信頼性・ライセンス関連
海外FX業者は違法なのかという点が気になる方は多いと思います。海外FX業者が、日本でFXの営業を行う許可を持たず、金融庁から警告を受けているのは事実です。但し、トレーダーが海外FX業者でトレードを行うことが法律で禁止されているわけではなく、罰則もありません。
この記事では、以下の3つの点に特に注目していきましょう。
海外FX業者の安全性3つのポイント
海外FX業者でトレードすることは違法ではない
規制はトレーダーではなく海外FX業者が対象
「海外FX業者は違法ではないのか」
海外FXを初めて知る人は、自然とこのような疑問が頭に浮かんでくるのではないでしょうか。確かに、金融庁の公式ホームページでは「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(警告書の発出を行った無登録の海外所在業者)」という報告書(※1)が公開されて、主要海外FX業者は警告を受けています。「海外FX業者」と呼ばれるのは、日本の金融ライセンスを保有していない、海外に拠点を持つFX業者の総称です。(※2)
しかし、結論から言うと、「海外FX業者でトレードをするのは違法ではありません。」
警告書という非常に強い言葉が使われていると、驚いてしまいますね。海外FX業者の信頼性に疑問を抱いてしまう人もいるでしょう。しかし、法律が規制の対象としているのは海外FX業者であり、トレーダーではありません。つまり、自発的にトレーダーが外国のFX業者と取り引きすることは禁止されていません。但し、注意したい点は海外FX業者とのトラブルの責任は全てトレーダーに帰されるということです。海外FX業者は日本の金融庁の監督下にないため、トラブルを報告したとしても仲裁に入ることはありません。
- 参照資料:https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/mutouroku/03.pdf
- この記事では、日本の金融商品取引業を行うことを許可されているFX業者を、外資系FX業者(OANDA、外為ファイネスト)などを含めて「国内FX業者」と定義します。
海外FX業者への警告は安全性を判断したものではない
上記の通り、金融庁の公式ホームページでは、「日本の金融庁無登録業者」に対して警告文書を発出したFX業者の名称が掲載されています。その中には、XM Trading(エックス エム)(正式法人名称:Trading Point(Seychelles)Limited(※1))、Titan FX(タイタン FX)(正式法人名称:TI Securities Limited(※2))、Tradeview(トレードビュー)(正式法人名称:Tradeview Ltd)など、日本や海外のFX利用者から信頼性が高いと考えられている大手海外FX業者も含まれています。
日本語サービスを提供している海外FX業者はほぼ全て金融庁の警告を受けていますが、この警告は一律に行われているものであり、個々の業者の安全性や信頼性を判断したものではありません。
海外FX業者が警告を受けている理由は、「インターネットを通じて、店頭デリバティブ取引の勧誘を行っていた」というものです。(デリバティブ=金融派生商品)
海外FX業者が日本以外の国で営業するのを日本の金融庁が規制することはできませんが、日本居住者に対して口座開設などの「勧誘」を行った場合は、警告を受けます。何が「勧誘」にあたるかはガイドラインも定められていますが、日本語サービスを提供している海外FX業者はほぼ全て「勧誘」をしていると判断されています。
金融庁の警告は「勧誘」をしているかどうかで一律に判断されるものであり、個別の業者の安全性を判断しているわけではありません。そのため、警告書に載っているからといって、経営状態などが危ない業者なのか...? という風に信頼性について心配しすぎる必要はありません。
金融庁の警告は個別の業者の安全性・信頼性を判断したものではない。
- 現在の法人名称はTradexfin Limited
- 現在の法人名称はTitan FX Limited
優良海外FX業者が日本の金融ライセンスを取得をしない理由
優良海外FX業者であっても、日本のライセンスを取得しない業者があります。その理由としてはレバレッジ規制もありますが、もう一つあります。それは「ゼロカットシステム導入の禁止」です。
ゼロカットシステムは、相場の急激な変動によって投資家の口座資金がマイナス残高になってしまったときにFX業者が投資家の損失を補填する仕組みです。トレーダーにとっては、口座残高以上の損失はなく追証(借金・債務)を求められないという安心感があります。
