通貨オプション
2018.06.29
通貨オプションとは、カレンシーオプションとも呼ばれ、ある特定の通貨を予め定められた期間または期日(権利行使期間)に、あらかじめ定められた価格(権利行使価格)で特定の通貨を買う権利(コールオプション)、または売る権利(プットオプション)を売買する取引をいいます。
これは1980年代前半からマーケットで取引されるようになり、その後市場規模は急速に拡大し現在ではリスクヘッジとトレーディング(利鞘狙い、ポジション転換等)の両方で利用され、外国為替市場において重要な取引となっています。
一般にスポットやフォワードなどの外国為替取引が売買した通貨(現物)の受け渡しを行う契約であるのに対して、通貨オプションは「通貨を売買する権利」を売買する契約のため、現物の受け渡しはありません。あくまでも「権利」の取引になります。
購入者はプレミアム(手数料)を支払うことで権利を入手し、権利行使日あるいは権利行使期間内にその権利を行使するか放棄するかを任意で選ぶことが可能です。
一方、売却者は購入者が権利を行使したときに、それに応じる義務を負います。つまり、権利行使価格でその通貨を売るか買わなくてはなりません。
ドル/円でドル・コールオプションを買う場合、「ドルを買う権利」と同時に「円を売る権利」を買った、ということになります。そのため、正式には「ドルコール/円プットオプション」とセットで表記します。
通貨オプションをより分かりやすくするため、具体例を挙げてみましょう。たとえば、2カ月満期で金額100万ドルの100円/ドル(1ドル=100円)のコールオプションがあるとします。これは、満期日(権利行使日)の為替レートにかかわらず、100円/ドルで100万ドル買える権利だということを意味します。
もし、満期日の為替レートが110円/ドルの円安ドル高になっていると、通常1億1000万円出して100万ドルを買うところを、ドル・コールオプションを行使すれば1億円ですむことになります。
一方、為替レートが90円/ドルの円高ドル安だった場合はどうでしょうか。100万ドル買うのに9000万円ですむところを1億円で買うことになるため、権利を放棄します。そうすると、損失は最初に支払ったプレミアムの範囲におさえることができます。
逆に、ドル・プットオプションの場合は、ドルが下がったら利益が出るしくみなので、もし上がった場合は、購入者は権利を放棄します。
このように、通貨オプションでは、オプションの購入者だけが権利を放棄して損失をおさえられますが、売却者は損失の回避ができません。
読み方
ツウカオプション・つうかおぷしょん