてもらうこともできません。さらに、証拠金維持率の見方がわかっていないと強制的に損失が確定されてしまうこともありえます。
そのため、初心者がFX投資をする場合には、各種証拠金の意味をしっかり理解をしておくことが必要になるでしょう。利益を出しながら継続してFX取引を行っていくためには、適正なリスク管理をしながらリターンを追及するという姿勢が重要になります。そして、適正なリスク管理のためには、証拠金の仕組みを理解することが最初のステップになるでしょう。