海外FXのゼロカットは救世主!むしろ危険なのは国内FXかも?
FXに関する基礎知識
海外FXは高いレバレッジでの取引が可能なので危険、国内FXはレバレッジが規制されているので安全、と思われる傾向があります。これは、海外FXと国内FXの取引方式の違いを全く理解していないと言っても過言ではありません。例えば、国内FX業者を利用しているトレーダーは、急激な為替変動が発生すると最悪の場合は、追証を経て実質上の借金が生じます。しかし、海外FX業者では追証は発生せず、その損失も証拠金の額までに限定されます。これが海外FXゼロカット制度です。以下、追証の発生及び国内FXと海外FXの取引方式を説明しつつ、ゼロカット制度の優位性について紹介します。
FXのリスクである追証と強制決済について
そもそも追証とは何か
追証とは、「追加証拠金」を略したものです。取引に必要な証拠金(担保金)が不足しているため追加の証拠金が必要な状況に陥っていることを意味しています。
例えば、最低証拠金維持率が20%のFX業者を利用しているトレーダーが、証拠金50万円を担保に、200万円分の外貨を購入(レバレッジ4倍)したとします。そして、数日後、購入した外貨が10万円分値下がりしたと想定します。(証拠金「50万円」-値下がり分「10万円」)÷購入額「200万円」=0.2「20%」
つまり、この場合は、購入した外貨の値下がり分が「10万円」を超えると最低証拠金維持率の20%を下回ってしまうので追証が発生します。追証が発生した場合は取引口座に追加入金し、最低証拠金の維持を20%以上に回復させなければなりません。万が一、維持率が回復できなかった場合は「強制決済」が実行されます。
強制決済が実行されるケース
追証の発生とは、証拠金が規定された維持率を下回っていることを意味しています。追証が発生した場合は、原則として指定期日までに取引口座に証拠金を追加入金し、証拠金の維持率を回復させなければなりません。
基本的に、維持率が回復する額を入金すれば追証は解消されます。しかし、回復ぎりぎり額の入金では、さらに値下がりした場合、追証が再度発生して入金を繰り返すことになるので注意が必要です。
そして、万が一、指定の期日までに必要な額の入金がない場合は、本人の意思に関係なくFX業者側で強制的に売買されポジションを解消されてしまいます。こうしたFX業者による強制的なポジション解消が「強制決済」です。
ところが、実際の取引では、急激な為替変動に伴い、追証発生をトレーダーに通知する間もなく含み損が短時間で急拡大する事態も発生します。こうした場合に実行されるのが「ロスカット」です。
ロスカットが実行されるケース
「ロスカット」とは、一般的に強制決済の一部とされています。急激な為替の変動などにより、含み損が急に拡大した場合、それ以上の含み損の増加を防止するため、やむを得ずシステムが自動的にポジションを解消するための売買を実行します。こうしたシステムによる自動的な強制決済が「ロスカット」です。
株式投資には、株主保護の観点から当日における売買値幅の制限(ストップ高、ストップ安)が設けられています。しかし、FXにはこうした売買制限幅が設けられていないため、短時間での急激な為替変動があった場合は含み損が無制限に拡大してしまいます。こうしたリスクを軽減するために「ロスカット」が実行されます。
ただし、想定外の急激かつ大きな変動が発生した場合は、「ロスカット」の実行をもってしても、証拠金の総額以上に損失が拡大してしまうケースがあります。この場合は、単なる証拠金不足の状態ではなく、実質上の借金が発生していることになります。
こうした事態の発生は、国内FX業者での取引における、重大リスクのひとつといっても過言ではありません。しかし、これは国内FX業者における固有のリスクであり、海外FX業者での取引においては、原則としてこのような追証を発端とする一連のリスクは発生しません。以下に、その理由を説明します。
海外FXと国内FXの取引方式の違い
国内FX業者の多くはインターバンク市場と直結していない
国内FX業者は、一般的にDD(Dealing Desk)方式で取引を行っています。FX(Foreign Exchange)の市場には、株式市場のような証券取引所はありません。これと同じ役割を果たすものとしてインターバンク市場が存在します。
インターバンク市場は、各国の金融機関が通信ネットワークを介して接続されています。そしてDD方式では、インターバンク市場とトレーダーの間にFX業者が入って約定を支援します。概念としては、トレーダーの注文は直接インターバンク市場に発しているのではなく、FX業者に発していることになります。
基本的にトレーダーからの注文を受けたFX業者は、先ず関係システム内の注文や専属ディーラーなどとの調整を進めます。したがって、約定するまでの間にはFX業者の裁量が入り込む余地が存在します。
海外FX業者の多くはインターバンク市場と直結している
海外FX業者は一般的にNDD(No Dealing Desk)方式で取引を行っています。この方式の場合、トレーダーの注文がFX業者に入るとシステムを通じて自動的にインターバンク市場に流されます。要するに、トレーダーの注文をインターバンク市場と直結させることを業務としているのが海外FX業者といえます。国内FX業者とは異なり、約定するまでの間にFX業者の裁量が入り込む余地はありません。
海外FX業者には追証がなく、かつゼロカット制度がある理由
なぜ、国内FX業者には追証が必要なのか
国内FX業者に追証が必要な理由は、取引方式に伴う収益構造と深い関係があります。国内FX業者の多くはDD方式を採用しているため、トレーダーの注文はインターバンク市場と直結していません。そのため、インターバンク市場との取引における手数料を収益の柱にすることはできないのです。
主な収益源は、関係システム内の別発注や専属のディーラー間との取引差益になります。DD方式は、取引時におけるFX業者の裁量が可能な方式であるためこれが可能です。したがって、追証がないとFX業者自体が不足分を肩代わりするリスクが高まります。当然、肩代わりすればその分の利益が減ることになるため、事業の継続が難しくなります。
追証は、国内FX業者としか取引実績のないトレーダーにとっては当然のことと考えてしまうかもしれませんが、実はFX業者が採用している取引方式と深く関係しているのです。
なぜ、海外FX業者は追証が必要ないのか
一方、海外FX業者は一般的にNDD方式を採用しています。NDD方式は、トレーダーの注文をインターバンク市場に直結させているため、基本的に取引差益を収入源にできる構造ではありません。
収益の柱は、取引の際に発生する手数料になります。つまり、それぞれのトレーダーが一定量の取引を継続的に実施しない限り収益は見込めません。しかし、安心して取引できる環境を整えることで、取引回数が増えれば無限大で収益は増加します。そこで導入したのが、追証なしのゼロカット制度です。
当制度は、レバレッジ運用中に最悪の事態が発生しても、追証は発生せず、かつ証拠金を超える損失ありません。こうした環境整備によって、トレーダーは積極的な取引が可能になります。結果として、ゼロカット制度による安心感が取引量の増加につながり、FX業者の業績も向上します。
まとめ
FXにおいて、何をもって安心安全とするのかはトレーダーによって異なります。取引のスピードや確実性を重視する人、長期的なスパンで為替を捉えている人、取引通貨の分散によってリスク低減を図っている人、などさまざまです。
しかし、上述したように海外FX業者と国内FX業者とでは、取引方式やリスク管理の方向性が同じではありません。結果として、トレーダーの安全が守られている範囲が全く異なるのが現実です。
運用資金のリスクについて考えると、国内FX業者における取引では最悪の場合、ロスカットの状況次第では借金を背負うことになります。一方、海外FX業者においては、ゼロカットシステムにより証拠金を超える損金が発生することはありません。
こうしたシステムの存在を考慮すると、運用資金の安全性を考えるのであるなら、海外FX業者を選ぶのが合理的といえます。