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海外FXの取引ツールといえばMT4ですが、MT5の使い心地は実際どうなのか気になるトレーダーも多いと思います。結論から言うと、MT5は性能が向上しており、裁量トレーダーにぜひ使ってほしい取引ツールです。ただ、カスタムインジケータや自動売買システム(EA)の数が少ないのがデメリットで、このためMT4が主流になっています。
この記事では、MT4とMT5を実際に利用してみた体験談を元に、メリット・デメリットを紹介していきます。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)
MT4とMT5を項目別に徹底比較!
MetaTrader4(MT4)は、海外FX業者のほとんどが採用している取引ツールです。MetaTrader5(MT5)はその次世代版で、基本的な性能はMT5の方が優れていますが、対応するカスタムインジケータや自動売買システム(EA)の数が少ないことが理由で、まだMT5の普及は進んでいません。
MT4とMT5はどこがどう違うのか、項目別に徹底比較します!
MT4とMT5の違いを一覧で比較
MT4とMT5の違いを比較表にまとめてみました。
MT4とMT5の違い
項目 | MT4 | MT5 |
---|---|---|
動作スピード | 遅い | 早い |
時間足 | 9種類 | 21種類 |
気配値ウィンドウ | 機能が 少ない |
機能が 多い |
モバイルアプリ | 機能が 少ない |
機能が 多い |
板情報 | なし | あり |
標準搭載のインジケータ | 30種類 | 38種類 |
カスタムインジケータ・EAの数 | 豊富 | 少ない |
対応海外FX業者 | ほぼ対応 | 一部のみ |
スペックだけで見ると、MT5の圧勝です。裁量トレーダーで特別なインジケータを使わない人は、MT5を使うことを検討する価値はあると思います。では、項目別に検証していきましょう。
MT5は動きがサクサク
MT4とMT5の違いをとりわけ感じるのが「動作の速さ」です。MT5はとにかく動作が早い!というのが大きな特長だと思います。PC版もアプリ版でも動作が非常に軽く、MT4で感じるモサッとした感じは消えています。
特にたくさんの通貨ペアを監視するトレーダーは処理能力の高いMT5の方が適しています。私は、15通貨ペア以上のチャート画面を表示させているのですが、最新のOSであってもMT4では画面が固まってしまうことがあります。
今MT4を使っていて動作の遅さやフリーズが気になる方は、MT5への移行を検討してはいかがでしょうか。
これはMT5の全体画面です。「気配値表示」「ナビゲータ」「チャート」「ツールボックス(MT4の「ターミナル」に相当)」が配置されていて、デザインはそこまで大きく変更されていません。MT4からMT5に移行しても、使い方を直感的に理解しやすいはずです。
MT5は時間足が豊富
MT5はMT4と比較して12種類の分足・時間足が追加されています。チャート分析をするときに重宝する機能です。トレンド分析をするとき、エントリーをするときの確認として利用できます。
MT4の時間足と比較して、MT5で追加された時間足は何かまとめました。赤字にしているのが追加された時間足です。
MT5の時間足
分足 | 時間足 | その他 |
---|---|---|
1分 | 1時間 | 日足 |
2分 | 2時間 | 週足 |
3分 | 3時間 | 月足 |
4分 | 4時間 | - |
5分 | 6時間 | - |
6分 | 8時間 | - |
10分 | 12時間 | - |
12分 | - | - |
15分 | - | - |
20分 | - | - |
30分 | - | - |
MT5の方が、より細かい分析を行うのに便利です。
MT5は気配値ウィンドウが見やすい
MT5では、気配値ウィンドウで確認できる情報が増え、より便利になっています。MT4では「通貨ペアリスト」と「ティックチャート」だけだったのに対し、MT5では「プライスボード」と「詳細」が追加されています。
プライスボード画面では、登録してある銘柄のプライスボードが一画面で表示できます。複数の通貨ペアのレートが一目で確認でき、プライスボード画面から発注も行うことができます。
MT5はアプリのチャートを分割できる
MT5ではアプリも進化していて、Android版では2つのチャートを同時に表示させることができます。
