双子の赤字
2018.07.05
双子の赤字とは、財政赤字と貿易赤字を同時に抱えている状態をいいます。貿易赤字と財政赤字が同時にあり、英語表記で、Twin deficitと表記されます。
1980年代の米国大統領ロナルド・レーガン政権下、米国において莫大な貿易赤字(経常赤字)と財政赤字が並存していた状態を表現し、1998年には財政収支が黒字となり一旦解消されましたが、ジョージ・W・ブッシュ政権下において双子の赤字が再発しています。
英国も同様に双子の赤字の状態にありますが、米英両国ともかつての資本輸出国であり成熟した工業国です。
財政赤字については、第2次世界大戦後の積極財政が行き過ぎたこと、ベトナム戦争に代表されるような冷戦下での軍事費増大が招いたといわれています。一方貿易赤字については、1960年代以降の西ヨーロッパ諸国と日本の復興に対して、アメリカ産業が対応し切れず、競争力を落としていったことから拡大しています。
貿易赤字の解消については、アメリカの関心は、大幅な輸入超過である、中国との貿易不均衡を解消することにあり、そのため中国に対し「人民元の切り上げ」を求める圧力が強まりつつあります。
1998年~2001年にかけてのクリントン大統領時代には財政黒字であったものの、経常収支の赤字は拡大の一途をたどり、ブッシュ政権下のイラク戦争戦費やITブームの停滞などで、再び双子の赤字となりました。
なお、双子の赤字という言葉は前述したレーガン大統領の打ち出した政策「レーガノミクス」によって生まれたものであり、以降も主にアメリカ情勢を語るときに用いられています。しかし、他国と無縁の経済用語だというわけではありません。
現に2000年以降だけで見てもイギリスをはじめ、債務危機となったギリシャ、新興国通貨不安に直面したときのブラジルや、インド、トルコなどがこの状態に陥っています。
また、1990年代初頭のバブル崩壊以降は財政赤字と経常黒字が併存する状態が続いていた日本でも、2014年に財務省が双子の赤字状態に陥る危険があると表明したことがありました。
双子の赤字状態に陥ると通貨の大暴落が起きうる可能性もあるため、為替取引を行っている方は通貨を保有している国の情勢には目を向けておかなければなりません。
読み方
フタゴノアカジ・ふたごのあかじ