海外FX業者比較
海外FXを利用する際に資金が安全かどうかや、正しく出金が行われるかどうかは多くのトレーダーが気になるポイントです。海外FXブローカーで出金のトラブルが発生した場合は、取引利益だけでなく資金自体を失ってしまう危険性があります。
海外FX業者に預け入れる資金の安全性を高めるためには、資金管理の方法や補償の有無などを事前に確認することが効果的です。適切にブローカーを選ぶことで、万が一の際に資産が戻ってくる可能性が大きく高まります。
この記事では、資金の安全性の高い海外FXブローカーの特徴を解説し、安全に利用できる海外FX業者をご紹介します。
この記事の目次
海外FXは資金の安全性が重要
海外FX業者を利用する際、トレーダーは自分の資金をブローカーに預けるため、資金の安全かどうか確認することは極めて重要と言えます。もし出金トラブルに巻き込まれた場合、資金の回収は非常に困難な状況となることが多いためです。
近年、GEMFOREX(ゲムフォレックス)であったような出金拒否や海外FX業者による詐欺が頻発しており、海外FX業者の利用に対する不安が増しています。そういったことを回避するために、事前に安全性の高いブローカーの特徴を知った上でブローカーを選びましょう。
まずは、資金が安全でない海外FX業者で発生することがある資金トラブルについて見ていきましょう。
海外FX業者で考えられる資金トラブル
海外FX業者では以下のような資金トラブルが発生することがあります。
海外FX業者における資金トラブルの例
- 資金繰りの問題:業者の経営が悪化し、取引の清算やユーザーからの資金の出金要求に応じられなくなる
- 出金要求を無視:資金を出金できなくして持ち逃げをする
- 利益取り消し:ユーザーが利益を上げた後、不正なトレードや規約違反を理由に利益を取消し、出金を拒否する
- 不正取引:意図的に損失を発生させて利益を奪う
一見安全に運営されているブローカーでも、突然の資金繰り悪化から出金できないケースも起こりえます。GEMFOREX(ゲムフォレックス)は9年の歴史がありながら、資金繰りの悪化からわずか数か月で経営破綻となりました。
また、市場の大きな変動でブローカーが重大な損失を被った場合に、出金が制限されるリスクもあります。
最近では最初から詐欺を目的としたFX業者も増えており、こうした海外FXを利用するとほぼ確実に資金が奪われます。
さらに、詐欺的なブローカーは、利益の発生時にスリッページの増加やスプレッドの拡大、注文の遅れといった手段を用いて、ユーザーに不利益を与える不正行為を行うこともあります。
預託金の管理方法や保険加入の有無で安全性が異なる
続いて、顧客資金の管理方法についても理解する必要があるでしょう。
主要な海外FX業者の多くは、トレーダーから受け取った資金を「分別管理」、または「信託保全」で管理しています。明示していない場合は「自社管理」です。
海外FX業者の資金管理方法
信託保全 | 顧客の資産を業者のものと完全に分けて、信託銀行に預ける方法です。業者が破綻しても信託銀行に預けられた資産は差し押さえの対象とならず、外部監査を通じて返還されます。 |
分別管理 | 顧客資産と業者の資産を明確に区分して管理されます。もし業者が経営困難に陥っても、顧客の資産は保護される仕組みとなっています。 |
自社管理 | 業者自身が顧客の資産を管理する方式です。 |
信託保全 |
顧客の資産を業者のものと完全に分けて、信託銀行に預ける方法です。業者が破綻しても信託銀行に預けられた資産は差し押さえの対象とならず、外部監査を通じて返還されます。 |
分別管理 |
顧客資産と業者の資産を明確に区分して管理されます。もし業者が経営困難に陥っても、顧客の資産は保護される仕組みとなっています。 |
自社管理 |
業者自身が顧客の資産を管理する方式です。 |
「信託保全」を取り入れているブローカーは資金がしっかり保護されるため、最も安全な資金管理方法です。しかし、海外FX業者のほとんどが信託保全を採用していないため、信託保全を行っているブローカーに限定すると選択肢は極めて限られるでしょう。
「分別管理」を採用している業者は、補償制度は設けられていないものの、顧客資産への不正な利用を防げます。現在は日本人が利用可能な海外FX業者のほとんどが分別管理を採用しています。
「自社管理」を採用している海外FX業者は、資金が安全ではなく詐欺目的の可能性が高いため注意が必要です。
多くの業者は分別管理
多くの海外FX業者は信託保全ではなく、分別管理を主に採用しています。信託保全の導入には費用や条件が伴うため、ほとんどの海外FX業者では信託保全を選択していません。各業者が異なる国々での金融ライセンスを取得して営業しており、日本のように金融法によって信託保全が証券会社に義務付けられている国が少ないことも理由です。
資金が安全な海外FX業者の特徴とは?
