海外FX初心者
小売売上高とは?
小売売上高とは小売業者が販売、提供している商品や、その他のサービスの売上金額を調査し発表している経済指標です。
一般的に、アメリカ合衆国における小売売上高(Retail Sales)の発表をさすことが多いです。本記事においても、アメリカの小売売上高の発表に関して解説します。
小売売上高は、消費者支出のおよそ70%を占めているため、経済活動全体を反映するための重要な指標とされています。小売売上高の発表が予想を上回れば、アメリカの経済が好調であると判断できます。
アメリカの経済状況は世界中の経済に影響を与えるため、小売売上高はドル円を含むチャートのみならず、FXにおけるさまざまな通貨ペアに影響を及ぼす可能性があります。
小売売上高を発表している機関
小売売上高は、アメリカ合衆国国勢調査局(Bureau of the Census)によって発表されています。
アメリカ合衆国国勢調査局はアメリカの商務省の一部局であり、さまざまな統計を収集する業務を担っています。1903年以降、アメリカ合衆国における国税調査は、このアメリカ合衆国国税調査局によっておこなわれています。
小売売上高はアメリカ国内の小売業から無作為に5,000社を選び、それらを調査対象とするサンプル調査が基本となっています。調査対象となっている月の翌月、第2週頃に発表されます。
小売売上高の内容
アメリカの小売売上高の調査では、以下の業種が調査されます。
アメリカの小売売上高の調査業種
- 自動車・自動車部品販売店
- 家具・家庭用家具・電子機器・家電販売店
- 建材・園芸用品・資材販売店
- ガソリンスタンド
- 衣料品及び衣料品アクセサリー販売店
- スポーツ用品・ホビー・楽器・書籍販売店
- 総合小売店・デパート
- その他の小売店(文具店・中古品販売など)
- オンライン小売店
- 飲食サービス
小売売上高の発表では、上記の調査業種すべてを含んだ調査結果の発表の他に、自動車ディーラー・ガソリンスタンド・建材・園芸店の売り上げを除いた「コア小売売上高」が発表されます。
これらの業種の売上金額は他の小売業種と比べても変動が大きく、経済状況を正確に反映しづらいとされるためです。
例えばガソリンスタンドの売り上げは、原油価格の変動に大きく影響され、消費者の購買意欲や経済活動の活発さなどとは無関係なところで、数値に影響が出てしまいやすいとされています。
ほかにも小売売上高は季節要因の影響を受けやすい指標であるため、さまざまな過去のデータに基づいて季節的な要因の影響を算出し、その影響を取り除く「季節調整」がおこなわれます。
例えばクリスマスシーズンなどにはギフトの需要が高まり、ギフト関連の小売売上高は増加します。しかしこれはクリスマスシーズンという季節的な要因に起因するものなので、経済状況の回復を表すものではないということです。
また小売売上高は、調査をされてから約2週間後に発表されるため、さまざまな経済指標のなかでも速報性が高いのが特徴です。
このように小売売上高の発表は、単純に売上金額だけを合算して算出したものではなく、さまざまな要因を織り込み、正確な経済状況が表されるように調整されています。そのため、比較的信頼度の高い指標のひとつとなっています。
小売売上高をFXに活用する方法
小売売上高の発表の結果を、FXの相場分析に活用する方法について解説します。
小売売上高は経済の成長率を反映する指標として重要であるため、FXの相場にもその発表時には大きな影響を与えます。小売売上高がFXのチャートに与える影響を理解し、相場分析に役立てましょう。
予想より高ければ買い、低ければ売り
小売売上高が予想より高ければ、アメリカの経済活動が活発化していると考えられます。そのため米ドルは買われやすくなり、価格が上昇する可能性があります。
逆に、予想より低ければ、米ドルは売られやすくなり、価格が下落する可能性があります。ただし、上記のような発表結果があったとしても、必ずしもそのとおりに価格が推移するわけではありません。
その時のチャートの状況や他の経済指標なども含め、さまざまな要因でチャートは上下するため注意が必要です。
特に発表時のタイミングを狙った短期的な取引は、リスクが大きいため推奨できません。小売売上高の発表の結果を受け、長期的な目線でのトレンドに影響があるかどうかなどを判断する材料として活用しましょう。
FOMCにも影響を与える
小売売上高は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定機関であるFOMCの方針を決定する材料としても採用されます。
例えば小売売上高が予想を上回れば、FOMCは金利を引き上げるという金融政策をおこなう可能性が高くなります。景気が好調であると判断されるので、インフレを抑制をするという政策につながりやすいためです。
FOMCの金融政策発表はFXの相場分析における経済指標の中でも、最も注目されていると言われています。小売売上高の発表結果をFOMCの先行指標として活用することで、将来の価格予測に役立てられます。
小売売上高の注意点
