トレード手法関連
プライスアクション(Price Action)とは、日本語に訳すと「チャート上での価格の変化」という意味です。価格(プライス)の動き(アクション)そのものを分析してトレードする手法で、とりわけ、欧米のトレーダーに古くから愛用されています。
多くのトレーダーが利用している移動平均線やボリンジャーバンドなどのインジケータは、価格を特定の計算式に当てはめてチャート上に表示します。一方、プライスアクションでは「価格」がチャート分析の主役です。プロトレーダーの中には、インジケータを一切使わずに「価格」の値動きだけで相場の状況を判断する人もいます。
プライスアクションに補助的なインジケータを組み合わせれば、まさに「鬼に金棒」です。
そのため、プライスアクションをトレードに活用できれば、他のどのインジケータよりも早く相場の状況を理解することが可能です。この記事では、プライスアクションの基本と実践トレードにどのように活用するのか、その方法について具体的に解説していきます。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)
プライスアクションって何?
価格の動きに注目するプライスアクション
プライスアクションは、通常「ローソク足」を利用します。実は、ローソク足1本でも、過去に価格がどんな動きをしたのか理解できます。
相場はプライス(価格)の動きで成立しており、トレーダーはプライス(価格)の動き(アクション)で利益を得ようとします。ローソク足の形を分析するときに「トレーダーの気持ち」を考えると、イメージしやすいと思います。
ローソク足の形状で相場が転換しそうなのか、それともトレンド方向に勢いづいているのかを判断できると、おのずとエントリーするタイミングや方向も決まってきます。重要な節目となる動きをするときのローソク足の特性を理解できれば、その後どうなるのかというのも予想しやすくなりますね。これが「プライスアクション」というトレード手法です。
プライスアクションは、他のインジケータやチャートパターンなどと併用すれば、もっと有効にトレードに活用できます。私のおすすめは、インジケータはGMMA(複合型移動平均線)、チャートパターンであれば高値圏で現れる下降トライアングルです。
第三章で下降トライアングルとプライスアクションを利用した実践トレード手法を解説しています。
ローソク足の見方を覚えよう
ローソク足は、4つの要素で成り立っています。「始値」「終値」「高値」「安値」です。
さらに、ローソク足は「ヒゲ」と「実体」部分に分かれています。「実体」というのは、「始値」と「終値」の差のことで、終値の方が高ければ買いの勢いが強かった、終値の方が低ければ売りの勢いが強かったと判断することができます。
価格は、ローソク足の「始値」からスタートし、「高値」「安値」を経由して「終値」に到達しますので、この4つの要素が分かれば、おおよその値動きも知ることができますね。
高値更新や安値更新は、プライスアクションと深い関係があります。実体部分で直近高値/安値更新したのか、ヒゲで高値/安値更新したけれど、実体部分は更新できなかったのかで意味が全く変わってくるからです。
高値/安値更新のパターン
実体部分で直近高値/安値更新 | トレンドが発生し、そのまま継続する可能性がある。 |
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ヒゲで直近高値/安値更新 | 反対方向への反発が強く、トレンドは発生していない。 そのため、相場の流れが転換する可能性もある。 |
実は、日本は昔から相場先進国なのです。
例えば、プライスアクションでも利用するローソク足。このローソク足が考案されたのは、江戸時代の日本です。江戸時代の「米相場」で有名な相場師、本間宗久が考案しました。
欧米諸国では、ローソク足が広まる前は「バーチャート」が利用されていました。もともと、日本は「チャートの形」に注目する相場師が多かったのですが、欧米諸国のトレーダーはプライスアクションを好んで相場分析をしていました。
現在、世界中のトレーダーが最も基本的なチャート形式として利用しているのが「ローソク足」です。実体・ヒゲが分かるローソク足の方がプライスアクションと相性が良いのかもしれません。
プライスアクションはどの時間足でトレードする?
