海外FX業者の気になるスプレッド
海外FXに関する基本知識
FX取引を始めるに当たり、どの業者を選べばいいのか迷っている方もいらっしゃると思います。国内FX業者だけでも数十社あり、海外FX業者も含めるとかなりの数のFX業者の中から選ばなくてはなりません。そのFX業者を選ぶ基準の一つとなるのが、スプレッドです。スプレッドは、トレーダーにとってFX取引をする際の手数料と言えます。今回は、FX取引で必ず関わってくるスプレッドについて見ていきましょう。FX業者を選ぶ際の指標の一つとして、参考にしていただければ幸いです。
スプレッドとは?
スプレッドとは、ある通貨を買う値段(買値)と売る値段(売値)の差額のことを言います。スプレッドは日本語で「広がり、幅」を意味し、「スプレッドが広い」「スプレッドが狭い」といった言い方をします。スプレッドがトレーダーにとって重要である理由は、スプレッドはFX取引をするたびにかかるコスト=手数料と同義だからです。スプレッドが広いと取引ごとにかかるコストも高くなり、反対にスプレッドが狭ければコストは低くなります。その仕組みを次から説明していきます。
スプレッドの仕組み
例えば、あるFX業者を利用して米ドルと円で取引をする時に、
1ドルを買う場合の値段(買値)は106.050
1ドルを売る場合の値段(売値)は106.047
という表記をされている場合のスプレッドは、
106.050-106.047=0.003円=0.3銭となります。
この買値と売値の差額=スプレッドは、それぞれのFX業者によって異なり、0.2銭の業者もあれば、1銭に設定している業者もあります。一見すると、0.2銭と1銭とでは、その差額は微々たるものに思えますが、これを1万、10万、100万の各通貨単位で取引を重ねると差額がよりはっきりしてきます。仮に、100万通貨単位で取引をした場合、スプレッドが0.2銭の業者と1銭の業者とでスプレッド=手数料の差額はどれくらいになるか見てみましょう。
0.2銭×100万通貨=2,000円と1銭×100万通貨=10,000円となり、その差額は8,000円となります。取引を重ねるたびに8,000円の差額がコスト差となる訳ですから、スプレッドは狭い方がトレーダーにとっては恩恵があると言えます。また、スプレッドは通貨ペアによっても異なります。その理由として通貨ペアの市場流通量が違うこともあり、例えばスイスフラン/円のペアの流通量はドル/円のペアと比べて少ないため、スイスフラン/円のスプレッドの方が広いことが一般的です。
変動スプレッドと固定スプレッドの違い
スプレッドには、大きく分けて変動スプレッドと固定スプレッドの2種類がありますので、それぞれについて説明します。変動スプレッドは、スプレッドが常時変動する上、売値または買値のどちらかだけが変動することで、スプレッドが広くなることもあります。固定スプレッドは、スプレッドが固定されているという意味ですが、多くのFX業者では「原則固定」と表現しています。天変地異の発生や政治情勢の予期せぬ変化といったケースでは、スプレッドを変動させることがあります。
取引口座タイプで異なるスプレッド
多くの海外FX業者では、FX取引をする際にSTP口座とECN口座という2種類の口座から選ぶことになります。それぞれの口座の相違点は『FXの発注方式の違い。「ECN方式」「STP方式」ってなに?』の記事に詳しく記載していますが、ここではスプレッドの違いを見ていきます。
STP口座のスプレッド
STP口座を利用すると、他の口座と比べてスプレッドが広く感じられると思います。それは、この口座を提供するFX業者は、市場価格とトレーダーの注文価格の差額を利益としているからです。つまり、トレーダーに表示されるスプレッドは、業者の取引手数料が含まれた金額となっているため、国内FX業者のスプレッドと比較すると広く感じると思います。
ECN口座のスプレッド
提示されるスプレッドにFX業者は全く関与しておらず、インターバンク市場のスプレッドがそのまま表示されます。スプレッドは常に変動しており、場合によってはスプレッドが0になることもあります。スプレッドは。STP方式の口座と比べて狭くなっていますが、FX業者の取引手数料が別途かかるケースが多く、実質的な取引コストは「スプレッド+取引手数料」となることを考慮しなければなりません。
スプレッド+約定力で最強トレード?
