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海外FX業者が共通して採用する取引プラットフォーム、MetaTrader4(MT4)/MetaTrader5(MT5)は、自動売買が簡単に行える点が強みです。自動売買プログラム(EA)は販売サイト等で入手でき、トレードの主力にしたり、裁量トレードのリスク分散にも利用できます。
この記事では、自動売買が初めての方向けに、自動売買の強みや活用方法、具体的なEAの入手方法などを紹介します。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)
この記事の目次
自動売買プログラム(EA)について理解しよう
自動売買プログラム(EA)って何?
自動売買プログラムのうち、海外FX業者が採用するMT4/MT5で稼働するものを、エキスパート・アドバイザー(Expert Advisor)と呼び、略称としてEAが使われます。自動売買プログラムとしては、MT4/MT5で稼働するEAが主流です。
裁量トレードは、トレーダー自身が注文やポジション決済の判断をしますが、EAはあらかじめ組み込まれているプログラムによって全自動でトレードを行います。そのため、EAさえMT4/MT5で稼働させておけば、24時間、市場が開いている間は休まず取引してくれるのです。このような自動売買トレードのことをシステムトレード(略称:シストレ)ともいいます。トレーダーはEAを設定し、後は正常に稼働するかどうかチェックし、成績を見守るのみです。
EAの設定は、土日など自分の都合のいい時間に行うことができ、稼働させたらリアルタイムでチャートを見る必要がないため、日中は働いているサラリーマンでも取り組み安いトレードスタイルと言えます。
EAはどこで入手する?おすすめはゴゴジャン
MT4/MT5で自動売買を行うには、自動売買プログラム(EA)を用意する必要があります。EAに使われるプログラミング言語は比較的簡単と言われており、プログラマー以外でもEAを自作する人もいますが、通常はEAの販売サイトで購入します。
「GogoJungle」(通称:ゴゴジャン)という販売サイトが現在最も知名度があります。このサイトでは、個人や法人のEA開発者が作成した数多くのEAが出品されています。サイトでは、EAの売れ筋ランキング、どんなトレード手法を利用するEAなのか、どれぐらい利益が出ているのかなどEAの情報が紹介されています。特に、EA開発者がゴゴジャンに出品した後に、ゴゴジャンがデモ口座で運用したデータを見ることができますので、購入の際の参考になります。横軸がデータ取得の期間、縦軸が収益です。順調に収益を積み上げていることが分かりますね。EAの選び方のポイントについては、第3章で解説します。
自動売買を活用するメリット
自動売買プログラム(EA)を利用している人の中には、EAを利用したトレードのみを行っている人もいますが、裁量トレードと併用して利用している人も多いです。
裁量トレーダーであっても、自動売買をポートフォリオ(リスク管理のために様々な金融商品を組み合わせて保有すること)に加えて活用すると、リスク分散などのメリットがあります。この章では、EAを利用することの代表的な4つのメリットを紹介します。
24時間相場を監視できる
昼は会社、夜はトレードというように兼業トレードをしている人も多いでしょう。FXは24時間市場が開いており、日本だと夜の時間帯(夜10:00~深夜3:00)がちょうどFX市場の取引量がピークになります。そのため、仕事終わりの夜の時間帯にスキャルピング(数秒~数分単位の取引)をしている裁量トレーダーもいますが、翌日に仕事を控えていると深夜11時ごろまでが限界です。そこで活用できるのが、EAを使った自動売買です。深夜や仕事時間など監視できない時間帯は自動売買を併用することによって、チャンスを見逃さないようにできます。
リスク分散につながる
投資ではリスク分散がとても大切です。1つのトレード手法・通貨ペアだけだと、失敗してしまった時のリスクが大きくなってしまいます。自動売買プログラム(EA)を活用すれば、普段は監視していない通貨ペアや得意でない銘柄などをEAに全自動で任せることができ、結果的にリスク分散につながるのです。
EAを利用すれば、トレードする通貨ペアを分散させることができるだけでなく、トレード手法も分散させることができます。裁量トレードと同じように、EAも、順張り型、逆張り型、スイング型、スキャルピング型などタイプが分かれています。おすすめなのは、自分の手法と異なるタイプのEAを選ぶことです。そうすれば、リスク分散につながります。