プライスアクションの基本時間足は、「日足」です。ただし、ローソク足が確定してからエントリーや決済を始めることから、レバレッジを効かせたFXの場合、日足だと変動幅が大きく、リスクもそれだけ大きくなってしまいます。
スキャルピングやスイングなど、トレードスタイルによってもメインで使う時間足は異なりますが、私の場合は1時間足を利用しています。リスクも抑えられ、デイトレードに最適だからです。
プライスアクションは価格を基に判断しているので、どの時間足でも問題なく利用できます。リスク許容度に合わせて、いろいろな時間足で試してみましょう。
「タートルズ」という有名な投資集団をご存じでしょうか。彼らは「高値」「安値」を更新したらエントリーというシンプルな手法を使っていました。いわゆるトレンドフォローですね。もちろん、手法だけでなく資金管理の方法にも秘密があったようです。
プライスアクションも高値更新や安値更新、終値を重視しています。タートルズもプライスアクションも「価格の値動き」に注目しているという点では、共通している考え方を持っているようですね。
代表的なプライスアクションの形と意味を理解しよう
ここでは、代表的なプライスアクションを示すローソク足の形と意味について解説していきます。
継続のプライスアクション
スラストアップ/スラストダウン
スラストアップは、直前のローソク足の高値よりも高い価格で終値が確定することです。スラストダウンはその反対ですね。
スラストアップ/スラストダウンでは、陽線/陰線が連続して現れることになります。実体部分が長く、ヒゲが短いほど相場に勢いがあることが分かります。これだけではエントリーしにくいのですが、高値/安値を更新した後にスラストアップ/ストラスダウンが出現すると、それだけトレンドが強いという証拠です。
ランウェイアップ/ランウェイダウン
ランウェイアップは、継続的に値段が上昇していくトレンドの途中で見られるプライスアクションです。大きく伸びたローソク足によって、次ステップの価格帯にトレンドが進んでいることを意味します。
母線(基準となるローソク足)の高値が過去5本よりも高く、母線の安値を続く5本のローソク足が下回らない状態です。
ランウェイダウンはランウェイアップと反対で、継続的に値段が下落していくような場面で見られることが多いプライスアクションです。
転換のプライスアクション
ピンバー(十字線)
ピンバーは、ヒゲが長く、実体部分がほとんどないローソク足です。強い抵抗帯/支持帯がある価格帯でピンバーが発生すると、反発する可能性が高いと読み取ることができます。
例えば、ピボットラインの付近でピンバーが出現したり直近高値/安値付近でピンバーが出現したりしたときは要注意です。
一方、大きな節目でもなくトレンドの途中で現れた場合は、一時的な停滞を示している可能性もあります。
リバーサルハイ/リバーサルロー
リバーサルハイ/リバーサルローは、私がとりわけ注目しているプライスアクションです。
ローソク足が次の2つの条件を満たした場合にリバーサルハイと見なされます。
- 直前のローソク足の高値を更新する
- 終値が直前のローソク足の終値を下回る
直近高値を更新したものの、陰線でローソク足が確定した状態になりますので、リバーサルハイが出現したらトレンドが転換する可能性を考慮に入れます。
リバーサルローの場合は、逆に直近安値を更新したものの、終値が直前のローソク足の終値を上回って陽線でローソク足が確定した状態になります。
第3章では、リバーサルハイを活用し、トレード精度を向上させた実践トレード手法を解説します。
停滞を示すプライスアクション
インサイド
インサイドは、一時的な停滞を示すプライスアクションで、基準となるローソク足(母線)の高値と安値の間に、続くローソク足が収まる形です。母線の高値/安値をブレイクしたらエントリーするというように利用できます。
母線の高値/安値の間に収まっているローソク足の数が多いほど、トレンドのエネルギーが蓄えられており、強いトレンドが発生しやすいと言われています。
アウトサイド
母線(基準となるローソク足)が直前のローソク足の高値/安値を覆うプライスアクションです。母線の高値/安値の間に収まっているローソク足の数が多いほど、トレンドのエネルギーが蓄えられており、強いトレンドが発生しやすいと言われています。
MetaTrader4(MT4)/MetaTrader5(MT5)のデフォルトのチャートは黄緑色ですが、これでは陽線か陰線かの判定がしづらいため、プライスアクションでトレードする際には、ローソク足の色を赤と青などに変更しておくのがおすすめです。