しかし、日本の法律には「企業が顧客に対する損失補填の禁止する(※1)」という規定があります。そして、ゼロカットシステムも「損失補填」に該当してしまうのです。日本の金融ライセンスを保有しているFX業者でゼロカットシステムを導入している業者はありません。
ゼロカットシステムは、トレーダーにとってはありがたい制度であり、これを提供できない業者は魅力が下がってしまいます。優良海外FX業者であっても、日本の金融庁に登録してしまうと自由なサービスを提供できないという理由であえて登録を行っていない業者もあります。このような事情を考慮すると、日本の金融ライセンスを保有していないことは、海外FX業者の信頼性には直結しません。
ちなみに、欧州ではゼロカットシステムの導入が義務付けられています(※2)。欧州と日本では全く考え方が異なっているようです。
海外FX業者の魅力である、ハイレバレッジやゼロカットは日本の金融ライセンスでは提供できない。
- 金融商品取引法第39条
- 欧州証券市場監督局(ESMA)の規制によりマイナス残高保護の義務化(2018年7月30日より)
信頼性の高い海外FX業者を見分ける5つのポイント
経営状況は公式ホームページや運営歴をチェックする
海外企業の経営状況を確かめるというのは難しいのですが、1つの方法は、公式ホームページや運営歴をチェックすることです。海外FX業者の中には、相場のデイリーレポートや日ごとの相場解説動画を公開している業者もあり、金融機関として現在でも機能しているかという信頼性をチェックできます。
また、日本向けのサービスをどのぐらい提供しているかという点にも注目してみましょう。日本向けサービスの運営歴が長いほど、入れ替わりの激しい海外FX業者の中で生き残っているという証拠ですね。信頼性の物差しともいえるでしょう。
一方で、公式ウェブサイトの日本語ページが全く更新されていないという場合は要注意です。それだけで判断することはできないかもしれませんが、日本向けサービスに力を入れているか見極められます。
大手海外FX業者の中には、有名選手を広告に起用している業者もあります。例えば、XM Tradingは陸上のウサイン・ボルト選手が現役時代に契約をしていました。有名な選手や団体であるほど、スポンサー契約料も非常に高額です。また、スポンサーになるにも審査なども厳しいと思われます。それが可能な経営状況であるということは、信頼性は高いと推測できる要素になります。このような観点でも経営の安定さやブランド力を測る物差しになります。
金融ライセンスを確認する
金融ライセンスを保有しているかどうかは非常に重要です。海外では、日本よりも審査が厳しい金融ライセンスもあります。金融ライセンスとは、「その地域で投資事業や金融行為を行ってもよい」という許可証です。
入出金がスムーズか、サポート体制は充実しているか、顧客資産の管理などが主な審査項目に含まれています。日本の金融ライセンスを保有していなくても、海外FX業者が設立された国の金融当局の規制を受けている金融機関であるということですので、信頼性を測る上で重要な要素です。
主要海外FX業者の金融ライセンスを以下にまとめてみました。
主要海外FX業者保有金融ライセンス一覧
日本向けサービスを提供している主要海外FX業者の保有金融ライセンス一覧
海外FX業者 | 日本向けサービスを提供している 法人の金融ライセンス |
---|---|
XM Trading | セーシェル共和国 |
Titan FX | バヌアツ共和国 |
Exness | セーシェル共和国 |
GEMFOREX | モーリシャス共和国 |
親会社の金融ライセンスも参考にする
海外FX業者は、ハイレバレッジなどのより自由なサービスを提供するために、日本向けサービスを提供する会社を本社とは別に設立している場合があります。例えば、XM Tradingは日本と同様に金融ライセンスの規制の厳しい国のライセンスで営業しているため、日本向けのサービスはセーシェルに子会社を設立して運営しています。
本社に適用される金融ライセンスの規制は、子会社には適用されませんが、「本社で規制の厳しい国のライセンスを取得できる」ということは、信頼性を測る一つの目安になります。
イギリス(FCA)
世界で最も厳しい審査基準を設けているといわれているのが、イギリスの金融行為規制機構(FCA)の金融ライセンスです。この金融ライセンスを取得している=信頼性の高い金融機関とみなせます。XMグループはFCAライセンスを取得しています。(※)