いくつかの卵をカゴに入れて持ち運ぶときに、ひとつのカゴを落としてしまうと、入っている卵が全部割れてしまう可能性が高くなります。ですが、1つずつ卵を違うカゴに入れておけば、ほかの卵は割れずに済みますね。
あくまでもたとえ話なのですが、これと同じことがFXにも当てはまります。裁量トレーダーが1つの手法・1つの通貨ペアしかしないということは、複数の卵を全て同じカゴに入れるのと同じことです。相場が予想外の動きをしてしまうと、リスクも必然的に高くなります。そのリスクを分散させる1つの方法が「裁量トレードと自動売買を組み合わせる」ということです。裁量トレードで調子が出ないときでも、自動売買では利益を出せる可能性があるので、リスク軽減になるのです。
感情や気分に左右されにくい
自動売買プログラム(EA)の利点は、決められたプログラムどおりに淡々とトレードをすることです。裁量トレードだと、どうしても感情が入ってしまう時があります。「損失が膨らんでいるけど、もう少し待てば相場が反転するのではないか・・」と思ってなかなか損切りできなかったり、損切りが続いた後に「エントリーすべきシグナルが出ているけれど、注文が怖くて出せない・・」という状況になったりなど、ルールどおりにトレードをするのは本当に難しいですね。EAであれば、感情に左右されなく、テクニカル分析に従ってポジションを持ち、利確・損切りをする取引ができます。
自動売買取引をするときに覚えておきたいこと
初期費用・維持費用が発生する
自動売買プログラム(EA)を本格的に運用するには、初期費用・維持費用が発生します。一部には無料のEAもありますが、EAは有料で販売されているものが多いため、EA本体の購入費用がかかります。
また、MT4/MT5でEAを稼働させる場合、MT4/MT5を起動させていないとEAは注文をすることができません。EAを24時間機能させようとすると、パソコン(PC)も24時間電源を入れた状態にする必要があります。ですが、PCの電源をずっと入れたままにするのは、現実的ではありませんね。パソコンを24時間稼働させてEAを使用している人もいますが、多くの人は、VPS(仮想専用サーバー)を利用しています。
VPSとは、VPS提供業者のサーバーをレンタルしてそこでMT4/MT5を24時間起動させ、自宅のパソコンからそのサーバーにアクセスしてEAの設定などの操作をします。これにより、EAを使って24時間自動売買ができるようになります。VPSを利用するために、月額数千円の費用が発生します(VPSについては後ほど詳しく解説します)。
EAを設定する必要がある(手順を図解)
「EAを設定するのは難しいのではないか?」と不安に思う人もいるでしょう。自動売買プログラム(EA)は、海外FX業者の共通の取引プラットフォームであるMT4/MT5を利用しますが、裁量トレードで使用する機能とは異なるため、別途操作を覚える必要があります。ただ、MT4/MT5の自動売買機能は、システムにあまり詳しくない一般の人が使うための機能ですから、手順通りにやれば簡単に使用することができます。以下に、スクリーンショットを使って設定の例をまとめてみました。
ここでは、ゴゴジャンなどの外部サイトで購入したEAではなく、MT4の中にサンプルとして入っているEA「MACD Sample」を使用します。
EAをMT4のフォルダに入れる
MT4のメニューから、「ファイル」→「データフォルダを開く」をクリックします。
フォルダが表示されましたら、「MQL4」フォルダ→「Experts」フォルダの順にクリックし、「Experts」フォルダ内にEAのファイルを入れます。MT4のEAファイルの拡張子は「.ex4」です。
MT5の場合は、「MQL5」フォルダ→「Experts」フォルダ→「Advisors」フォルダの順にクリックし、「Advisors」フォルダ内にEAのファイルを入れます。
EAをチャートに貼り付ける
EAのファイルをフォルダに入れた後、「ナビゲーター」画面の「エキスパートアドバイザ」の項目を右クリックします。右クリックで表示されるメニューから「更新」を押すと、「ナビゲーター」画面にEA名が表示されます。
MT5の場合は「ナビゲータ」画面です。
「ナビゲーター」画面に表示されたEA名「MACD Sample」を選択し、チャートにドラッグ&ドロップ(※)します。
移動させたいファイルの上で「マウスの左ボタン」を押したまま、マウスポインタをチャート上に移動させ(ドラッグ)、移動できたら「左ボタン」を離す(ドロップ)という操作。
