トレード手法関連
ボリンジャーバンドは、多くのFXトレーダーが活用している人気インジケータです。海外FX業者が提供している取引ツールのMT4/MT5でも、「Bollinger Bands」として標準搭載されており、簡単に表示させることができます。
この記事で紹介するのは「ボリンジャーバンドを活用した実践順張りトレード手法」です。
ボリンジャーバンドを売られ過ぎ・買われ過ぎを判断するインジケータとして活用しているトレーダーが多いと思います。しかし、ボリンジャーバンドを考案したジョン・ボリンジャー氏は別の使い方を意図していたようです。
ジョン・ボリンジャー氏は、「価格がボリンジャーバンドの外側に位置しているときに、反発を期待したトレード(逆張り)ではなく、トレンドが継続することを期待してトレードする(順張り)ことを推奨する。」と著書や講演会、ホームページで明言しています。
つまり、ボリンジャーバンドの本当の活用方法は、「トレンドフォロー(順張り)」なのです。私も、FXを学び始めた頃はボリンジャーバンドを逆張りとして活用していたので、トレンドフォローで活用すると聞いて驚きました。
本当にボリンジャーバンドを活用した順張りトレードはできるのか、気になりますね。この記事では、ボリンジャーバンドを活用した順張りトレードの具体的な手法と注意点について、まとめたいと思います。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)
この記事の目次
ボリンジャーバンドの見方を覚えよう
ボリンジャーバンドの基本的な見方
ボリンジャーバンドとは、統計学で「データのバラツキ」を示す標準偏差を利用したインジケータです。3本の線が表示されていますが、真ん中の線が移動平均線で「ミドルバンド」と呼びます。上下の線は、標準偏差から価格の変動幅を算出したもので、上を「アッパーバンド」、下を「ロワーバンド」と呼びます。
上下のバンドは、価格データの〇%がこのバンド内に収まるという予測を示しています。〇%の部分は、インジケータの「偏差(σ)」設定によって変更することができ、1σ、2σ、3σがよく使われます。
偏差と価格データの関係
偏差 | 価格データ |
---|---|
3σ | 約99.7%がバンド内に収まる |
2σ | 約95%がバンド内に収まる |
1σ | 約68%がバンド内に収まる |
例えば、「3σ」であれば、価格データの約99.7%がバンド内に収まると予測されるため、レートがバンドの外側に位置しているのは稀なケースと判断することができます。
ボリンジャーバンドと価格の位置から分かること
- 価格データの約30%は1σより外側に位置する
- 価格データの約5%のみが2σより外側に位置する
- 99.7%が3σ内に収まるので、3σを超えたら反発の可能性が高い
「3.ボリンジャーバンドの順張りトレード手法【実践編】」で解説する手法は、上記のようなボリンジャーバンドの性質を活用します。バンドと価格の位置から、相場がどんな状態なのかをビジュアルですぐに確認できるインジケータです。
ボリンジャーバンドで何が分かる?