小売売上高をFXの分析に活用する際の注意点について解説します。これらの注意点を把握しておくことで、より小売売上高の理解が深まり、分析に活用しやすくなるでしょう。
サービス業では飲食店のみが調査対象
小売売上高は多くの業種の売上高を含みますが、サービス部門においては飲食業のみを集計した結果となっています。
そのため、美容院、理容室、旅行代理店、レンタカー、チケット販売など、その他のサービス業の売上高は含まれていません。これには、小売売上高が商品販売に重点を置いた指標であるという理由があります。
そのため、小売売上高はすべての消費者の消費活動を網羅しているわけではなく、発表の内容には偏りがあります。
特に、FX通貨ペア以外の特定の商品CFD取引などに活用する際は、その商品が小売売上高の調査内容とはあまり強い結びつきがないケースもあるため注意が必要です。
PPI(生産者物価指数)とCPI(消費者物価指数)も確認する
小売売上高だけで、経済状況全体を把握するのは難しく、PPI(生産者物価指数)とCPI(消費者物価指数)などの他の経済指標も併用することで、より精度の高い分析が可能となります。
例えば、小売売上高が上昇したとしても、それが消費者の購買意欲が向上したことに起因するものなのか、それとも物価の上昇に起因するものなのかどうかは、小売売上高の発表結果だけでは判断が難しいです。
そこで、PPI(生産者物価指数)やCPI(消費者物価指数)を確認することで、総合的に多角的な視点から分析ができます。例えば、これら3つの経済指標がすべて上昇しているのであれば、物価の上昇による影響が大きいと考えられます。
PPI(生産者物価指数)やCPI(消費者物価指数)が安定しているにも関わらず、小売売上高が上昇している場合は、消費者の購買意欲が上がっており、経済が好調であると判断できるでしょう。
このように、複数の経済指標を併用して分析すれば、FXのチャートに与える影響もさまざまな観点から予測しやすくなります。
速報値から変更される可能性がある
小売売上高の発表時に最初に出る結果は速報値となっています。小売売上高の集計結果などからの計算を簡易的におこない、おおよそこうなるであろうという結果が発表されています。
そのあとに追加のデータが寄せられたり、より詳細な計算がされたり、修正などがおこなわれることで最終的な通知が発表されます。
そのため、速報値とは異なる結果が出るケースがあります。速報値と結果が大きく異なれば、チャートにまた影響が出る可能性がありますので注意が必要です。
小売売上高の発表時に利用したい海外FX業者
経済指標発表時のトレードは、ボラティリティが高まり、価格変動が激しいので、取引環境面が優れたブローカーを選択することが重要です。
トレーダーの注文が確実に通るためには高い約定力が必要であり、さらにスプレッドが大きく拡大しないことも、経済指標発表時のトレードにおいては重要な要素といえます。
本章では、上記のような条件を満たす経済指標発表時に取引しやすい海外FX業者をご紹介します。
TitanFX(タイタンFX)
TitanFX(タイタンFX)は業界の中でも優れた約定環境を提供しています。
TitanFXは独自の技術及び高速なサーバーを導入することにより、成行注文の1秒以内の約定率は100%、約定速度も平均37ミリ秒以下と非常に速く、経済指標発表時にも優れた約定力が期待できます。
TitanFXは同時に業界最狭クラスの低スプレッドも兼ね備えており、経済指標発表時にも低コストで取引可能です。
また、TitanFXではイベント時の取引制限がなく、レバレッジも最大500倍まで利用可能なため、経済指標や要人発言、政策金利発表時といったボラティリティの大きな時間帯でも制限なく十分な値幅と利益を狙うことができます。
取引環境と約定力でTitanFXは経済指標発表時の選択ブローカーでは他を圧倒しているといえるでしょう。
XMTrading(エックスエム)
XMTrading(エックスエム)は注文の99.35%が1秒以下で約定するなど、約定面でも優れていますが、口座開設ボーナスや入金ボーナスが魅力の業者です。経済指標発表時を含めた値動きが激しい相場環境でも優れた市場価格で取引を執行することができます。
加えて、イベント時にレバレッジ制限がないのもXMの大きな魅力です。小売売上高のような経済指標時にも、レバレッジを気にせずにトレードすることができるでしょう。
最近は経済指標前後の数分~十数分にレバレッジが規制されるブローカーも多いので、この点は大きなメリットといえます。
小売売上高がチャートに与える影響は大きい!必ずチェックしよう
小売売上高は、経済指標のなかでも注目度や重要度が高く、チャートに与える影響は大きいです。発表時の急騰急落など価格の急変動には十分注意してください。FXの相場分析でいくつかの経済指標に絞るのであれば、小売売上高は必ずチェックしておきたい経済指標です。
小売売上高がチャートに与える影響をよく理解し、時にはPPI(生産者物価指数)やCPI(消費者物価指数)の結果等も併用して、FXの分析に役立ててみてください。