FX市場もクリスマスと元旦は休み。いつもとは違った注意が必要
海外FX初心者のお役立ち情報
通常は24時間いつでも取引ができるFX市場ですが、クリスマスから年末年始のシーズンは欧米の多くの国がホリデーシーズンとなることから、普段の相場とは違った為替の値動きを見せることがあります。この期間に取引を考えているトレーダーは、いつも以上のリスク管理をしておかなければ思わぬ損失を被ることになりますので、年末年始の取引は注意が必要です。
FX市場が休みの期間中の特徴
FX市場に参加するトレーダーの数が少ない
日本では12月29日から翌年の1月3日までが年末年始の休暇となるのが一般的ですが、FX市場に大きく影響を与える欧米諸国では、クリスマスイブの12月24日から翌年の1月1日までがクリスマス休暇で、為替ディーラーを含む多くの企業は休みとなり活動しません。さらにクリスマス当日と1月1日はFX市場自体が休みとなるので、この期間にFX市場に参加しているトレーダーは極端に少ない状態で、取引も普段よりも低調に推移します。
FX市場の流動性が低下
FX市場に参加するトレーダーが少なくなると、市場全体の取引量も減少するので必然的にFX市場の流動性が低下します。流動性が低い状態とは、買い手・売り手ともにトレードすることを手控え、通貨の取引自体が成立しにくくなる状態のことを指します。さらにトレーダーが取引をするたびにFXブローカーから徴収されるスプレッドが広くなる傾向にあります。
このような状態では、ちょっとしたことがきっかけでFX市場が予期せぬ大きな値動きを示すことがあり、トレーダーは想定外の事態に巻き込まれてしまう可能性があるので、いつも以上のリスクヘッジ対策が求められます。
年始の休み明け初日に要注意!徹底したリスク管理を。
休み明けのフラッシュクラッシュに要注意!
年末年始の休みの期間中に限らず休み明けの流動性の低い状態のFX市場では、通常の取引時よりも値動きが大きくなる傾向が見られ、その値動きが極端に激しくなるとフラッシュクラッシュが起こります。フラッシュクラッシュとは、短時間で為替相場が一方向に大きく変動することを指し、流動性が高い状態と比べて、流動性が低い状態で発生しやすくなります。
最近発生した実例としては、2019年1月3日朝の円相場のフラッシュクラッシュです、1ドル=108円台後半で推移していた円相場が、3日午前7時半すぎにわずか1分間で約4円も急騰しました。このフラッシュクラッシュはいくつかの要因が指摘されていますが、そのうちの一つにFX市場に大口のトレーダーが不在だったことが挙げられています。1月3日は日本が正月休みの最中で、生命保険会社や輸出入企業といった為替相場に一定の影響力を持つ大口の機関投資家も休んでおり、進行する円高に対して円売りで対抗できるようなトレーダーがいなかったことも円高に拍車をかけたのではないかと言われています。
海外FXブローカーだから安心できること
2019年1月のフラッシュクラッシュに限らず、さかのぼればトルコリラの暴落やスイスフランショックなど、フラッシュクラッシュと呼べるような事例は過去にも何度か発生しています。
そんな状況でポジションを保有していれば、大きな損害を受けることになり得ます。国内FXブローカーではゼロカットシステムを採用していないため損失が拡大して口座残高がマイナスなると追証を入金しなければなりません。一方で、海外FXブローカーはそのほとんどがゼロカットシステムを採用しているため、口座残高がマイナスになったとしてもブローカーがマイナス分を補填してくれるので入金金額以上に損失が広がることはありません。
1月のフラッシュクラッシュの際も、海外FXブローカーを利用していたトレーダーは傷口が広がらずに済んだというケースが多くあったようです。
休み期間に入る前に徹底したリスク管理を
海外FXブローカーを利用し、ゼロカットシステムで守られていたとしても、予想外の損害を受けることは避けたいものです。ここでは、FX市場が休みに入る前のリスク管理について見ていきましょう。
もっとも有効なリスクヘッジの手段は、FX市場が休みに入る前に保有するポジションを全て決済することです。ポジションを決済すれば、為替相場にどれだけ急激な値動きがあったとしても、自分に損害が発生することはありません。
次に検討する手段はストップロスオーダーを設定することです。ポジションを決済すれば損失が発生することもありませんが、利益を得られることもありません。FX市場が休みの期間でも利益を狙う強気のトレーダーであれば、ストップロス注文の設定をすることで万が一損失が発生した場合でも、その被害を最小限に食い止めることができます。
いずれにしてもFX市場が休みの期間は、思わぬ値動きが普段よりも発生しやすくなるので、リスク管理はきっちりと行っておくべきです。
日本銀行によるFX市場のモニタリング
FX市場は休みでも市場を常時モニタリングしている
日本銀行(日銀)は、急激な為替レートの変動に備えて、常時FX市場をモニタリングし、必要があれば為替に介入する体制を取っています。
これは年末年始に限らず、祝日が重なり休みの期間が長くなる際にも行われており、2019年4月下旬から5月上旬までの10連休の期間もモニタリングが行われていました。大型連休前の4月19日に、日銀と金融庁、財務省の3者会合が開かれ「大型連休中も平日と同様に市場をモニタリングする」ことを表明しています。これは前述した1月3日のフラッシュクラッシュが発生したことを念頭に置いたもので、大型連休中にドル/円相場が過度に変動しないようにけん制する狙いがあったと言われています。
為替のコントロールは容易でない
ただし、日銀は為替相場を常時モニタリングしているものの、2019年1月のフラッシュクラッシュの発生を許してしまいました。
日銀はこれまでにも過度な円高が進んだ際には、円を売ってドルを買う為替介入をして相場を円安方向に導くことをしてきましたが、1月のフラッシュクラッシュはごく短時間で急激に円高に振れたこともあり、日銀は十分にその機能を果たせませんでした。これは、日銀ですら複雑な事象が絡んだ為替相場のコントロールが難しいことを示しています。
為替相場を複雑にしている要因の一つに、AI(人工知能)を取引に導入しているからだと指摘する見方もあります。AI(人工知能)は為替レートが一方向に動くと、順張りでそちらに追随する傾向があり、これが1月のフラッシュクラッシュで円高をさらに進行させた原因ではないかとも指摘されています。
まとめ
年末年始の休み期間中は、多くの時間を割いてFX取引をしたいというトレーダーもいるかと思いますが、クリスマスから年始にかけてのFX市場は普段とは異なる値動きを示すことが多いです。実際に2019年の年始にはフラッシュクラッシュも起きたことから、経験の少ないトレーダーはこの休み期間中の取引を避けたほうが無難と言えるでしょう。もし休みの期間に取引を考えているトレーダーはいつも以上にリスク管理を徹底し、損失を出さない対策を確実に取ってから取引をするようにしましょう。