世界経済に大きな影響を与える「指数発表」とは?
海外FX初心者のお役立ち情報
FX相場はなんらかのきっかけにより大きく動くことがあります。そのきっかけには「経済指標」「要人発言」「有事(戦争、テロ、内乱、大事故など)」「政策金利の変更」「原油の増産(減産)による価格変動」など、さまざまなものがあります。その中でも、「経済指標」は定期的に発表され、FX相場が大きく動くきっかけにもなるものです。
そこで今回は「経済指標」にスポット当てて、FX相場との関係を探っていきましょう。
各国の経済指標の中でもFX相場に大きく関係があるのはアメリカの「経済指標」
各国の通貨ペアのFX相場は、各国の経済指標によって大きく動くわけではありません。どの通貨でも大きく動くのはアメリカの経済指標に対してです。
アメリカの経済はかつてと比べて相対的に小さくなりつつありますが、それでもやはり世界一の経済大国です。そのため、アメリカの経済指標によって「ドル」だけでなく、「ユーロ」や「ポンド」「円」「オーストラリアドル」「ニュージーランドドル」などといった、世界の主要通貨が大きく動くきっかけとなります。
例えば、ユーロ安になった原因としては「フランスの経済が低調だから」ではなく、「米国の失業率が下がったので、ユーロが引き上げられドルへと資金が流れた」となるようなケースが多くあります。
もちろん、ユーロ経済圏は「ユーロ」として見ればGDP世界トップですし、単一の国家としては日本も世界第3位の経済大国です。
しかしユーロの経済指標は発表されてもFX相場にはほとんど影響がありません。それよりもむしろ、ユーロの経済を一番に支えているドイツの経済指標が重要視されます。また、ギリシャやキプロスのような国で財政危機が起こるといったビッグニュースが発表されるとFX相場も大きく動いたりします。
また日本の経済指標は、世界の通貨に対してほとんど影響がありません。「円」自体でも事前予測と発表された数値が大きく乖離したということでないかぎり、アメリカの経済指標以上に動くことはありません。ある程度動くとすれば、政策金利の変更がサプライズで発表された時でしょう(日本でそういった事はほとんどありませんが...)。
FX相場に影響を与えるアメリカの経済指標一覧
アメリカの経済指標は毎月決まった日程でいくつも発表されます。また、年に何回か発表される経済指標もあります。「どれだけ発表するんだ!」と感じるほど、その数は膨大。その中でも重要な経済指標だけを下記に一覧にしました。
なお、経済指標には、雇用や収支、消費、物価、景気、製造業、金利など、経済に関係するさまざまな指標があり、それぞれFX相場に与える影響も高いものから低いものまであることがわかると思います。
発表日程 | 指標名 | 重要度 (重要度高がS~AAA、重要度低がA) |
毎月第1営業日 | ISM製造業景況指数 | AAA |
毎月第3営業日 | ISM非製造業景況指数 | AA |
毎月第1金曜 | 雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率) | S |
毎月第2金曜 | ミシガン大学消費者信頼感指数 | AA |
毎月10日頃 | 貿易収支 | A |
毎月中旬 | 消費者物価指数(CPI) | AAA |
毎月中旬 | 生産者物価指数(PPI) | AA |
毎月中旬 | 鉱工業生産 | AA |
毎月中旬 | 耐久財受注 | AA |
毎月中旬 | 小売売上高 | AAA |
毎月中旬 | 対米証券投資 | AA |
毎月第3木曜 | フィラデルフィア連銀指数 | AA |
毎月下旬 | 中古住宅販売件数(EHS) | AAA |
毎月下旬 | 中古住宅販売保留(PHS) | AAA |
毎月下旬 | 新築住宅販売件数 | AA |
毎月下旬 | 住宅着工件数 | AA |
毎月下旬 | 個人所得・個人支出 | A |
毎月下旬 | GDP | AAA |
毎月月末 | 消費者信頼感指数 | AA |
年8回 | FOMC政策金利 | S |
上記以外の国でも、日本、ユーロ、オーストラリア、ニュージーランド、それぞれ国で発表される「政策金利」で、サプライズ的な発表や発言があれば相場が大きく動くこともあります。
「雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率)」と「FOMC政策金利」は要注意!
アメリカの経済指標の中で、もっともFX相場に影響を与えるのは、毎月第1金曜日に発表される「雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率)」と、年8回発表される「FOMC政策金利」でしょう。
「雇用統計」で発表されるのは10項目ありますが、そのうちFX相場に影響を与えるのは「非農業部門雇用者数」と「失業率」になります。
「雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率)」の発表後には数分で50pipsや100pipsも動くことはざらにありますので、発表前にはポジションを整理したり手仕舞いしたりする必要があります。
次にFX相場に影響を与えるのが「FOMC政策金利」です。政策金利の発表自体は事前に予測されているため、その結果よりも声明文のほうに注目が集まります。声明文の内容いかんによってはその後のFX相場のトレンドが変わってくることもありますので、発表の前にはポジションを整理したり手仕舞いしたりしたほうが良いでしょう。
「雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率)」と「FOMC政策金利」に続いて、FX相場に影響を与える経済指標といえば「GDP」です。
GDP(国内総生産)の数値によって、アメリカの経済が良くなっているのか悪くなっているのかがわかります。そのため、「GDP」の発表値が良くなればドルが強く(高く)なり、「GDP」の発表値が悪ければドルが弱く(ドルが安く)なるわけです。
なお「GDP」の発表値は、「速報値」(4月)→「改定値」(5月)→「確定値」(6月)と1ヵ月ごとに発表されていきますが、もっとも重要視されるのは「速報値」となっています。
住宅関連の経済指標は景気動向のバロメーター
「雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率)」「FOMC政策金利」「GDP」以外でも重要な経済指標は存在します。例えば、「中古住宅販売件数(EHS)」「中古住宅販売保留(PHS)」「新築住宅販売件数」「住宅着工件数」といった住宅関連の経済指標です。
住宅関連の経済指標単体でFX相場に大きな影響を与えることは少ないものの、「住宅関連の経済指標が良くなっている」=「アメリカ全体の景気が良くなってきている」ことのバロメーターになります。景気が良くなり収入が増えると住宅を購入する、という単純な理屈ですが、逆に住宅関連の経済指標が悪くなってきたときには景気も悪くなってきていると判断できます。
経済指標発表時に大事なことは「予想と結果のギャップ」があるかどうか
じつは、経済指標の発表におけるFX相場への影響は数値そのものの良し悪しではありません。「予想と結果のギャップ」にあります。
各経済指標が発表される前には事前に数値の予想がなされ、FX相場では経済指標発表前にその数値を折り込んでいきます。そして実際に経済指標が発表されたとき、事前予想とほぼ同じ数値であればFX相場はほとんど動きません。
重要な経済指標発表後の数分は、それでもFX相場が大きく動くことはありますが、予想どおりの数値であればもとの相場へと間もなく収束していきます。
しかし、経済指標の数値が事前予想と大きくかけ離れた場合、良い数値であろうが、悪い数値であろうが、FX相場が乱高下することになります。
また複数の経済指標が重なることがあり、そのときには注意が必要です。単体ではFX相場への影響が低い経済指標でも、いくつもまとまればFX相場が大きく動くこともあるのです。
経済指標の発表日時は各FXブローカーのWEBサイト上に掲載されていますから、ポジションを持っている場合には経済指標のスケジュールは事前に把握しておきましょう。
FXトレードにおいて、アメリカの重要な経済指標を押さえておくことは非常に大切です。これを知っているか否かが、「FXで大勝ちするか大負けするかの分かれ目」といっても過言ではありません。