FX取引を始める前に覚えておきたい取引単位と証拠金とは?
FXに関する基礎知識
現物株式や投資信託等での投資経験がある人でも、FXに関する基礎知識がない人が初めて取引を行う時に戸惑うのが、取引単位と証拠金についてではないでしょうか。国内FXと海外FXの証拠金の違いに関して理解しておくことは、今後のFX投資にも役立つはずです。今回は、FXで取引を開始するために覚えておくべき取引単位とは何なのか、証拠金の役割とは何なのかについてご紹介します。
FXでの「取引単位」とは何を指しているのか
FXは個人でも比較的簡単に始められる投資ですが、実際に取引をするためには、決まり事があり、その一つが取引単位です。取引単位とはどのようなものでしょうか。
通貨量のボーダーラインである取引単位
FXで通貨の売買を行う際、「1lot」や「1枚」という表記を目にすることがあります。このlotや枚とは何かといえば、最低この数量から取引できます、という通貨の下限量を、取引可能なひとつのまとまりとして表しているものです。
例えば「1枚=10,000通貨から」というFXブローカーがあるとしましょう。枚とは通貨の取引単位をあらわし、米ドルを1枚欲しいと言えば10,000ドル購入することになります。大半のFXブローカーが1枚=1,000通貨もしくは10,000通貨=1lotとしており、特に国内のFXブローカーでは1枚=10,000通貨という基準が大半を占めます。米ドル円の通貨ペアで、米ドルを買う場合は10万円前後が必要な計算になります。
ちなみに国内FXブローカーのレバレッジ上限は金融庁の規制により25倍ですので、10万円分の取引を行うためにはその25分の1、つまり4%が証拠金として必要です。この場合は、4,000円となります。実際には、これに加えて売買手数料やスプレッド(通貨ペアの売値と買値の差)が手数料としてかかりますが、大まかな基準として覚えておくと良いでしょう。
取引単位が小さいほど投資をはじめやすい
FXによる投資を開始したばかりの初心者であれば、まずは少額の余剰資金で練習したいという方が多いでしょう。その際には国内FXブローカーも勿論良いのですが、海外FXブローカーに目を向けることも一つの方法です。
海外FXブローカーは日本の金融庁の規制をうけず、レバレッジを25倍以上に設定できるブローカーが殆どです。100倍や200倍、中には最大1,000倍というブローカーも存在します。そのような背景から、取引の最小単位も小さめに設定されており「1枚=1,000通貨」のブローカーが多数存在しています。単純に国内FXの10分の1以下の資金で投資を始められることになりますね。
中には1枚=1lotよりさらに小さい0.01lot、つまり10通貨を最小取引単位としているブローカーも存在します。国内FXよりも柔軟で手軽に投資を始めやすい傾向があるため、もし少額の資金でFXの練習をしたいのであれば、海外FXを視野にいれることをお勧めします。
FXの基礎知識!証拠金にはどんな役割がある?