自動売買を許可する
EAをチャートにドラッグ&ドロップすると、EAの設定画面が表示されますので、①「全般」タブをクリックし、②「自動売買を許可する」にチェックを入れます。
MT5の場合は、「共有」タブをクリックし、「自動トレーディングを許可する」にチェックを入れます。
パラメーターを入力する
「全般」タブの隣にある「パラメーター」タブをクリックし、ロット数などの必要な情報(パラメーター)を入力します(EAによって異なりますので、提供者からの情報を参考にしてください)。
MT5の場合は、「共有」タブの隣にある「インプット」タブをクリックし、パラメーターを入力します。
パラメーターの設定が完了しましたら、「OK」ボタンを押します。
稼働を確認する
①ツールバーの自動売買ボタンをクリックすると、自動売買機能がONになり、EAが作動します。自動売買機能がONになっているときは、マークが緑色になり、OFFになっているときは赤色になります。個別のEAが正しく作動しているかは、②チャートの右上に表示される顔のマークがニコニコマークになっているかどうかを確認します。
MT5の場合は、ニコニコマークではなく、自動売買ボタンと同じ緑色のマークが表示されます。
実際にEAを稼働状態にする前に、必ずパラメーターの設定を確認しましょう。
EAを選ぶときに確認すべきポイント
バックテスト・フォワードテストとは?
自動売買でのトレードを成功させるには、優秀な自動売買プログラム(EA)を入手しなければなりません。EAの成績は、通常「バックテスト」と「フォワードテスト」という2種類の方法で確認します。
バックテスト | 過去のデータを使ってシュミレーションを行うこと |
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フォワードテスト | デモ口座やリアル口座でEAを実際に稼働させて検証すること |
MT4/MT5は非常に優秀な取引ツールで、過去のデータを使って、そのEAを過去の一定の時期に稼働させた場合どの程度の利益が上がっていたかをシュミレーションすることが可能です。10年単位のシュミレーションなど、長期のシュミレーションが出来る点がバックテストの強みです。
また、フォワードテストとは、デモ口座やリアル口座でEAを実際に稼働させ、現在の相場でも機能するかどうかを検証することです。EAを購入後に自分で稼働させて確認することもできますし、1-2章で紹介したEA販売サイトのゴゴジャンでは、ゴゴジャンがデモ口座で運用したデータを確認することができます。バックテストよりデータの期間が短くなりますが、実際の運用データですので、フォワードテストで成績がいいEAは信頼度が高くなります。
EAの成績はバックテストとフォワードテストの2種類で確認する。
品質の良いEAを見分けるコツ
1.成績グラフが穏やかな右肩上がり
自動売買プログラム(EA)の成績を調べるときには、利益率や勝率に目が向いてしまいがちですが、その際に必ず確認したいのは成績グラフです。利益率が高くても、成績グラフが乱高下しているEAは安定した取引ができていないと判断できます。一方、穏やかな右肩上がりであれば、大きな含み損を抱える確率も低く、比較的安定した取引が期待できます。
編集部の
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大きな損失を抱えても、利益になるまで含み損のまま抱えておくタイプのEAもありますので、成績グラフを確認する際は、確定損益だけではなく、含み損が反映されたグラフで確認しましょう。
2.PF(プロフィットファクター)が高い
PF(プロフィットファクター)とは総利益額と総損失額の比を示した数値です。以下の計算式で求められます。
PF=総利益額÷総損失額
例えば、過去3年間の純利益額40万円のEAで、総利益額が100万円、総損失額が60万円とするとPFは約1.6となります。一方、同じ純利益額40万円でも、総利益額が200万円、総損失が160万円であれば、PFは1.25となり低い数字になります。
PFは、損失を抑えて効率よく利益を上げられるかどうかを示す数値ですので、一般的には、PFが高ければいいEAと考えられます。しかし、あまりPFが高いものは、大きな含み損を抱えても利益になるまで決済しないタイプのEAなど、リスクの高いEAである可能性もありますので、PF以外の要素も確認することが必要です。
編集部の
