海外FX初心者
平日24時間、いつでも取引が可能なことはFXの魅力の一つです。日中忙しい方でも、夜間に取引して利益を狙うチャンスがあります。
ただし、24時間取引できるといっても、時間帯によって市場の活発度合いは異なります。例えば、取引量の多くなるニューヨーク市場が開くと、スプレッドが安定したり、為替レートの変動が大きくなるなどです。
また、週末や祝日など、市場が閉まるタイミングで取引が変化することもあるため、そういった特徴を把握しておくと有利に取引ができます。
当記事では、FX取引がしやすくなる時間帯や注意すべきポイント、狙い目の取引タイミングなどを解説していきます。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)
この記事の目次
FX取引は平日24時間取引できる
FX取引は平日24時間取引可能ですが、全ての時間帯で同じような取引ができるわけではありません。為替レートが一貫して変動する時間帯や、動きが鈍化する時間帯などがあります。これは各国の市場の開き具合によって、市場参加者の数が変動するためです。
したがって、日本でFX投資を行う場合、各為替市場の取引時間を把握して、「現在どの市場が中心で動いているか」を意識して取引することが重要になります。
各為替市場と取引時間の関係
外国為替市場は、日本時間6時(夏時間)にニュージーランドのウェリントン市場から始まり、8時頃までオセアニア市場が開いています。
その後、シドニーから東京を経て香港やシンガポール市場が開き、8時から15時まで東京市場が中心となる時間帯です。
15時ごろからはヨーロッパの市場が開始され、16時にはロンドン市場が開くことで、取引量が大きく増加します。さらに21時はニューヨーク市場が開くため、一日の中で最も取引が活発になります。
市場の開場と閉場時間
国・市場名 | 夏時間 (4〜10月頃) |
冬時間 (10〜4月頃) |
ニュージーランド・ウェリントン市場 | 6:00〜14:00 | 5:00〜13:00 |
オーストラリア・シドニー市場 | 6:00〜16:00 | 7:00〜15:00 |
日本・東京市場 | 8:00〜16:00 | 8:00〜16:00 |
香港 | 10:00〜18:00 | 10:00〜18:00 |
シンガポール市場 | 10:00〜18:00 | 10:00〜18:00 |
ドイツ・フランクフルト市場 | 15:00〜24:00 | 16:00〜1:00 |
イギリス・ロンドン市場 | 16:00〜1:00 | 17:00〜2:00 |
アメリカ・ニューヨーク市場 | 21:00〜6:00 | 22:00〜7:00 |
夏時間(4〜10月頃) | |
ニュージーランド・ウェリントン市場 | 6:00〜14:00 |
オーストラリア・シドニー市場 | 6:00〜16:00 |
日本・東京市場 | 8:00〜16:00 |
香港 | 10:00〜18:00 |
シンガポール市場 | 10:00〜18:00 |
ドイツ・フランクフルト市場 | 15:00〜24:00 |
イギリス・ロンドン市場 | 16:00〜1:00 |
アメリカ・ニューヨーク市場 | 21:00〜6:00 |
冬時間(10〜4月頃) | |
ニュージーランド・ウェリントン市場 | 5:00〜13:00 |
オーストラリア・シドニー市場 | 7:00〜15:00 |
日本・東京市場 | 8:00〜16:00 |
香港 | 10:00〜18:00 |
シンガポール市場 | 10:00〜18:00 |
ドイツ・フランクフルト市場 | 16:00〜1:00 |
イギリス・ロンドン市場 | 17:00〜2:00 |
アメリカ・ニューヨーク市場 | 22:00〜7:00 |
中でも世界的に見て最も大きな市場は、「東京」「ロンドン」「ニューヨーク」です。これらは「3大外国為替市場」と呼ばれ、開場すると取引量が大きく増加します。
取引量が多い時間帯の特徴
3大市場のように、取引量の多い時間帯での取引には以下のようなメリットがあります。
取引が活発な時間帯の特徴
- スプレッドの変動
- ボラティリティの拡大
スプレッドの変動
取引量が増えるタイミングでは「流動性」が高まり、スプレッドが狭くなる傾向が強まります。
流動性とは、注文が豊富に行われ買い手と売り手の需要と供給のバランスがとれた状態のことです。注文がマッチングしやすく、より有利なレートで取引でき、スプレッドが狭く安定します。
また、流動性が高い場面では約定力も高まり、約定拒否やスリッページなどが少なくなります。
スプレッドはトレードに大きな影響を与えるコストであるため、まずは安定したスプレッドで取引できる時間帯に取引を行うのがおすすめです。
為替レートが動きやすくなる