キプロス(CySEC)
キプロスという国の名前を聞く機会は少ないかもしれませんが、金融ライセンスの中ではイギリスに次いで有名なライセンス発行国です。2016年から新規制が施行され、ゼロカットシステムを義務化し、出金処理を翌営業日までにするという項目が含まれています。
XMグループで日本向けサービスを提供しているのは、セーシェルライセンスを取得している法人です。
日本語カスタマーサポート体制
日常のちょっとした不明点、操作方法、入出金のトラブルなどに役立つのが、日本語カスタマーサポートです。海外FX業者の中には、日本向けサービスに力を入れる業者がだんだんと増えてきています。複数の日本人スタッフを待機させ、サポートを提供しているので英語が話せなくても安心です。もしものトラブルが発生したときもストレスなくサポートが受けられるのが最大のメリットでしょう。海外FX業者の信頼性や安全性を見極める1つの判断材料になります。
顧客資産の管理状況
顧客資産の管理の仕方には大きく分けて2種類あり、信託保全と分別管理があります。
信託保全とは、銀行などが顧客の資産を管理する仕組みで、海外FX業者が顧客資産を扱うことはできません。万一、FX業者が破綻したら信託銀行などが速やかに資産を返却します。トレーダーは、取引資金の返金が保証されているのです。
もう一方の分別管理とは、FX業者の運営資金とは分けているが顧客資産の管理自体は海外FX業者が行っています。分別管理の場合、トレーダーの資産がどのように保護されるかも非常に重要です。
多くの海外FX業者は、顧客資産の管理状況を公開しています。こうした情報も、信頼性を測る目安になります。
顧客資産の管理方法には、信託保全と分別管理がある。
過去に出金拒否などのトラブルを起こしていないか
過去に正当な理由なく出金拒否されたという情報や顧客とのトラブルがないかを確かめるのも、信頼性の高い海外FX業者を見極めるポイントです。但し、XM Tradingなどの主要海外FX業者もトレーダー側が アービトラージ(裁定取引)など規約に違反した取引をすると、該当する取引を取り消す可能性があります。規約は海外FX業者によって様々な種類があり、サーバーに負担を掛けるという理由でスキャルピングが規約違反となる場合もあるので注意が必要です(当社で紹介している海外FX業者は全てスキャルピングを認めています)。
両建て取引はFX業者によって規約が異なる
ほとんどの海外FX業者には、「ゼロカットシステム」が導入されています。中には、この仕組みを悪用するトレーダーもおり、海外FX業者も監視を続けています。
例)証拠金1万円で複数の業者で両建てした場合
- XM Tradingでドル円の買いポジションを保有
- 別業者でドル円の売りポジションを保有
→価格が大きく動いた場合、片方はゼロカットがあるため1万円の損失のみで済み、もう片方では大きな利益が生まれるため、リスクなくトレードできてしまう可能性がある。
このため、XM Tradingでは、XM Tradingでの追加口座はもちろん、他社口座であっても両建てを禁止しています。しかし、同一口座においての両建ては認められています。一方、Titan FXやTradeviewには両建てに関する制限がありません。このように海外FX業者によっても規約が大きく異なります。規約違反をした場合、利益の取り消し(出金拒否と呼ばれることもあります)、口座凍結など厳しい処置になったという事例も存在します。
信頼性のある海外FX業者を選ぶ
海外FX業者を利用するかどうかはトレーダー自身が選択できます。海外FX業者を利用することが違法であるわけはありません。一方で、日本の金融庁の統一の規制ではなく、それぞれの海外FX業者が設立された国の規制を受けるため、トレーダー自身が信頼性・安全性の高い業者を見極めなければいけません。実際に海外へ行って経営状況を確かめるというのは現実的ではありませんね。公式ウェブサイト、サポートの質、過去の例などを考慮して、総合的に判断する必要があります。最新の海外FX業者人気ランキングでは、海外FX業者7社について、ボーナス、スプレッド、信頼性などを評価・比較していますのでぜひ参考にしてください。
編集部の
コメント
特に悪質な業者の場合、「出金拒否や突然連絡できなくなってしまう」という事例も実際にあります。また、設立された国での規制強化の流れで日本向けサービスから撤退した海外FX業者もあります。このようなことを考慮すると、信頼性の高い海外FX業者を見極めなければいけないのです。