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PFが1を下回っていれば、損失が出ている状態です。PFが1を上回っていれば少なくとも利益は出ていますが、1.3を上回っているのが理想です。バックテストやフォワードテストで確認してみましょう。
3.含み損をどれくらい許容するのか(最大ドローダウン)
最大ドローダウンとは、資産が最大のときからどの程度落ち込んだかの割合を示す数値です。例えば、最大ドローダウン50%だと、資産が最大のときの半分まで損失が及んだということが分かります。最大ドローダウンがあまりにも大きすぎるEAは損切り(ストップロス)設定が大きい可能性もあります。EAのバックテストやフォワードテストを見れば、一定期間内の最大ドローダウンが分かります。その最大ドローダウンの幅が、自分が許容できる損失額なのかということも、EAを選ぶ際の参考になります。
4.ナンピン型かどうかを見る
ナンピンは漢字で書くと、「難平」と表記します。ナンピンとは、保有しているポジションと相場が反対方向に進んでいったときに、更に同じ方向にポジションを積み立てて、平均売買値を有利にする方法です。相場が反転すれば、リターンも大きくなりますが、そのまま反対方向に進んでしまうとハイリスクとなります。EAでナンピン機能がある場合は特に注意が必要です。レンジ相場では利益が期待できますが、相場が一方方向に大きく動いてしまうと大きな損失となることがあります。このようなEAの場合、ナンピン型特有の大きなリスクを受け入れられるかを考える必要があります。
収益性やリスクなど確認して自分に合ったEAを選ぶことが重要。
対応しているのはMT4かMT5か
自動売買をする主な取引プラットフォームは、ほとんどの海外FX業者が採用しているMT4/MT5です。どちらも開発したのはロシアのメタクォーツ社(Meta Quotes)ですが、MT4は「MQL4」、MT5は「MQL5」と別々のプログラム言語のため、同じEAを双方で利用することができない仕様になっています。そのため、購入するEAがどちらのプラットフォームに対応しているのかを調べる必要があります。
MT5はMT4の次世代版ですが、EAに関して言えば、MT5への移行は進んでおらず、MT4用のEAの方が現在でも主流です。どちらの取引プラットフォームのEAかは購入前に確認しましょう。
VPSについて理解しよう
自動売買に必要なVPSとは?
VPSとは、Virtual Private Server(バーチャル・プライベート・サーバー)の略で、「仮想専用サーバー」のことです。自動売買では、24時間システムを稼働させる必要があるため、自宅のパソコンではなく、業者が提供するサーバーをレンタルしてそこでMT4を稼働させる方法が主流です。
VPSを利用することで、24時間いつでもEAを使った自動取引ができチャンスを逃すことがありません。VPSはトレーダーがVPSサービスを個別で契約することもできますが、当サイトで紹介している海外FX業者、XM Trading(エックスエム)、Traders Trust(トレーダーズ トラスト)、FXDD(エフエックスDD)では、条件を満たせば無料でVPSが利用できます。大手海外FX業者が提供しているVPSサーバーは安定しているため、トレーダーから高い支持を得ています。
海外FX業者が提供する無料VPS
次の表では、海外FX業者を通してVPS契約をした場合の基本の使用料と、無料で利用できる条件についてまとめました。
海外FX業者が提供する無料VPS
月額数千円が無料になるのは嬉しいサービスですね。スプレッドやボーナスなどその他の条件が希望に合えば、無料VPSを提供している業者を優先的に選ぶといいでしょう。
さあ、自動売買をやってみよう
ここまで、裁量トレーダーでもEAを併用するメリットやEAの選び方などを紹介してきました。自動売買に適したプラットフォームであるMT4/MT5を採用している国内FX業者が少ないため、自動売買なら海外FX業者を利用するのがおすすめです。EAの使用を制限している業者もありますが、当サイトで紹介している海外FX業者は全て、制限なくEAが利用可能です。最新の海外FX業者人気ランキングを参考にしながら、スプレッドやボーナスなど他の条件を比べて、自分に合った業者を探してみましょう。
編集部の
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販売されているEAは、1~3万円程度のものが多いです。裁量トレードよりも経費がかかりますので、EA運用で利益が出たら稼働させるEAを追加するなど、経費との兼ね合いを考える必要があります。