取引が活発に行われることで、為替レートが動きやすくなる傾向があります。レートがよく動くことで価格差から利益が狙いやすくなるため、特に短期トレードが人気です。
ただ、レートが動きやすいからといって、必ずしもボラティリティが高まるというわけではありません。しっかりとレートが動きながらも、買いと売りの勢いが拮抗していれば、相場の変動幅が小さいということもあります。
なお、あまりリスクを負いたくない場合は、時間帯を見て取引を控えたりポジションを決済することを検討できます。
世界三大為替市場が開いている時はトレードしやすい
世界でも有数な市場である「東京」「ロンドン」「ニューヨーク」市場が開いているときは取引量が活発なためトレードしやすい時間帯です。
というのも市場参加者が多くて取引の流動性が高いので、価格の動きが活発で、スプレッドが狭く高約定力で取引できるからです。
東京市場の特徴
世界の為替市場の1日において最初に取引量が増えるタイミングは、東京市場が開く日本時間8時から16時(夏時間)です。
オセアニア系列の金融市場が先に開いていますが、東京市場が開くとより取引が盛んになります。また、同時間帯はアジア関連の通貨の値動きが活発になることも抑えておきたいポイントです。
東京市場は比較的実需取引が多いという特徴があります。特に支払日として設定されることが多い5の倍数の日に実需取引が増加する傾向があるといわれています(ゴトー日)。
実需取引とはトレーダーによる投機的な取引ではなく、企業の輸出入取引決済といった用途での外貨の売買が行われることを指します。投機の場合には反対売買を行うために資金が戻ってくるのに対し、実需の場合には反対売買を行わないため資金は戻ってこないことが大きな違いです。
ただし、東京市場はこのあと開かれるロンドンやニューヨークよりは値動きが控えめです。
東京市場に値動きが大きくなる傾向のある通貨ペア
- ドル円(USD/JPY)
- 豪ドル円(AUD/JPY)
- ポンド円(GBP/JPY)
- ユーロ円(EUR/JPY)
ロンドン市場の取引の特徴
ロンドン市場が開く16時から25時(夏時間)は、アジア市場から引き継がれたポジションの調整や、アメリカ市場の開始前の準備があるため、値動きが活発になる傾向があります。
ロンドン市場はイギリスの首都ロンドンのシティと呼ばれる金融市場は多くの取引が行われるため、全体を通してトレンドが発生しやすく、安定したポジションを持てる時間帯となっています。
また、欧州中央銀行や英国中央銀行の発表や、欧州の重要な経済指標、ニュースによく反応します。
また、ロンドン市場終了後(日本時間0時)にはその日のゴールド対顧客向けのレートで価格が決定する「ロンドンフィックス」が行われます。
なお、以前はGBP(ポンド)の取引が多かったですが、現在はEURO(ユーロ)が主要な取引通貨です。
ロンドン市場に値動きが大きくなる傾向のある通貨ペア
- ポンドドル(GBP/USD)
- ユーロドル(EUR/USD)
- ドル円(USD/JPY)
- ドルカナダドル(USD/CAD)
ニューヨーク市場の取引の特徴
ニューヨーク市場が開く22時から翌5時(夏時間)は、三大市場の中でもっとも激しい値動きが見られます。
特にニューヨーク市場とロンドン市場が重なる「オーバーラップ」時は、世界中の投資家や金融機関が参加し、最も取引量が多くなります。
ニューヨーク市場に値動きが大きくなる傾向のある通貨ペア
- ポンドドル(GBP/USD)
- ユーロドル(EUR/USD)
- ドル円(USD/JPY)
- 豪ドル米ドル(AUD/USD)
- ドルカナダドル(USD/CAD)
- ドルスイスフラン(USD/CHF)
また、世界経済に影響を与える米国の経済指標や要人発言が行われるため、市場に大きな影響を与える可能性があります。このため、指標発表の時間帯は注意が必要です。
1日のうち最も流動性が高くスプレッドが狭くなる傾向があるため、スキャルピングであればこのタイミングが本番といえるかもしれません。
最適なタイミングは市場が重なるタイミング
ニューヨーク市場の項目でも触れましたが、各国の市場が開いている時間帯が重なるタイミングは、特に市場参加者が多く流動性が高まるタイミングです。
取引が活発になる時間帯
各市場 | 取引が活発な時間帯 |
東京市場&シドニー&シンガポール | 日本時間8時~16時(夏時間) |
ニューヨーク市場&ロンドン市場 | 日本時間22時~26時(夏時間) |
東京市場&シドニー&シンガポール |
日本時間8時~16時(夏時間) |
ニューヨーク市場&ロンドン市場 |
日本時間22時~26時(夏時間) |
「アジアセッション」と呼ばれる東京、シドニー、シンガポールといったアジアの市場が同時に開くタイミングは取引量が大幅に増加します。この時間帯は、主婦や専業トレーダーにとって適しているタイミングと言えるでしょう。