iOS版ではできません。
この画面では、上にドル/円のチャート、下に日経平均株価のチャートを表示させています。
MT4のアプリでは一度に1画面しか表示できなかったため、「日経平均株価のチャートを見ながらドル/円をトレードする」や、「ユーロ/ドルとポンド/ドルのチャートを同時に監視してチャンスを狙う」といった複数のチャートを使うトレードがしにくい状態でした。
MT5ではその点が若干改善され、使いやすくなっています。
チャートの表示方法はこちらでご確認ください。
カスタムインジケータ・EAはMT4が有利
MT5はMT4の次世代版ですが、MT4を利用している人もまだ多いことを疑問に感じる人も多いと思います。
基本的な機能はMT5の方が優れていますし、MT4/MT5の開発元であるメタクオーツ社は、MT5のアップデートを頻繁に行っており、早くMT5へ移行させたいと考えているようです。
それでもMT5への移行が進んでいない理由は、対応するカスタムインジケータや自動売買システム(EA)が少ないことです。
専用のプログラミング言語(MQL4・MQL5)言語を使って作られたオリジナルのインジケータ。ファイルをMT4/MT5に入れることで表示させることができる。
標準搭載されているインジケータの数はMT5の方が多い(MT4は30種類、MT5は38種類)ですが、カスタムインジケータの数はMT4と比較して非常に少ないです。
カスタムインジケータや自動売買システム(EA)を販売しているサイトで検索すると、MT5のインジケータはわずか5件という結果に・・・。MT5ユーザーが少なく、需要がないからか、まだまだ成長段階のようです。
しかし、メタクオーツ社が運営するMT4/MT5のコミュニティーサイト、MQL5では、世界中のプログラマーが作成したインジケータや自動売買システム(EA)がMT5用にも提供されています。
こちらもMT4用の方が数は多いですが、MT5用も徐々に増えている印象です。次世代版のMT5の方が基本的な性能は高いため、日本でも今後MT5への移行が進むかもしれません。
MT5の板情報は実際使える?【上級編】
MT5の追加機能として、「板情報」があります。板情報というのは、現在価格の上下の価格にどれくらいの注文が入っているかを示すもので、「この価格で買いたい人が多い」「この価格で売りたい人が多い」という情報が価格の先読みに活かせます。
板情報は、FXトレーダーで利用しているという人はあまり多くありませんが、株取引ではよく利用されています。
上記の図はFXDDの板情報です。数量(10万通貨単位)が記載されていて、それぞれの価格にどの程度の注文が入っているかを確かめられます。
この板情報を見ると、例えば現在価格よりも下に買い注文が厚く入っている場合、価格が下落しても買い注文が多いので下がりにくいという判断をすることができます。
板情報はめまぐるしい速さで変化するので、スキャルピングトレーダー向きですが、おもしろい機能なので気になる方は板情報に対応した海外FX業者で体験してみるといいでしょう。デモ口座でも利用できます。
板情報に対応している海外FX業者はほとんどないですが、FXDDは対応しています。
板情報対応FX業者
MT5で板情報が見られるFXDD以外にも、Tradeviewでも、cTraderというプラットフォームを利用すれば板情報を閲覧できます。cTraderはスキャルピングを行うトレーダーに人気のプラットフォームです。
結局、どっち?トレードスタイル別の使い方
裁量トレーダーはMT5がおすすめ
カスタムインジケータを利用せずにチャート分析をするトレーダーには、MT5がおすすめです。
MT5への移行が進んでいない理由は、MT5用のカスタムインジケータや自動売買システム(EA)の種類が少ないことなので、カスタムインジケータを利用しないのであれば、MT5を選ぶデメリットはほとんどありません。
動作スピードや時間足の豊富さ、気配値ウィンドウなど、MT5の方が基本的な性能は優れています。
強いて言うなら、現状は圧倒的にMT4の利用者が多いため、操作で困ったときに情報が少ない点はデメリットと言えるかもしれません。
カスタムインジケータを使いたいならMT4
MT4/MT5の最も惜しい点なのですが、MT4用に作られたカスタムインジケータはMT5では利用できません。利用したいカスタムインジケータがあるトレーダーは、MT5への移行はしづらいでしょう。
私もトレードにはカスタムインジケータを活用しています。MT4に標準搭載されている、高値と安値をラインでつなぐZigZag(ジグザグ)インジケータを改良したものと、「GMMA(複合型移動平均線)」「ADR(平均日次範囲)」などを使用しています。