プライスアクションを利用した実践トレード手法
ローソク足の「ヒゲ」の長さに注目する実践トレード手法
プライスアクションは、「ヒゲ」の長さに注目することがポイントです。
例えば、上昇トレンドの陽線で考えてみます。
陽線のローソク足の見方
ローソク足 | ヒゲの状況 | ローソク足の読み解き |
---|---|---|
陽線① | 上ヒゲが短く、下ヒゲが長い |
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陽線② | 上ヒゲと下ヒゲ、両方とも短い |
|
陽線③ | 上ヒゲが長く、下ヒゲが短い |
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一方、上昇トレンドの陰線を考えると、以下のようになります。
陰線のローソク足の見方
ローソク足 | ヒゲの状況 | ローソク足の読み解き |
---|---|---|
陰線① | 上ヒゲが短く、下ヒゲが長い | 価格が下がったとたん、買い注文が多くなったが、売り圧力が徐々に強まりつつある。 |
陰線② | 上ヒゲと下ヒゲ、両方とも短い | 買いと売りのバランスがとれていたが、やや売りに傾いた状態。次のローソク足に注目する。 |
陰線③ | 上ヒゲが長く、下ヒゲが短い |
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とりわけ、私が毎回注目しているのが「上昇トレンドの最中もしくは後に、高値付近で陰線となりかつ長いヒゲを付けているローソク足」です。私が注目しているリバーサルハイというローソク足の形状です。
リバーサルハイが出現し、高値が徐々に切り下がるトライアングルの形はとても分かりやすく、プライスアクションを利用したトレードとしても精度が高いと思います。
高値圏でリバーサルハイと下降トライアングルが出現したら、トレンド転換の可能性を考慮に入れましょう。通常、トライアングルは継続パターンですが、天井圏(高値圏)で発生することも珍しくなく、勢いをつけて下落することが多いように感じています。
買い支えられている下降トライアングルの安値を「ローソク足が実体でブレイク」したら、エントリーします。ストップはリスク許容度によって異なりますが、ブレイクする直前のローソク足高値に設定すると良いと思います。
上記の図は日足チャートですが、1時間足でも1分足など短い時間足でも機能します。
ヒゲの長さ、実体の長さからでも、いろいろなチャートの読み解き方があるのは面白いですね。
プライスアクションだけで決めない
実際、プライスアクションだけですべてを判断するのは難しいと思います。プライスアクションとチャートパターンを総合的に分析すると、プライスアクションの精度が向上します。
例えば、前章で紹介したようにリバーサルハイと下降トライアングル、ピンバーとヘッドアンドショルダーなどローソク足とチャートパターンが一致しているかを確認するのがおすすめです。
GMMAや移動平均線などトレンドを見分けられるインジケータを利用するという方法もあります。
プライスアクションはどのチャートでも応用できる
ここまで、プライスアクションとローソク足の見方について解説してきました。相場の基本は「価格(プライス)の動き」です。プライスアクションを理解すれば、FX通貨ペアでもCFD銘柄でも応用できます。
プライスアクションは、相場の本質である「プライス(価格)」に注目したチャート分析方法なので、相場の状況を最も早く反映します。ローソク足1本1本は、トレーダーが売買した結果の記録です。
価格の変動に勢いをつける値動きや転換点となるローソク足にはいくつかのパターンがあります。最初は見分けがつかないということもありますから、少しずつ練習しながらローソク足のプライスアクションに慣れいきましょう。
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編集部の
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プライスアクションはインジケータを使わず、価格の動き(ローソク足)を分析するシンプルな方法です。プライスアクションができるようになると、市場の重要な節目の動きが理解でき、その後のトレンドがどうなるのかをある程度予測することが可能です。さらに、価格は他のどんなインジケータよりも早く相場に反応するので、その分トレード判断も早くできるようになります。