また、日本時間22時から26時には、ロンドン市場の後半とニューヨーク市場の前半が重なるため、世界的な市場が重なり取引量が最大になります。スプレッドも狭く、相場が活発に動くので、短期トレードにおすすめの時間帯です。
短期トレードにおすすめのFX業者
この時間帯は、日中に働いている会社員や主婦の方など、夜にトレードをしたい方にとって取引しやすい時間帯と言えます。また、専業のトレーダーも積極的に取引することができるでしょう。
スキャルピングとは
数秒から数分の短期取引を何度も繰り返し利益を積み重ねるトレード手法のこと。短い時間で多くの売買をするため、海外FX業者の設定する取引条件が非常に重要になります。
週末や休暇には市場が閉まる
市場が開いているかどうかによって取引が大きく異なります。よって、市場全体が閉まるタイミングや、一部の国の市場が閉まるタイミングには注意する必要があります。
特定の市場が閉じていると、流動性が下がり、急激な値動きが発生するといったことが起こるためです。
週末は市場が閉まる
世界のほとんどの国営銀行は土日休みであり、週末は為替市場は開いていないため、週末は各銘柄を取引することができません。とはいえ、週末にも為替レートは変動しているため、月曜日に土日の分の影響を受けた価格が反映されます。
これにより、月曜日の値動きで一気にロスカットということにもなりかねません。短期トレーダーはあらかじめ変動を考慮しておき、ポジションを持たないか、決済しておくといった対処が望ましいです。
土日にポジションを持ち越す長期保有がメインのスイングトレーダーは、ExnessやXMのKIWAMI極口座など、スワップフリー口座を提供している業者がおすすめです。
スイングトレードにおすすめのFX業者
スワップ3倍デーに注意
土日は為替市場が休場であるためスワップの付与が行われません。しかし、多くのFX業者では土日分を含めた3日分のスワップが特定の曜日に付与されます。スワップが付与される曜日は海外FX業者によって異なりますが、水曜日であることが多いです。なおスワップとは異なる通貨間の金利調整分です。プラススワップであれば利益、マイナススワップであれば損失になります。
年末年始
世界的に金融市場が大晦日、正月に休みとなるため、12/31と1/1は基本的に取引できません。また、日本では祝日扱いになっていないクリスマスですが世界的には祝日扱いのため、ほとんどのFX業者で取引ができません。
1月2日からは多くの海外FX業者が取引を再開しますが、2日分の値動きが起こるため、同じくポジション持ち越しには要注意です。
なお、それ以外の日付はトレードできますが、休暇を取っている人が多くなりますので、取引量が少なくなり、スプレッドが広がりやすい傾向があります。市場の休暇期間に取引を行う場合には、リスクを適切に評価し、慎重に取引を行う必要があるでしょう。
海外FX業者の年末年始営業カレンダー2022
- クリスマスが休日のため振替
- 開場7時5分から9時になります。
各国の祝日
祝日がある場合その国の市場が休みになるため、その国の通貨に関係する通貨ペアの価格に影響を与えます。
通貨自体は取引可能ですが、流動性が変化して値動きが普通と異なる場合があります。全ての国の祝日を把握する必要はありませんが、トレードする通貨に関してはカレンダーで祝日かどうかを確認しておくことが重要です。
注意したい取引タイミング
以下の時間帯は価格レートがいつもと異なる場合があるため、注意したいタイミングです。
注意したい取引時間
早朝のスプレッド拡大
日本時間の6時~7時(夏時間)はスプレッドが大きく拡大します。ニューヨーク市場が閉じ、東京為替市場の開場前ということもあり、流動性が非常に低い時間帯であるためです。
このタイミングでは、平時の3倍~7倍ほどスプレッドが拡大し、取引コストも同じ割合増加します。よって、早朝の値動きを狙う場合以外には、トレードをなるべく控えましょう。
重要指標発表の前後
経済指標が発表される際には、結果を受けて為替レートが大きく変動する可能性があるため、要注意です。
また、中央銀行総裁や各国政府高官などの要人による発言があるタイミングでも、相場が激しく変動することがあるため、取引する際にはお気を付けください。
なお、大きな値動きが発生する指標発表や要人発言のタイミングは利益を狙うチャンスでもあります。
週をまたぐポジション
土日に為替市場が休みであっても、土日の動向によって価格は影響を受けることがあります。
また、金曜の終値からはるかに大きく差が開いて月曜の始値が出る「窓開け」と呼ばれる現象に注意が必要です。
この「窓開け」の急変動によってポジションがロスカットされる可能性があるため、土日の休みの前にポジションを持ち越す場合にはよく検討する必要があります。
サマータイム適用時の時間