少し紹介すると、GMMAは、長期6本・短期6本の移動平均線を束ねたもので、相場の流れをビジュアルで判断できます。ADRは、過去14日間の相場の動きから当日の価格の幅を予想するためのインジケータで、上記の図で%表示されている部分です。現在の相場の状況をすぐに確認でき、節目の価格もピンポイントで理解できます。
私もMT5の方がより性能が高いという認識ですが、これらのインジケータを利用した手法でトレードをしているため、MT5で同じものが利用できなければなかなかMT5に移行できません。
カスタムインジケータやEAは、専用のプログラミング言語が書ける人であれば作成できるため、MT5へ移行するためにMT4で利用しているカスタムインジケータの作成を依頼するトレーダーもいます。
操作方法はほとんど変わりませんので、MT4で操作に慣れていればスムーズにMT5へ移行できるでしょう。
自動売買トレーダーは現状MT4
インターネット上で入手できる自動売買システム(EA)の数は、MT4の方が断然多いという現状です。国内の開発者でMT5のEAを作ろうとする人はほとんどいないので、MT4が使えなくなる事態にならない限り、流れは変わらないのではないかと個人的には思っています。
ただ、自分でプログラム言語を学んで自動売買プログラムを作成したいという人は、最初からMQL5(MT5のプログラム言語)を勉強してみるのが良いかもしれません。
MT5では、MT4よりもバックテストスピードが上がり、バックテストで確認することができる項目も増えています。
例えば、EAがトレードする頻度や損益を時間帯ごとに集計し、グラフで表示する機能もあります。これにより、勝ちやすい時間帯があるかどうかを確認することができます。
実行スピードも速く、開発会社であるメタクオーツ社によると、MT5用のプログラム言語(MQL5)で作成されたプログラムの実行スピードは、MT4用のプログラムの最大20倍だそうです。
メタクオーツ社がMT5の普及に力を入れていることから、これからMT5が主流になっていく可能性はありますので、MQL5が理解できると他のトレーダーよりも優位に立てるかもしれません。
MT5が利用できる海外FX業者はどこ?
以前はMT5を提供している海外FX業者は少なかったですが、最近はどんどん増えています。当サイトでおすすめしている海外FX業者でも、Traders Trust(トレーダーズ トラスト)以外はMT5を採用しています。
ここでは、MT5を提供しているおすすめ海外FX業者の特徴を簡単に紹介します。
XMTrading(エックス エム)
XMは日本人トレーダーの中でも人気の高い海外FX業者の1つです。取引環境はもちろん、カスタマーサポートが24時間対応であること、豊富なボーナスやスイスフランショック時にゼロカットを実施した実績があることから幅広い層に人気の高い海外FX業者です。
XMPといったポイントプログラムがある事もXMの特徴で、ユーザーは貯まったポイントを現金やクレジットにする事が可能です。XMはグループの規模の大きさに加え、信託保全も完備している事から、日本に展開する海外FX業者の中でも抜群の安心感を誇る業者です。
Titan FX(タイタン FX)
Titan FXは、取引環境重視のトレーダーに人気のある海外FX業者です。約定力はもちろん、スプレッドや取引手数料の安さに定評があり、スキャルピングトレードをするトレーダーにぜひ利用してほしい海外FX業者です。
Titan FXはBlade口座が特に人気があり、スキャルピングに適した低スプレッド口座として高い知名度を誇ります。また、Titan FXでは仮想通貨CFDの取扱いも開始し、通貨ペアや貴金属と同様に低スプレッドでの取引が可能です。
Tradeview(トレードビュー)
Tradeviewは、取引コストを追及するトレーダーに人気の海外FX業者です。取引コストを抑えることは、そのままトレーダーの利益に直結します。口座タイプでおすすめなのは、「ILC/ECN口座」です。
Tradeviewは数少ないcTraderを提供している海外FX業者である事も大きなポイントです。しかし、他社と比較すると日本語サポートに不十分な点があるので、海外FXに慣れた中級者以上におすすめです。
FXDD(エフエックス DD)
FXDDはかつて日本で大きなシェアを獲得したFX業者でした。現在は人気のいまいちな業者ですが、FXDDのプレミアム口座はスプレッドが狭く、海外FX業者の中でもローコストで運用出来る口座のひとつです。