どのような海外FX業者が、資金が安全な業者なのでしょうか。それは、顧客の資産を保護するシステムを導入しているブローカーであると言えます。具体的には「信託保全」「対外紛争解決機関」や「補償保険」への加入、「第三者機関の監査」を受けていることなどが挙げられます。
安全性の高い信託保全で預託金を管理している
前述の通り、信託保全を導入しているブローカーは、海外FX業者の中でも特に資金が安全と言えます。
ブローカーが破綻した際に、信託銀行に預けた資金の返還または補償を受けることが可能だからです。
しかし、日本人の顧客向けに信託保全を取り入れている安全な海外FX業者は少数です。そのため、分別管理に加えて独自に損害補償保険に加入しているなど、顧客資金の保全に取り組んでいる海外FX業者を選択することが安全なブローカー選びの基本となります。
「Financial Commission」に加盟し安全性を確保している
対外紛争解決機関「Financial Commission」に加盟していることも、安全なブローカーの特徴です。
Financial Commissionとは、FXトレーダーとブローカーの仲裁をして、トラブルを解決するための機関です。
Financial Commissionへの加入はブローカー毎に自主的なものとなるため、顧客との信頼関係を特に重視しているブローカーに限られます。そういった意味でもFinancial Commissionへ加入しているブローカーは一定の安全性が保証されると言ってよいでしょう。
Financial Commissionに加盟しているブローカーとの取引には、以下のメリットがあります。
Financial Commissionの主なメリット
- 資産の保護
- 問題の公平な解決
- ブローカーの質の保証
Financial Commissionは補償基金を持っており、加盟しているブローカーでトレードすると一定の条件下で最大20,000ユーロ(約300万円)の補償を受けることが可能です。
また、トレーダーがブローカーとの間に何らかの問題や紛争を抱えた場合、第三者機関としてFinancial Commissionが介入し、公平な解決を促進します。
Financial Commission」に加盟しているブローカーは、一定の基準をクリアしている必要があります。これによりブローカーの信頼性と質がある程度保証されていることも安全なポイントです。
Financial Commissionの申し立て方法
Financial Commissionを利用した補償金の申し立てをすると、以下のような流れで問題を解決できます。
- 45日以内に苦情の申し立てを行う
- Financial Commissionによる調査
- 苦情についての裁決
- 補償金の支払い
海外FX業者向けの補償保険に加入している
海外FX業者向けの補償保険に加入していることも安全なブローカーの特徴です。損害補償保険に加入したブローカーで何らかの問題や損害が発生した場合、補償手続きを通じて資金の返還が期待できます。
例えばFXGT(エフエックスジーティー)は、世界的に有名な保険グループ「Lloyd's」傘下の「Renaissance Insurance Brokers Ltd.」によるブローカー補償保険に加入しています。
この保険は、FXGTとユーザー間で生じたトラブルに対して最大100万ユーロまでの損害補償を行ってくれます。なお、損害補償保険の保険料は、ブローカーが支払っているのでトレーダーが別途支払う必要はありません。
ブローカー向け保険は補償金額が高額
ブローカー向け補償保険に加入している業者でトラブルが発生し、ブローカーに落ち度があると認められた場合、FXGTでは最大100万ユーロ(約1.5億円)、HF Markets(エイチエフ マーケッツ)では最大500万ユーロ(約7.5億円)までの補償金を受け取れます。Financial Commissionの20,000ユーロよりも格段に高いため、多くのトレーダーの資金を守ることができるでしょう。
第三者機関の監査結果を公開して安全性をアピールしている
直接的に資金が安全であることを保証するものではないものの、外部第三者機関からの認証を受ける業者は、健全な財務状態や支払い能力があり、安全であると判断できます。
具体的には、財務監査が実施されていることや、監査基準が厳しく信頼性が高いと認識される金融ライセンスを保有していることなどです。
例えばExness(エクスネス)では、世界4大監査法人の一つ「デロイト トウシュ トーマツ (DTT)」による監査報告書を公式ページで公開しています。
資金の安全性が高い海外FX業者ランキング
海外FX業者の中でも「補償保険」や「Financcial Commission」に加入し、特に安全性が高い業者をランキング形式で紹介します。
1位 Exness|Financial Commissionに加入&監査報告書を公開
Exness(エクスネス)は「Financial Commission」に加盟しているため、万が一トラブルが発生しても第三者機関の判定によって資金が返還されます。
補償の上限は20,000ユーロ(約300万円)とやや低めではあるものの、「FCA(英国金融行動監視機構)」や「CySEC(キプロス証券取引委員会)」、「ASIC(オーストラリア証券投資委員会)」といった規制の厳格な金融ライセンスを複数保持し、FXブローカーとしても世界最大級の取引高を誇ることから、安全性ランキング1位としました。