FXに限らず、どんな取引であっても自分が意図したタイミングで売買ができなければ、予期せぬコストが発生し、不利益を被ってしまう可能性があります。FX取引では、売買の発注から成約までにおいて、わずか数秒ズレるだけで通貨の売値と買値が自分が意図した金額とは異なってしまいます。自分の発注が意図したタイミングできっちりと成立することは、FX業者選びにおいて極めて重要になって来ます。
約定力とは
約定(やくじょう)とは、FX取引においてFX業者がトレーダーから受けた受注を成立させることです。約定力は約定する力のことですから、トレーダーが意図したタイミングのレートで取引を成立させるFX業者の処理能力のことです。約定力は高い/低いで表現しますが、約定力が低いと意図したレートでの発注が成立せずに、不利なレートに振れたタイミングで売買してしまうことにつながりかねません。したがって約定力は、スプレッドと並んで重視すべきポイントと言えるでしょう。
約定率の高さも重要
約定力が高ければ、トレーダーは想定した通りの取引を不安なく行えます。各FX業者は自社のHPなどで、トレーダーから受注した価格で取引を成立させた割合=約定率を公表しています。例えば約定率が100%と表記しているFX業者は、トレーダーからのすべての注文を遅滞なく約定させたという意味です。約定率が低い業者は、意図しない価格でのFX取引を強いられる可能性が高くなるということですから、FX業者の約定率は高いに越したことはありません。
スプレッドの大きな変動に要注意
スプレッドは世界情勢などの影響を受けて大きく変動することがあります。英国のEU離脱問題やスイスフランショックでは、為替も影響を受けてポンド/円やスイスフラン/円が短時間のうちに乱高下しました。このように、スプレッドは時として大きく変動します。スプレッドの変動は取引結果に大きな影響を与えますので、トレーダーは常に気を配っていなければなりません。
スプレッドが狭くなる時間帯
通貨の買い手と売り手が市場に多くいる状況では、売買がスムーズに行われることが多く、この状態を「流動性が高い」と言います。一方で、買い手と売り手が市場に少ない状況では、売買が成立しづらいことも多くなり「流動性が低い」状態となります。スプレッドは市場の流動性が高いと狭くなりますが、流動性が低くなると広くなります。そのため、スプレッドは1日のうちでも時間帯によって変動します。
FXでは、24時間いつでも世界のどこかで市場が開いていますが、特に重要な市場はニューヨークとロンドンです。この二つの市場が開いている時間帯(日本時間では22時~26時)は、市場の流動性が高くなるのでスプレッドは狭くなります。反対にニューヨーク、ロンドン、東京といった主要市場が全て閉まっている時間帯(日本時間では5時~8時)は、流動性が低くなるのでスプレッドが広くなります。
重要イベント時はスプレッドが拡大
時間帯による変動以外にも、重要な経済指標の発表時や地震やテロといった世界の経済情勢に影響を与えるようなことが起きるとスプレッドが広がります。これは、通貨のレートが急激に変動し、売買が成立しづらい状況になるため一時的に流動性が低下するからです。
まとめ
スプレッドの仕組みや特徴をお分かりいただけたかと思います。スプレッドは取引におけるコストとなるため、すべてのFXトレーダーに密接に関わってきます。各業者のスプレッドを比較することは非常に大切ですが、スプレッドはあくまでもFX業者選びにおける指標の一つに過ぎません。その他にも、海外FX業者にしかないシステム「ゼロカット」や、先ほども触れた約定力といった要素もFX業者選びでは重要になります。FXplusの他の記事も参考にしながら、自分の取引方法に最適なFX業者を選択するようにしましょう。