ボリンジャーバンドは、バンドの内側にあるか外側にあるかが注目されることが多いですが、ボラティリティやトレンドの有無などその他の判断の参考にすることもできます。
ボリンジャーバンドを見て判断できること
- 相場のボラティリティ
- トレンドの有無
- 標準偏差(現在の価格が標準からどのくらい離れているかを示す数値)
相場のボラティリティ
ボリンジャーバンドの1つ目の特長は、「ボラティリティをビジュアルで判断できること」です。ボリンジャーバンドの「バンド幅の拡がり」でボラティリティのある相場か流動性のない相場なのかを理解できます。
バンド幅が広い | ボラティリティが高い |
バンド幅が狭い | ボラティリティが低い |
後の章でも解説しますが、バンド幅が狭くなっているときは「トレンドのエネルギーを貯めている期間」と考え、バンド幅の狭い期間が長いほど、勢いよくトレンドが発生しやすくなるという傾向があります。
トレンドの有無
ボリンジャーバンドの傾きによって、トレンドの有無を判断できます。例えば、トレンドに方向性がないレンジ相場のとき、ボリンジャーバンドは平行線となります。
上記の画像では、3本のバンドが表示されていますが、傾きもなく平行です。トレンドがないレンジ相場ですので、ボリンジャーバンドにタッチしたら反発するという動きになります。
標準偏差
標準偏差とは、「データのバラツキ」を示すもので、数値が大きくなればなるほど、その標準偏差のバンド内に価格データが収まる確率は高くなります。
終値が2σよりも外側で迎えるローソク足の確率は5%(ローソク足20本に1回の確率)であり、強いブレイクアウトつまりトレンドが発生したと考えることができます。
このような考え方を基に「ボリンジャーバンドを順張りで活用」できるのです。
エンベロープは、単純に移動平均線からの乖離(かいり)を示したインジケータです。移動平均線からある程度離れると、回帰するという考え方に基づいて逆張りトレードで活用されています。
一方、ボリンジャーバンドも移動平均線からの乖離を示したインジケータなのですが、標準偏差の考え方が加わります。ボリンジャーバンドはレンジ相場だとバンド幅が収縮し、トレンド相場になるとバンド幅が拡がるという特徴があります。
ボリンジャーバンドを逆張りで活用するというのは、エンベロープの発想をそのままボリンジャーバンドに適用させてしまい、根付いてしまったのかもしれません。
ボリンジャーバンドをチャートに表示させる方法
MT4/MT5では、ボリンジャーバンドがインジケータとして標準搭載されており、簡単に表示させることができます。国内FX業者は、ボリンジャーバンドを表示させると3σまでを自動表示しますが、海外FX業者が採用するMT4/MT5の場合は、1本のバンドしか表示させることができないため、1σ、2σ、3σをそれぞれ表示したい場合は、ボリンジャーバンドのインジケータを3回チャートに適用する必要があります。
ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)の設定では、「偏差」の数値を「1」「2」「3」と変更すると、「1σ」「2σ」「3σ」を表示することができます。
3つのボリンジャーバンドを表示させると、以下のようなチャート画面となります。
判別しやすいように、下記のように色を変更しています。
色 | 偏差 |
---|---|
水色 | 3σ |
オレンジ色 | 2σ |
緑色 | 1σ |
黄色 | ミドルバンド(期間24) |
ボリンジャーバンドの期間なのですが、デフォルトの期間=20でも構いませんし、時間足に合わせて変更しても大丈夫です。例えば、1時間足であれば期間=24に変更しても良いかもしれません。
私は、そこまで期間設定にこだわる必要はないと考えています。どのパラメータが正解というのはありませんので、自分がボリンジャーバンドを基にしてトレードするときに最も「しっくりくる」期間設定を探しましょう。
この記事では、私が使っている期間=24で解説していきます。
ボリンジャーバンドのインジケータの表示方法は、当サイトで作成したMT4/MT5ご利用ガイドを参考にしてください。
スクイーズとエクスパンションでトレンド判断する【準備編】
ボリンジャーバンドには、バンド幅が縮小する「スクイーズ」と、拡大する「エクスパンション」と呼ばれる形があります。また、ボリンジャーバンドに沿って価格が進む状態を「バンドウォーク」と呼びます。相場はレンジ相場とトレンド相場を繰り返しているのですが、トレンドフォローで利益を得るには、「できるだけ長く続くトレンドを見つける」必要があり、これらの形はその判断に役立ちます。