また、経済指標前後のレバレッジ制限を設けるなど、ブローカーとしてのリスク回避に余念がない点や、DTTによる監査報告書を公開している点も安全性が高いと評価できるポイントです。
ただし、Exnessの提供する無制限レバレッジはトレーダーにとって便利な反面、Exness唯一の危険性とも捉えることができます。レバレッジ制限の及ばない突発的な大変動が何度も起きた際は、業界最大級とは言え経営難に陥る可能性も秘めています。
2位 HF Markets|最大500万ユーロの民事賠償保険制度に加入
HF Markets(エイチエフ マーケッツ / 旧HotForex)は、顧客資金の安全性を確保するために「民事賠償保険制度」に独自で加入しています。この制度により、最大500万ユーロ(約7.5億円)までの補償を受けることが可能です。
さらにHFMグループは、厳格な規制で知られているFCAやキプロスライセンスCySECを含む8つのライセンスを保有しているため、高い安全性を誇る業者と言えるでしょう。
HFMはブローカーのリスクとなり得るクッション付きのボーナスを実装していることや、企業規模でExnessに劣る点から2位としています。
3位 XS.com|最大500万ユーロの民事賠償保険制度に加入
XS.com(エックスエス)はHF Markets(エイチエフ マーケッツ)と同じく最大500万ユーロの民事賠償保険制度に加入しています。
XS.comはグループでCySECの金融ライセンスを保持している点や、B2B事業を行い潤沢な資金源を確保している点が安全性の高さとして評価できます。また、ボーナスを提供しない堅実なブローカーとして運営している点も評価できるポイントです。
しかし、XS.comはリテール向けの事業を発足したばかりのため、実績不足な点が否めません。XS.comは今後、継続的な安定性を確保できるのかどうかに注目が集まります。
4位 FXGT|最大100万ユーロの民事賠償保険制度に加入
FXGT(エフエックスジーティー)は、2019年にFX通貨ペアと仮想通貨の両方に強みを持つ「ハイブリッドブローカー」としてと登場しました。
FXGTはLloyd's傘下の保険会社による最大100万ユーロ(約1.5億円)の賠償責任保険に加入しています。また、情報公開にも積極的で、キプロスに位置するオフィスや現地スタッフの公開にも応じてくれます。
FXGTは口座開設ボーナスや入金ボーナスを主体としたサービスを提供しているため、リスクを抱えている点で4位としました。ランキング4位とは言え、それでもやはり補償保険に加入していない業者と比較すると、FXGTは安全性の面で大きく勝っていると言えるでしょう。
5位 Tradeview|独自に信託保全制を採用
Tradeview(トレードビュー)は、「Mainstream Group Holdings LTD」との信託契約のもとで資金の一部を補償する「信託保全制」を採択しています。
Tradeviewでトラブルがあった際には、監査・管理された信託保全口座から、最大3万5,000ドル(約500万円)が補填を受けられるため安全性は抜群です。
海外FX業者では希少な信託保全を採用するTradeviewですが、最近ではハイレバレッジや低スプレッドを提供する他社の台頭により、Tradeviewの人気は下火になりつつあります。利便性と安全性を兼ね備えた業者として評価されるには、今後どのような方策を講じるかがキーポイントとなるでしょう。
6位 Titan FX|Financial Commissionに加入
TitanFX(タイタン FX)は、狭いスプレッド ・高い約定力で、取引環境重視のトレーダーから高い評価を受けているブローカーです。
Titan FXは2020年11月23日より、いち早く「Financial Commission」に加盟しています。トラブルが発生した際にFinancial Commissionを通じて申し立てることで、第三者機関の判定によって20,000ユーロを上限に補償を受けることが可能です。
また、Titan FXは情報公開に積極的で、自社だけでなくグループ企業の所在地や納税者番号など、ありとあらゆる情報を公開している点も高く評価できます。
7位 ThreeTrader|Financial Commissionに加入
FThreeTrader(スリートレーダー)は、2021年に設立された新進のFXブローカーです。ECN取引の透明性、優れた約定力、低取引コストなど、高品質な取引環境が中上級者のトレーダーから高い評価を受けています。
ThreeTraderは「Financial Commission」に加盟しているので、トラブルが生じた際の解決サポートや、最大20,000ユーロまでの補償を受けることが可能です。まだ運営歴は浅いですが、SNS上などで資金トラブルが起こっているという噂もなく、安全性の高いブローカーであると言えるでしょう。
抜群の低スプレッドでトレーダーから絶大な支持を得るThreeTraderですが、日本市場ローンチ以降、目立ったサービス改善が行われていません。新規銘柄の追加やMT5の採用など、新たなサービス導入が待ち望まれます。
安全な海外FX業者を選んで資金を守ろう
海外FX業者の多くが採用する顧客資金の分別管理では、資金が安全とは言い難い部分があります。
ブローカー補償保険の加入や第三者機関の監査、対外紛争解決機関への加入しているブローカーを選ぶことで、万が一のトラブルがあった際に資金が返還される可能性を大きく高めることが可能です。
ぜひこの記事を参考に、資金の安全が保証されているブローカーでのトレードをご検討ください。