スワップポイントもFXDDの強みのひとつで、全体的にマイナススワップが少なく良心的な数値となっています。長期保有が多いスイングトレーダーには一考の価値のある海外FX業者です。
Exness(エクスネス)
海外FX業者の中でも最も高いレバレッジを提供しているのがExnessです。レバレッジだけではなくスプレッドも狭く、さらにスワップフリーで長期保有出来るペアもあることから、運用コストに優れた海外FX業者です。
世界最大の会計事務所であり、四大監査法人のひとつであるDTTを監査に迎え、そのクリーンな経営体制は数ある海外FX業者の中でもトップクラスと言えます。Exnessはハイレバレッジを好むトレーダーに特におすすめです。
Exclusive Markets(エクスクルーシブ マーケット)
ExclusiveMarketsは2020年12月より日本向けに展開を開始した海外FX業者です。グループ全体では、厳格な事で知られるキプロス証券取引委員会(CySEC)のライセンスを保有していることから、新興ブローカーながらも一定の信頼の置ける業者と言えます。
スプレッド、約定スピード共に平均以上の優良環境を提供しており、バランスの取れた扱いやすいブローカーです。ExclusiveMarketsのソーシャルトレードは海外FX業者の中でも最も手軽に始められることから、ソーシャルトレードに挑戦してみたい方にもおすすめです。
FBS(エフビーエス)
FBSの特徴は、開設ボーナス・入金ボーナス・キャッシュバックと揃った豊富なボーナスと3,000倍のハイレバレッジです。腕に自信のあるトレーダーならば、ハイレバレッジと入金ボーナスを活かして短期間で大きな利益を挙げることが可能です。
FBSではソーシャルトレードも提供しています。配信者となりプラスαの利益を得ながら運用することも可能です。口座の種類も豊富で、数少ないマイクロ口座を提供している業者でもあります。少額からの運用には最適な海外FX業者です。
LAND-FX(ランドエフエックス)
LAND-FXは平均0.035秒という業界最速クラスの約定スピードが特徴です。自社でリクイディティプロバイダ業務を行っていることや、グループで厳格なFCAライセンスを保有していることもあり、信頼度は高い業者と言えます。
また、LAND-FXはスワップポイントが良心的で、大手であるXMと各種ペアのマイナススワップを比較すると、ほとんどのペアでおよそ4~5分の1という数値になっています。ポジションを数日間保有する事の多いトレーダーには嬉しい海外FX業者です。
HotForex(ホットフォレックス)
HotForexは日本以外にも多数の顧客を抱え、世界的に人気のある海外FX業者です。また、フランスの名門サッカーチームであるパリ・サンジェルマンF.C.の2020-21シーズン公式パートナーにも就任しており、信頼性の高いブローカーであることが分かります。
HotForexでは規定ロットを満たす事で出金可能になる入金ボーナスや、1ロットあたり2ドルが還付されるキャッシュバックプログラムも提供していて、ユーザーを飽きさせないサービスが多い事もHotForexの特徴です。
FxPro(エフエックスプロ)
FxProは日本での知名度はそこまで高くないものの、世界的に展開している大手海外FX業者です。日本に展開する業者では珍しく、取扱銘柄が400種類以上と豊富な事もFxProの特徴です。
FxProは、取引の透明性は高くcTraderも使える事から、一部のコアなユーザーに人気のあるブローカーです。Tradeviewのように取引環境を重視するトレーダーにおすすめの海外FX業者です。
今後はMT5が有利になっていく
ここまでMT4とMT5の性能や機能の違いを解説してきました。インターネット上で入手できるインジケータや自動売買システム(EA)の数はMT4の方が多いというのが現状です。
ですが、機能や性能などを総合的に考慮すると、MT5の方が使いやすくなっていると感じます。
メタクオーツ社もMT5へ今後移行していくという方針でいるのは確実ですので、流れとしてMT5が有利になっていくでしょう。カスタムインジケータや自動売買システム(EA)の関係でどうしてもMT4を使う必要がある人以外は、MT5への移行を検討してみることをおすすめします。
筆者もカスタムインジケータを利用しているのですが、MQL5を勉強してMT5で使えるインジケータに変更し、MT5へ移行したいと考えています。