スクイーズとエクスパンションの例が以下のチャート図です。
スクイーズ
スクイーズ(squeeze)は英語で「押しつぶす・絞る」という意味があります。
スクイーズ(上記図①)とは、「レンジ相場が続いてバンド幅がどんどん縮小している状態」のことを示します。このような相場では、価格がボリンジャーバンドにタッチすると反発するという特徴があります。いわゆる逆張りトレードで、一般的にボリンジャーバンドの手法として知られていますね。
レンジ相場が長く続くほど、「トレンドのエネルギーを貯めている」とイメージしてみてください。とりわけ、上記の図のようにバンド幅が重なりそうなほど縮小したときは、トレンドが発生する時期が近付いている証拠です。
レンジ相場として推移していたバンド幅が縮まり、その後バネのように一気に拡大するということが多くあります。
エクスパンション
エクスパンション(Expansion)は英語で「拡大・発展」という意味があります。
エクスパンション(上記図②)は、通常「スクイーズ」が起きた直後に起きやすいボリンジャーバンドの形です。「ボラティリティがどんどん大きくなり、バンド幅が大きく拡がる状態」を示します。
エクスパンションが起きたときは、ボリンジャーバンドが上下に拡がっている状態です。この段階になったら、エントリーの準備を行います。トレンドが発生する確率が非常に高いため、価格の動きに注意しましょう。
バンドウォーク
バンドウォーク(上記図③)は強いトレンドが発生したときに起こる現象です。
通常、ボリンジャーバンドの2σを中心にトレンド方向へどんどん進んでいきます。バンドウォークが発生したときに上手にトレンド方向へポジションを建てることができれば、大きな利益が期待できます。
ところで、ボリンジャーバンドの1σより外側で価格が推移する確率は約30%、2σより外側で価格が推移する確率は約5%でしたね。
スクイーズ⇒エクスパンションとなり、ローソク足の終値が2σより外側になると、そのままバンドウォークとしてトレンドが発生しやすいといわれています。
大きなトレンドが発生する直前の傾向を覚えよう
ロンドン市場が始まるのは、日本時間16:00前後です。アジア市場はレンジ相場になることが多いのですが、ロンドン市場~ニューヨーク市場はトレンドが発生しやすい時間帯となります。
上記の図を見ていただくと分かりますが、上昇する直前に下方向にダマシのブレイクアウトが起きています。レンジをブレイクさせたと思わせて新規売り注文が入るのを待ち、それからストップを引っ掛けるように上昇トレンドが発生しています。
とりわけ、「大きなトレンド前にはだましのブレイクアウトも起こりやすい」と覚えておくと、トレードで役立つと思います。
ボリンジャーバンドの順張りトレード手法【実践編】
ボリンジャーバンドを順張りで使用した場合の実際のトレード手法を紹介します。この手法は、ボリンジャーバンドの他に移動平均線も使用し、1時間足でのトレードを想定しています。
移動平均線のパーフェクトオーダーをみる【相場環境】
期間を変えた3本の移動平均線(Moving Average)をチャートに表示させ、「移動平均線がパーフェクトオーダーになっているか」を確認します。追加するのは72移動平均線、120移動平均線の2本で、24移動平均線はボリンジャーバンドのミドルバンドと同じなので、追加しなくても大丈夫です。
活用する3本の移動平均線(Moving Average)
移動平均線 | 使用目的 |
---|---|
期間120 (過去5営業日) |
大きなトレンドを把握する |
期間72 (過去3営業日) |
中期のトレンドを把握する |
期間24 (過去24時間) |
ボリンジャーバンドのミドルバンド (中央線) |
パーフェクトオーダーとは完璧な順序という意味ですが、長期・中期・短期移動平均線の並び方に注目し、上昇トレンドと下落トレンドを判定します。
パーフェクトオーダー
上昇トレンドのパーフェクトオーダー | 短期>中期>長期移動平均線 |
下落トレンドのパーフェクトオーダー | 長期>中期>短期移動平均線 |
上記チャートを確認すると、「長期>中期>短期」という並びで「下落トレンドのパーフェクトオーダー」になっていますね。
このようなパーフェクトオーダーが整ったら、いよいよエントリーです。
移動平均線の設定方法は、MT4/MT5ご利用ガイドをご参照ください。