サマータイムとは、特定期間において、時間を1時間進める制度のことです。欧州や北米、オーストラリアで導入されています。
サマータイムの導入により、取引開始時間や各市場の開始時間、指標発表時間がズレるため注意しましょう。
海外FX業者では「7:00~翌朝7:00」前後の冬の取引時間から「6:00~翌朝6:00」前後の夏時間に変更されます。サマータイムの期間は3月下旬から10月下旬です。
狙い目の取引タイミング
特定のタイミングで大きな値動きが発生するタイミングがあります。リスクも大きいですが、上手く取引できれば大きな利益が得られる狙い目の取引タイミングです。
ここからは、取引に慣れてきたら狙いたい以下の取引タイミングをご紹介します。
注意したい取引時間
仲値が決まる10時前・毎月5と10が付く日付
東京市場でおすすめの手法は、「仲値」が決まる日本時間9時55分前後までにトレードを行う手法です。各金融機関は毎朝9時55分に、「仲値」とよばれる顧客との取引レートを設定します。
この仲値が決定した後に、輸出入に関係する企業の外貨交換など実需取引が活発になり、為替レートが動くとされています。
具体的には、円を売って基軸通貨であるドルを買い集めるため、仲値が発表される9時55分にかけて円安ドル高となる傾向が多く見られます。
また、仲値の中でも毎月5日と10日は「ゴトー日(5、10、15、20、25、30日)」と呼ばれ、輸入業者の決済が多くなり、円安ドル高になりやすい傾向があります。
アメリカの経済指標で発表時
アメリカ経済は世界経済に大きな影響を及ぼすため、アメリカの経済指標発表は為替レートを大きく動かします。この大きな値動きが発生することを見越して取引することで、大きな利益を上げることが可能です。
特に注目なのは、毎月第一金曜日に発表される雇用統計です。結果が事前予想よりも大きくかけ離れている場合は、ドル関連の通貨ペアが大きく変動します。
なお、経済指標で市場を予想することは、「ファンダメンタルズ分析」に該当します。以下の記事ではファンダメンタルズ分析について詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。
市場のオープン前・クローズ後
為替市場では、各国の市場の「開場(オープン)後」「閉場(クローズ)前」のタイミングで、取引が増える傾向があります。オープン後は、多くの投資家が市場に参加し始めるため価格変動に大きく影響を与えます。
例えば、東京市場では落ち着いていた値動きが、ロンドン市場に入った途端に大きく動くケースも珍しくありません。また、クローズ時も閉じる前にポジションを決済するトレーダーが多くなるため、価格が急変動しやすくなります。
特にニューヨーク市場が閉まる「ニューヨーククローズ」は、次の東京市場オープンまで流動性が下がるため、決済の動きで価格の変動が起こりやすい傾向があります。
特定の時間帯・日付での値動き
市場の仕組みにより、特定のタイミングで価格が大きく動く場合もあります。中でも有名なのが「ロンドンフィキシング」「ニューヨークオプションカット」です。
日本時間24時(夏時間)に行われる「ロンドンフィキシング」は、ロンドン市場において、ゴールドの対顧客レートが決定するタイミングです。この価格決定がその後の為替市場(特にニューヨーク市場が閉まるまで)に影響を与えるとされています。
また、日本時間23時(夏時間)に行われる「ニューヨークオプションカット」は、オプション権利行使の締め切り時間のタイミングです。オプション権利を行使しないと不利益となるため、期限内に一斉決済を行います。そうすると、相場が大きく動きやすくなります。
オプションとは、あらかじめ決められた価格で投資対象を売る権利や買う権利のことです。投機目的やリスクヘッジ目的のために、権利自体の売買が行われます。外国通貨を対象としたオプションもあります。権利を取得した投資家は権利行使をしてもしなくてもよいですが、権利行使には期限が設定されています。そのため期限前には行使するかどうかを決めなければいけません。これがオプションカットです。
各国の市場を意識する
24時間取引可能なFXですが、開いている市場が異なるため、1日を通して大きな変動があります。時間帯によって市場参加者も異なってくるため、取引の際には、各国の市場がどのように開いているかを想定して、値動きにも気を配らなくてはなりません。
また、週末や年末年始など取引ができない日や、各国の祝日などは、それまで保有していたポジションを解消しようとする動きがあり、相場の急変動が起こる可能性があります。為替レートだけでなく、市場参加者がどのような生活をしているかというのも、意識するべきポイントといえるでしょう。
それぞれの市場には特徴的な値動きパターンがありますので、ぜひこの記事を参考にして、ご自身に最適なトレード時間帯を選んでみてください。