証拠金はFX取引を成立させるためには欠かせないものです。FXの基礎知識なので覚えておきましょう。
証拠金は損失に備えた担保の役割がある
FX取引を行う場合、必ず入金する必要があるのが証拠金です。この証拠金は、投資者が投資を行う上では担保の役割を果たします。FXブローカーは、投資者が証拠金以上の取引を行うために、いわばお金を貸して取引をさせることになります。そして、外貨の売買を行った差額を決済し、証拠金は次の取引をしなければ投資者が手元に引き出すことが可能です。
問題になるのは、外貨の購入や売却のポジションをとっている間に、投資者の損失が膨らんでいく場合です。この時、FXブローカーは証拠金を預かっているため取引を継続させるのです。まさに担保の役割は果たしています。証拠金は担保にあたるということは、FXを始めるにあたってぜひ知っておきたい基礎知識です。
注意すべき点は、国内FXブローカーの場合、取引による損失が拡大して、証拠金に対する一定割合を超えてくると、追加の証拠金を要求されることです。FXブローカーとしては当然の対応といえます。投資をする場合は、証拠金があまり少ないと担保としての機能を十分に果たせないことがありますので、注意が必要です。
また、海外FXブローカーで取引する場合は要求されるケースはほとんどありませんが、国内FXブローカーで取引をする場合は、この追証が必要になる仕組みであると知っておくといいでしょう。
証拠金は取引規模を決める役割もある
証拠金は、FXブローカー側から見たときには担保としての役割がありますが、投資する側から見ると、FXの取引規模を決める役割があります。仮に、同じレバレッジをかけるのであれば、証拠金が少なければ大きな金額の取引はできませんし、証拠金を大きくすることで大きな金額のFX取引ができるのです。
もちろん、証拠金が少なくても、FXの魅力であるレバレッジ(取引倍率)を上げることで、大きな金額の取引が可能になりますが、ほんの僅かの為替相場変動でも損失が証拠金を上回る可能性も高くなります。そうなると、国内FXブローカーの場合は追証が求められますし、海外FXブローカーの場合はゼロカットシステムにより取引が強制的に終了となります。
そのため、ある程度の規模の取引をしたい場合は、レバレッジを上げるだけでなく、十分な証拠金を入金しておくことも大切なポイントになるでしょう。証拠金は、FX取引を安全に継続して行うために欠かせないものなのです。
国内FXと海外FXでは必要な証拠金が違う!?
国内FXと海外FXでは、いろいろな違いがありますが、その違いの中でも非常に重要なのが証拠金です。国内FXと海外FXの証拠金の違いに関する知識を理解しておけば、今後のFX投資に役立つはずです。
証拠金の違いはレバレッジの違い
国内FXと海外FXの特徴で最も違いが際立っているのはレバレッジの大きさでしょう。国内FXが最大25倍までに規制されている一方、海外FXは数百倍、ブローカーによっては千倍近いレバレッジがかけられます。国内FXと海外FXの証拠金の違いは、このレバレッジの違いが原因です。
例えば、国内FXで100万円分の取引をしたい場合、最大のレバレッジをかけるとすれば100万円の25分の1、つまり4万円の証拠金を預託する必要があります。しかし、海外FXで100万円分の取引をする場合、500倍のレバレッジをかけるとすれば、同様の計算によりたった2,000円の証拠金で済むことになります。
もちろん、2,000円の証拠金では、少々予想と違う方向に相場が動くと一気に証拠金以上の損失が発生し、ロスカットにより取引終了になってしまいますので、余裕を持って証拠金を預託することも大切になります。しかし、国内FXと比較した場合、同じ大きさの取引をするのであれば、必要になる証拠金は海外FXの方が圧倒的に少なくて済むことが理解できるでしょう。
ゼロカットと追証の違いにより証拠金も違ってくる
国内FXと海外FXの証拠金の違いは、ゼロカットシステムと追証の違いも原因の一つといえます。ゼロカットシステムとは、海外FXで採用されている仕組みで、取引による損失が証拠金を上回ると自動的に取引終了となり、仮に証拠金以上の損失が発生していたとしても、超える分の損失は負担せず、証拠金マイナス損失がゼロの状態で終了するものです。
つまり海外FXの場合、証拠金を超えるリスクを負担する必要はないことになりますので、予想外の損失で大きな借金を抱え生活できなくなるなどの不安を感じることなく、安心して取引できます。
一方国内FXの場合は、証拠金の一定割合以上を超えた損失が生じると、追加証拠金が要求されます。これを追証と呼んでいます。ブローカー側からすると、担保として預かった証拠金の価値が、取引による損失で下がっているわけですから、担保価値回復のために追証を要求するのです。
つまり、国内FXの証拠金は、最初に預託したもので済まない可能性があるということです。予想外の追証を求められるリスクを回避するためには、国内FXでもロスカットの仕組みがありますので、それをうまく使うことで対処するといいでしょう。