1章でも紹介しましたが、ボリンジャーバンドの期間設定や移動平均線の数値に正解はありません。しかも、どんな数値に変更したところで、利益が出るかどうかはトレーダーによって異なると思います。
理論よりも実際に価格がどのように動くかがポイントになります。結局、利益が出せるかが重要です。最初はデフォルトの期間=20でやってみて、慣れてきたら自分に適した数値を探してみるというのも1つの方法です。
バンドウォークが発生する確率が高い相場【エントリー】
ボリンジャーバンド2σを中心にトレンド方向へどんどん進んでいく「バンドウォーク」が発生しそうなタイミングを狙ってエントリーしましょう。エントリーシグナルは、下記の2つです。
エントリーシグナル
- ローソク足の終値が2σより外側になったとき
- 移動平均線がパーフェクトオーダーになっているとき
移動平均線がパーフェクトオーダーの形になり、ボリンジャーバンドのスクイーズとエクスパンションを確認したら、ローソク足の終値が2σを超えるかどうかを確認します。2つの条件が揃ったらエントリーしましょう。
決済ポイントは3種類ありますが、上記のチャートでは「プロテクティブ決済」となりました。
ボリンジャーバンドの決済ポイントはどこか【決済】
決済の基準は3種類の考え方があります。「アクティブ決済」「プロテクティブ決済」「ストップロス」です。とりわけ、トレンドフォローでは「決済の基準を決める」ことがトレード成績を左右します。
3つの決済基準
アクティブ決済 | 利益が大きくなり、積極的に決済をする基準。 |
プロテクティブ決済 | トレードの根拠がなくなる、トレンドが転換する可能性がある段階で、利益を減らさないためにする決済。 |
ストップロス決済 | 含み損を大きくしないための決済 |
この手法の「アクティブ決済」と「プロテクティブ決済/ストップロス決済」の基準例は以下のとおりです。
ボリンジャーバンドの決済基準例
アクティブ決済 | 3σを瞬間的に勢いよく超えたとき (次の時間足は99.7%の確率で3σの内側に反発する可能性が高いため) |
プロテクティブ決済 | ミドルバンドを終値で超えた場合 |
ストップロス決済 |
アクティブ決済の基準は3σです。経済指標や突然の変動で瞬間的に3σを超える場合があります。ただ、確率的に考えると、次の時間足が3σの内側になる確率は99.7%ですね。次の時間足は大きく戻される確率が高いと予想できます。利益を減らしてしまってはもったいないので、アクティブ決済と考えて、ポジションの利益を確定させましょう。
トレンドが続けば、押し目/戻りを狙って、再度エントリーできると思います。
一方、プロテクティブ決済/ストップロスはトレードの根拠がなくなった場合です。私はボリンジャーバンドのミドルバンドを基準に考えています。ミドルバンドを終値で超えたら、トレンドが転換もしくは弱まったと判断して、一度ポジションを決済します。
もし、再度トレンドが続くのであれば、再エントリーを考えます。
(まとめ)ボリンジャーバンドは順張りトレードで活用できる
ここまでボリンジャーバンドを順張りトレードで活用する方法を解説してきました。
ボリンジャーバンドは、海外FX業者の採用するMT4/MT5に標準装備されているのですが、インジケータの「トレンド」というフォルダーにインストールされていることからも、本来はトレンド系インジケータということが裏付けられています。
もちろん、逆張りトレードでも利用できないことはないのですが、ボリンジャーバンドが真の力を発揮するのは順張りトレードだと私は考えています。移動平均線とブレイクアウトを組み合わせると、さらにエントリーが絞られ、期待値が高まりますので、ぜひ活用してみてください。
決済についてですが、「ミドルバンドを終値で割ったとき(終値価格)」と「3σを勢いよく上回ったとき(成行価格)」の2種類を紹介しました。決済についてはリスク許容度によって異なるので、好みの設定で良いと思います。
ボリンジャーバンドについては、私のYouTube動画でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
【FX】ボリンジャーバンドって何?逆張りとトレンドフォローで利用できるマルチインジケータ
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編集部の
コメント
ボリンジャーバンドの形は大きく分けると3つです。「スクイーズ」「エクスパンション」「バンドウォーク」があります。実際にチャートにボリンジャーバンドを表示させて、ボリンジャーバンドの3つの形を探してみましょう。